蒼のほとりで書に溺れ。

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zoom RSS 『オルスバン』(「青い鳥少年文庫」vol.1)/長野まゆみ ○

<<   作成日時 : 2009/04/06 22:48   >>

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少年のもとを訪れたのは、鳥の化身たちであった。
長野まゆみさんの描く世界は、不思議に半透明である。薄曇った雲母をちりばめて、華奢で儚い夢が、そこにある。
『オルスバン』は、そんな短編を1編だけ載せた不思議な作品である。

全体の三分の二を占める、洋館とそこに在る人形の写真。
実を言うと、こういう無機的な人形は苦手です。何というか、あまりにも「むきだし」な美しさで。見てると、関節が痛くなり、口の内側が痒くなってくるんですよね・・・。
長野さんの作品によく出てくる自動少年人形(オートマ―タ)って、こういう感じなんでしょうか・・・。

夜間診療所に勤める父が往診に行き、留守を預かった少年・僕。そこへ2人の不思議な少年たち・星宿と雨宿が現れ、打撲と捻挫を治療して欲しいという。少年たちの話は、なんだか現実感がない。
痛み止めを飲み、「君は海鳥の匂いがする」、治療費代わり《蜂蜜印》の煙草をおいて、彼らは出てゆく。
翌朝父に起こされて、夢だったのかと思うが、《蜂蜜印》の煙草がポケットから出てくる。
父と散歩する林に「雨坊・カケス」「星坊・星ガラス」の巣があった。

目覚めたとき、「僕」は少しだけ大人になっていて、もしかしたら2度と鳥の化身たちに出会えることは、ないのかもしれない・・・と思うと、なんだか哀しかったです。
星宿と雨宿の透明な存在感、僕に対しては強引なのに、お互いを大切にしてる様子が、美しく、儚く、物悲しい。

物語は短いが、あちこちに暗喩される少年時代との訣別のようなものが、美しいけれど、サラサラとこぼれ落ちてゆく哀しさがあった。

(2009.04.05 読了)

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青い鳥少年文庫 著者:長野まゆみ出版社:作品社サイズ:全集・双書ページ数:77p発行年月:1999年


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