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zoom RSS 『プラチナタウン』/楡周平 ◎

<<   作成日時 : 2008/09/08 22:26   >>

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いや〜、高齢化社会、財政再建団体に転落間近で合併も拒否られる大借金、人口は減り続ける、なんていう「地方の悪循環」もなんのその!
華麗に再生する、地方自治体!
これは、地方自治体の逆転の発想による起死回生を、見事に物語化してますよ。
確かに、ご都合主義的な面は多々あるし、そりゃあんまりだろ〜ってツッコミ入れたくなるほど、登場人物がデフォルメされて簡略な性格になってる感じは否めない。
だけど、実現性、高そうじゃない?
こういうのも、アリじゃない?


楡周平さんは、初読みです。著者略歴を見ると、難しそうな本を書いてる感じがするんですが・・・。この『プラチナタウン』は、全然そんなことないですね!読んでて楽しい。
会話のテンポがいい。登場人物が面白い。とにかく、楽しい。

故郷の同級生・クマケンこと熊沢健二から、財政破綻寸前の緑原町の町長になってくれと泣き付かれた男・山崎鉄郎。その気は全くなかったが、大手商社・四井の上司の不興を買ったうえ、地方紙に町長を受けたとスッパ抜かれ、進退極まって町長の方を受けることに。

そこから、山崎の快進撃が始まる。町に戻って、公共事業で乱立された施設を視察するが、利用者が少なすぎて利益どころか、存続そのものがマイナス。そこから切り落とすしかない、工場誘致のため整備された土地の利用方法は、と考えたところで名案がひらめく。
老人ばかりでの寂れゆく町。ここに老人向け定住型テーマパークのような居住施設を作って、介護の方まで完璧にしたら、仕事を求めて若者も来る。人口も税収もアップ、町も賑わいを取り戻す、高齢化社会だってどんとこいだ!ってな感じで、古巣・四井の事業部を招致する。

四井だってビジネスだから、シビアに色々な条件を付けてくるし、古参町議の既得利権確保のための暗躍があったり、自治体としてはお金がない人は救わないという方針では・・・という反対もある。
けれど、様々な条件をクリアして、山崎は助役になったクマケンと共に、計画を推し進める。
出来るだけ地元優先で、でも都会からの移住者の要望をも満たすクオリティで、且つ不明朗な雇用などが生じないように。
・・・結果、緑原町は見事に再生を果たす。

いや〜〜、ホント潔いほど、エンターテイメントしてます。
途中、古参町議の動きがかなり怪しくなり、これは変な「うっちゃり」をかまされちゃうんじゃないかと、ドキドキしました(←深読みしすぎ)。でも、そこはちゃんと、新キャラが「根性焼き」で退治・・・って、おい(^_^;)。

クマケン達、緑原町民の方言が非常に、いい。相当訛ってるんだけど、何故か翻訳の必要なく、するっとアタマに入ってくる。宮城県だから東北系の訛りなんだけど、優しくて面白くて暖かい感じがする。
「〜〜なんだすぺ」とか「うまぐいぐっつうごどだね」とか、好きだなぁ〜。
濁点が多い、つまり鼻にかかっただみ声なわけだな、それが郷愁をそそるのかしらん(笑)。

地方自治体の財政困難が、どうしてそうなるのか、そしてどうすりゃいいのか、企業の様に利益出ぬ所は切り捨てと言う訳にはいかない、なんていう事情諸々、非常にわかりやすかったです。
まあ、ホントにこの物語どおりに、物事が進行するわけはないのですが、アリじゃない?と思ってしまいましたね。
ばらまき公共事業で作っちゃった利用者のほとんどない「ハコもの」を転用したり、インフラ整備された道路や鉄道で首都圏から短時間という利点もアピールできるし、自然との共生とか、介護職員の給与は役所並みとか、色々魅力的な計画だもの。
ぜひ、これを実践してくれる自治体がないかな〜と思います。
一つの、地方活性化のモデルケースになるじゃないですか。
どこか、やらないかな。なんか、ワクワクする。
高齢化社会っていうとクラ〜い未来図しか引けなかったのだけど、もしかしたらそんな事もないんじゃない?もっと明るく考えることもできるんじゃない?って言う光明が差した感じがしますよ。

ちなみに、表紙のオッサン二人の輝きっぷり、見事ですな(笑)。特に屈託なき笑顔の町長・山崎!クマケンがやや冷や汗書いてる感じも、面白いし。
背後の光り輝く街は「老人=シルバー」なのではなく、老人は価値の高い「プラチナ」なのだ〜!ビバ、高齢社会!な感じを思いっきりチープにアピール。
なんか、表紙だけでも笑えるし、明るい気持ちになりますよ

(2008.09.07 読了)
プラチナタウン
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著者:楡周平出版社:祥伝社サイズ:単行本ページ数:408p発行年月:2008年07月この著者の新着メ


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【プラチナタウン】 楡周平 著
「Cの福音」で、そのインパクトに震えたオレはずっと、楡ファン[:!!:] ...続きを見る
じゅずじの旦那
2008/11/21 22:52
楡周平「プラチナタウン」
楡周平著 「プラチナタウン」を読む。 このフレーズにシビれた。  老人を集めるこの町のコンセプトは、老人の定住型テーマパークだ。豊かな自然の中で、四季のうつろいを肌で感じながら野山で遊ぶも良し、畑で作物を作るも良し、釣りや狩猟、陶芸をするも良し、プールもあれ... ...続きを見る
ご本といえばblog
2010/10/19 13:50
楡周平 「プラチナタウン」 
総合商社部長の山崎鉄郎は、関連会社に飛ばされそうになったことから酔って、破算寸前の自治体の長に立候補 ...続きを見る
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2011/06/13 06:19

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
楡さんは、もともと流通経済が得意でどちらかというとシリアスっぽいものを書いてましたが、これは身近に感じて、しかも笑える。
なんとか、現実化して欲しい課題ですね!
じゅずじ
2008/11/22 20:58
じゅずじさん、ありがとうございます(^^)。
シリアスな流通経済を書いてる人が、こんなお話をかけるなんて!素晴らしいですね〜。
どこかに、プラチナタウンが出来ることを願ってやみません♪
水無月・R
2008/11/22 21:57

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