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zoom RSS 『ヒルサガリ』(「青い鳥少年文庫」vol.2)/長野まゆみ ○

<<   作成日時 : 2009/04/30 22:04   >>

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『オルスバン』の少年・僕は、鳥の化身である雨宿(アマヤドリ)に再会する。
ああ・・・再会できたんだ。まだ、少年の域にとどまっていられたんだ・・・良かった。
長野まゆみさんの描く、キラキラと輝く儚い世界。
とある『ヒルサガリ』の出来事。

僕は父と、池の畔にある父の友人・空知先生宅を訪れる。ゆったり流れる時間、美味しそうな素朴な食べ物。父と空知先生のお互いは通じているようなのだが、僕には分からない会話。現れる雨宿。体調を崩した少年とその母親。激しい雷雨が過ぎて行き、晴れ渡った空にかかる虹を蒐集する雨宿。去り際、少年は、僕に「海鳥の匂いがする」という。
親子と雨宿が去った後、帰り際に父は僕に「虹の子供」の入った筒を預け、大事に育てれば自分の好みの色になるという。

前作『オルスバン』の時に、目覚めた僕は少しだけ大人になっていて、もう鳥の化身たちに会えないのではないか・・・と哀しくなったのですが。本作で再会できて、とてもうれしかった。大人になると、見えなくなるものを描いた、と勝手に理解してたのですが、なんと化身たちは大人とも交歓しているのであった。

それよりも、また僕が「海鳥(ショアバード)の匂いがする」と言われたのが引っ掛かりました。僕は、幼いころの記憶がない。母の記憶がない。いつから父と二人きりで暮らしているのかもわからない。
・・・僕自身が、鳥の化身なら。
いつか、どこかで、父から飛び立っていくのか。それはいつなのだろう。或いは、僕自身がそれを認識していないだけで、既に化身なのではないか。

虹を育てる。
物語の終わりに、父から託された、虹の子供。僕はそれを育て上げることが出来るのだろうか。
人だと思っていた僕が、実は鳥であったとしたら。

長野さん特有の、生き物のニオイがしない、儚い少年像が本作でも美しく描かれていました。
ただしやっぱり、前半にある少年人形の写真はいただけない。私には合わないなぁ。
少年人形が出てこない写真は、綺麗なんだけどね。特に青系のボタンを入れた丸箱の写真は、心惹かれた。

ちなみに、僕が空知先生宅で作る食べ物の数々、とっても美味しそうでした。カレー味の醤油煮卵、味噌・カレー・黒蜜の3種類の煮卵、胡麻かりんとう。卵もかりんとうも作り方が載ってるので、試してみたくなる。ただし、分量がないから、加減がよく分からないのと、結構手間がかかりそうなので、多分作らないと思うけど。

「青い鳥少年文庫」のシリーズはあと2冊、僕は海鳥になってしまうのか、それともあやうい境界線に気付かないままでいるのか。楽しみです。

(2009.04.29 読了)

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青い鳥少年文庫 著者:長野まゆみ出版社:作品社サイズ:全集・双書ページ数:77p発行年月:1999年


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