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zoom RSS 『たまさか人形堂物語』/津原泰水 ◎

<<   作成日時 : 2009/06/07 22:07   >>

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津原泰水さんて、いろんな作風をもってるんだなぁ〜、と感心しました。昔は津原やすみ名義で少女小説を書いてらしたそうで。グロイ感じ(笑)とか、幻想的な感じとか、私は読んでないけど青春小説とか、色々ですね。
で、本作『たまさか人形堂物語』はいかなる作風か、というと・・・。

なかなかに、ほのぼのとして、いい感じですよ。
リストラで職を失った澪は、祖父から譲られた「たまさか人形堂」の主人となる。ある日ふらりと現れた青年・冨永くんは器用に人形修復をこなし、自作のテディベアも店頭に置けば女子高生たちに売れる、物腰柔らかな好青年である。冨永君にも手に負えなくなって、求人を出したら現れた人形修復の職人・師村さん。この3人の「たまさか人形堂」に、様々な事情のある人形・持ち主たちが集まる。人形を修復することで、持ち主を癒したり、人と人の関係を修復したり。

人形にまつわる謎解きあり、微笑ましい人間関係あり。そして「ひとがた」である人形と「ひと」の関わり合い。人形を通して、様々な事件が生まれ、澪が拙いながらも人形店店主として人として、成長してゆく。

澪は、育ち良さげな冨永君、どんな人形でも修復出来てしまう師村さん、2人の職人を抱えるのだが、2人とも素性が知れない。怪しげな感じはしないが、なんとも不思議な感じ・・・。追い追い師村さんの素性は知れるのだが、予想だにしないほどの人材であり、素性を隠した理由も分かる。
師村さんの事、冨永君の事、色々考えた末、澪は「たまさか人形堂」をたたむのだが・・・。

ラストシーンが、なかなかに意味深いなと思うのである。素直に、澪は交通事故にあい、冨永君が「たまさか人形堂」の地所を買い取っていて、師村さんは戻って来ていて・・・ならよいのです。私もそちらを希望しますが、2重構造だと思うんですね。読者にどちらともとれるような書き方をしている。
もう一方のラストは、澪が交通事故にあって、実はみんな澪の希望であって現実ではない・・・というような。「これは真実じゃないから、向こう側の本当のみんなに伝えて」というようなことを澪に喋らせることで、喜びながらも現実じゃなかったら…という一抹の不安も持たせているような感じ。
でもきっと、幸せなラストなんだと思います。

たまさか人形堂はこれからも、続く。いわくある人形たちが持ち込まれ、修復に関して3人が謎解きをし、時々壁にぶつかったり、小さないさかいを起こしたり、仲直りしたりしながら。
そんな風に続いてくれればいいな、と思います。
出来れば、ラブドール製造会社の束前さんが、澪の心を時々揺らしに来るといいと思います。

(2009.06.05 読了)

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著者:津原泰水出版社:文藝春秋サイズ:単行本ページ数:221p発行年月:2009年01月この著者の新


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【たまさか人形堂物語】津原泰水著
ちょっとした推理ものの短編集のようなつくり。人形というと、あんまり縁が無いのだが、自宅にも何体かはある。日本人形もあるし、まあ、あとはぬいぐるみとか.....確かに、よくできた人形には、時としてハッとさせるものがある。魂が宿っているような。さて、この短編集... ...続きを見る
けんとまん
2009/08/31 19:39

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