蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『花伽藍』/中山可穂 ○

<<   作成日時 : 2008/11/24 23:47   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 4

中山可穂さんの描くビアンの恋愛は、本当に、激しいなぁ・・・。我が身を切り刻むかのような、肉を削ぎ落として白骨化するかのような、激しく燃え尽きる恋愛。或いは、静かに埋み火のように燃え続ける、密やかに続く愛情。
短編集だったせいか、いつもの激しさはやや薄い感がありますが、それでもやはり、強い痛みと歓びを感じさせますね。
水無月・Rのセクシュアリティはノーマルですが、中山さんの描く、女性同士の恋愛には、全く拒否感がないです。

今作『花伽藍』は、意外な短編集だったような気がします。バイセクシャルの女性やダメ男にほだされてしまうノーマル女性が主人公だったり、60歳を過ぎたレズビアンカップルの静かに狂おしい恋愛だったり、と今までなかったような種々様々なセクシュアリティでの恋愛が、描かれています。

「鶴」
ノン気の人妻と恋に落ちたが、彼女には昔喪った子供がいて。
「七夕」
恋人と喧嘩したあと、男と出会い、一夜を過ごそうとするが。
「花伽藍」
ダメ男な元夫が訪ねて来て、義姉の元へ身を寄せることになる私。
「偽アマント」
若い頃の絶望的な恋愛経験から、若い恋人に対して臆病から寛容になっていた。
それが逆に、喪失を生むことになったのだが。
「燦雨」
40代に出会い、25年以上を経て、相手を介護するまでに愛情を高めていた二人。
彼女たちが望むのは・・・同時に命尽きること。

タイトル章でしたが、「花伽藍」はダメ男すぎる元夫に甘いのが、どうしても共感出来なかったです。トホホでもヘタレでもなく、本当にダメ男で。イライラしてしまいました。しかもその男をどうしても許してしまう、そんな主人公にもイラッと来てしまったし。

「燦雨」は、介護が必要な老女を、若いころと変わらず愛する老女という、異色のレズビアンカップルの物語である。長い年月をかけて、お互いを愛し、嫉妬し、やっと独占できると安心し。そして、命終えるときは共に、と願う二人の愛情の美しさと激しさが、沁みわたってくるようだった。
こんなにも、深く愛し合えるパートナーと出会えたら、それは一生涯の喜びなのだろうと思う。
翻って自分はどうなのだろうか・・・と、少し不安に思わずにはいられない。激しい愛情というより、平凡な日常を淡々と過ごしている身としては。まあ・・・過ぎてみて振り返って幸せだと思えたら良いのだろう、と思っておくことにする。

「七夕」では、恋人との別れ話の勢いで男と一夜を共にしようとして、でも、その夫婦の七夕の短冊を見て我に返るという、その奇妙なまでのリアルな表現が気に入った。そこから「もう一度話し合ってみよう」という気になる、その未練を認める潔さが、カッコ良かったと思う。
そして、抱き方の下手な若いお父さんのように、主人公を抱きしめてくれる男の、懐深さにとても憧れた。イイ男だなぁ・・・。

中山さんの描く、ビアン(バイ)の女性は、凛としている。激しい愛憎に常に苛まれ、マイノリティな性傾向に苦しめられ、それでも自分を確立して、潔く美しく、背筋をぴんと伸ばして、前へ進んでいく。
例え、世間一般にはどちらかと言うと認められなくても。
その姿は、凛々しい。

(2008.11.24 読了)
花伽藍
楽天ブックス
新潮文庫 著者:中山可穂出版社:新潮社サイズ:文庫ページ数:271p発行年月:2004年10月この著


楽天市場 by ウェブリブログ



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
花伽藍
 中山可穂 2004 新潮文庫 同性愛者であるということは、現行法における日本で ...続きを見る
香桑の読書室
2008/11/25 00:27

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。確かにこの短編集は、意外な設定が多かったですね。短編集のほうが、中山さん初読みに勧めやすい気がします。
私も「七夕」と「燦雨」の印象が強くて、気に入っています。「七夕」の彼が最後までイイ男でいてくれたのがよかったです。
ほんと、女性たちが凛々しくて、その姿を見たくて、中山作品に手が伸びてしまうのです。
香桑
2008/11/25 00:47
香桑さん、こんばんは(^^)。
中山作品は、体力がない時には読めないんですよね〜、特に長編(笑)。
この『花伽藍』なら、あの痛々しいまでに研ぎ澄まされた感情が緩やかになってるので、慣れない方にもいいかも知れませんね。
中山作品の女性たちの、その真っ直ぐな強さがまぶしくて、心苦しいんだけど、でも、読みたくなるのです。その引力には逆らえないですね♪
水無月・R
2008/11/25 22:00
ああ、読まれたのですね・・・花伽藍。水無月さんのブログを読むとしょっちゅう「あ、ブログにupしてないや・・・」と気がつき己の不精に情けなくなります(笑)でも懐かしい作品です。
あとは「ジゴロ」ですか?(笑)
空蝉
2008/11/26 20:46
空蝉さん、ありがとうございます(^^)。
いえいえ〜、読んだらすぐUPしないと、脳の容量が少ないので・・・(笑)。しかもその少ない容量の半分以上を、有川さん萌えやヘタレ萌えに使っておりまする(苦笑)。
『ジゴロ』もリストには入っているのですが、なかなか辿り着けません〜(>_<)。
水無月・R
2008/11/26 22:49

コメントする help

ニックネーム
本 文
『花伽藍』/中山可穂 ○ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる