蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『大人のための怪奇掌編』/倉橋由美子 ◎

<<   作成日時 : 2009/03/02 23:21   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

倉橋由美子さんは、2005年に没している。
不条理な幻想色の強いファンタジー、シニカルなエロス、ギリシャ神話や日本神道神話など神の実在化など、怖ろしくも美しい、ダークな世界を描いてこれほど綺麗にはまる作家を、私は他に知らない。
背後にある血の匂い、暗黒を秘めた灯り、だが表面は、サラサラとしている。まさに、『大人のための怪奇掌編』である。
倉橋さんが、あちら側へ逝ってしまったのが、とても残念だと思う。もっと倉橋さんの幻想世界に彷徨いたい、あの闇に取り囲まれて竦んでみたいという、その思いは、空回りするばかりである。

第一夜から第二十夜まで、アラビアンナイトのように、語られてゆく怪奇な物語。
それぞれに不思議な雰囲気を持って、読者を闇に誘いこむ。食肉や飲血、故事神話、日常にさりげなく紛れ込む妖、翻案され夢現を彷徨う物語たち。
闇を纏った、人ならぬ美しい妖女に誘われるかのように、物語の流砂に吸い込まれてゆく。
行きつく先は、狂気か。

――― な〜んてことをまた、妄想してしまう訳ですよ。(←水無月・Rの妄想癖炸裂)
どの物語も、一筋縄ではいかない怖さがあります。不思議だな〜と思ってる間に魔に取り込まれる位なら、案外脱出は簡単。なんでもない物語のはずが、一気に牙をむかれて、ひと飲みにされるのもまた一興。
いつ、何がきっかけかもわからないまま、何故か世界が反転しているのが、一番怖い。不安になる。自分の存在が、あやふやになってくる。

怖いけれど、とても魅力的だ。
闇というのは、斯くも人を惹きつけるものか。
闇は美しく、おぞましい。

(2009.03.02 読了)

大人のための怪奇掌篇
宝島社
倉橋 由美子


Amazonアソシエイト by ウェブリブログ


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『大人のための怪奇掌篇』 by 倉橋由美子
1985年2月に新潮社から刊行された『倉橋由美子の怪奇掌篇』の改訂版が本書『大人のための怪奇掌篇』。 旧仮名づかいは新仮名づかいに改められ、語り口調も時代もシーンも私たちのそれとさほど変わらない。そのくせ描かれる物語はうそ臭く、妄想めいていてともすれば狂人の夢ではないかと思わせるような恐ろしさを含んでいて読者は目を離せなくなる。 ...続きを見る
■空蝉草紙■
2009/03/19 12:15

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
おくればせながらトラバさせて頂きました♪
いやはや、倉橋氏には初挑戦だったのですがかなり昔の方だったんですね。
ホラーでもないしおぞましさや怖さもない、不思議な作品でした。他の作品も読んでみたいですね〜オススメございましたら是非、お教えください♪
空蝉
2009/03/19 12:57
空蝉さん、ありがとうございます(^^)。
倉橋さんは、初読みでしたか〜。
倉橋さんの不条理なファンタジーや神話崩壊の物語は、難しい面もある(水無月・Rにとってはですが)けど、何だかとても心惹かれます。
初期作品によく出てくるLという名の姉的存在が、とても印象的で、私は好きです。
水無月・R
2009/03/20 22:28

コメントする help

ニックネーム
本 文
『大人のための怪奇掌編』/倉橋由美子 ◎ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる