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zoom RSS 『新・夢十夜』/芦原すなお ○

<<   作成日時 : 2009/01/29 22:09   >>

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うわ・・・。夢って、ここまで陰惨に構成出来るんだ・・・。怖ろしい。
芦原すなおさんの描く、「夢」の世界は、とにかく暗く湿ってまとわりつく。
今晩、こんな夢見ちゃったら、どうしよう・・・(泣)。

芦原さんが語り下ろす『新・夢十夜』
それぞれ全く違った設定で、構造も全く違うものなのに、読後感は泥沼・・・。粘り気のある冷たい泥に足を取られ、ずぶずぶと吸い込まれて行くような、そして頭の先まで沈んだ後、悪意の塊のような泡を一つだけプクッと吐き出して、その泥は静かに次の犠牲者を待つような、そんな怖ろしい印象であった。
入れ子細工、堂々巡り、虚実が入れ替わり、自分は夢の存在なのか、そして、夢を見ているのは自分なのか。この夢は・・・・誰の夢なのだ。悪夢は尽きることなく、覚醒は訪れない。目が覚めたかと思いきや、それはまた別の夢の中・・・。

実を言うと、読んでいて逃げ出したくなったのだ。読むのを、やめたくなったのだ。水無月・Rは、読み始めると、基本的には途中で投げ出せない人間である。しかしこの、夢の連続、しかも美しかったり楽しかったりは全然しないうなされそうな夢ばかりという物語は、飲み込まれたら抜け出られなくなるような、そんな強さがあったのだ。怖いもの見たさというより、「読み終わらなきゃ、何か怖ろしいことが起きる!」というような、強迫観念に突き動かされ、読了した。
そして、読了して「うわ・・・今晩、こんな夢見ちゃったら、どうしよう」と半泣きになったのである。

「時の小鳥」
おじいさんと散歩する夢。そのおじいさんは、自分なのか?
「水車」
私は妻で、妻は私の夫?めぐりめぐる悪意。
「いきどまり」
いきどまりで「逃げたって無駄なのに」といわれるのは、何故なのか。
「野ばら」
夢の中でカウンセリングを受けて、その医師と恋人になる私、その夢を見ているのは。
「てんまる」
現実と夢が入れ替わる?私と孫は?
「初夢」
夢を見ていたのは、いつの自分だったのか。
「猫回し」
夢見を置き換えてくれる猫。猫に依頼する男は、自分・・・?
「おむかえ」
自分は、夢想の中の男の子?夢想と現実が出会ったとき、炎が上がる。
「さつき闇」
何度も届く手紙。真実を告げるその手紙を読み終えた時、夢は覚める。
「ぎんなん」
ぎんなんが降る。夢を見ているのは・・・。

あえて言えば、「てんまる」ぐらいは救いがあったかな〜。
その他はもう、ダークな終わり方である。とにかく、悲惨陰惨、夢から覚めても夢、覚めることなく続く夢、幻覚と現実はどこで線引きをするべきなのか?それとも夢と現実はいつの間にかすり変わっているのか?

どす黒い、夢の味を、十夜分描く。
「胡蝶の夢」なんて甘ったるいと感じるほど、暗く陰惨な、堂々巡り。虚実が入り交り、当の語り手すら、自分が誰だか分からなくなっている。
後味は非常に悪いけれど、夢に出そうなほど呪われた印象が残ってるけど。
それでも尚、惹きつけられる。この夢の物語を読み終われなければ、囚われる。・・・読み終えても、捕まってしまうのだけど。
夏目漱石の『夢十夜』とはまた違う、悪夢の連続を堪能した、といえば聞こえはいいけど、逃げ切れなかったというのが正しいのかも。
今晩、こんな夢を見ちゃったら、どうしよう。
そのまま、夢の世界に囚われて、明日の朝、目覚めることができなかったら、どうしよう。
目が覚めても、怖ろしい現実が待っていたら、どうしよう・・・。

(2009.01.29 読了)
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創元推理文庫 著者:芦原すなお出版社:東京創元社サイズ:文庫ページ数:305p発行年月:2007年0


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