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zoom RSS 『お菓子手帖』/長野まゆみ ○

<<   作成日時 : 2009/07/29 22:31   >>

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自筆年譜と称する小説、ということなんだそうです。
実は、初出の『文藝』08年秋号を購入しておりましたので、前半分強は、既に読んでいました。
でも、小説というよりは・・・エッセイ、なのかなぁ?
――― お菓子は少女の心をとらえて離さない、美しくも美味しい栄養源。『お菓子手帖』は著者、長野まゆみさんを育てた、美しくて美味しいお菓子たちの物語。

長野さんは、私より一回りほど年上なので、タイムリーなアルアル話は少ないです。それと、長野さんのいいところのお嬢さん(←いい意味で)風なところが、私のガサツな庶民育ち(しかも小学校までは田舎者で、中・高・大学は東京にいたけど超・地味学生)とは違ってきますね〜。
ソニープラザ(銀座)なんて就職してからですもん、行ったの。
いえ、僻んでないです、ホントに。長野さんが、こういう風にお菓子や雑貨と触れ合ってきたからこそ、『少年アリス』のような作品でデビューし、以後、水無月・Rの心をとらえて離さない物語を発表しつづけてきた、とも言えるわけですから。

本作の真の骨頂は、一番最後の章「賢治とお菓子」なのだと思う。逆に、それまで描かれてきた「甘党の系譜」(祖父母時代)から「一九八八年(昭和六十三年)二十九歳」(デビュー決定年)までは、確かに大切な部分ではあるけれど、「宮澤賢治の物語は〔すきとほったほんたうのたべもの〕」であり「物語創作は菓子司の仕事に通じる」という「賢治とお菓子」につながる、長野さんの根本部分を描くための骨組だったのではとまで、思ってしまう。

賢冶の描く、繊細で透き通っていて、理不尽で美しい世界は、長野作品の根底に流れている。長野さんが愛読した賢冶の物語は、キラキラと輝く美しい心の栄養源となったのだろう。賢冶の世界に共感を持ち、美しいものに触れる少女時代を経たからこそ、長野さんの作品は美しく、儚く、幻想的なのだろう。

本作を読んで、尚の事、長野さんの作品が好きになった。もろく儚い砂糖菓子のように、繊細で研ぎ澄まされた美しさの硝子細工のように、現実感を削ぎ落とした玻玻幻想的な物語を、描き続けて欲しい、と切に願うばかりである。

(2009.07.29 読了)

ちなみに。美味しそうな食べ物が、たくさん出てきて、とってもお腹がすきました・・・。


お菓子手帖
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著者:長野まゆみ出版社:河出書房新社サイズ:単行本ページ数:172p発行年月:2009年06月この著


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お菓子手帖クチコミを見る 金花糖、動物ヨーチ、クリーム玉、地球モナカ…… 時代を彩る駄菓子から、エキゾチックな洋菓子、伝統の和菓子まで、ナガノマユミの自伝小説にもなっている、すべてがお菓子でできた甘く懐かしい物語。 ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2010/02/11 00:52

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんわ。TBさせていただきました。
この本を読んでいたら、食べていないのに口の中が甘くなったような錯覚を覚え^^;
甘いものを食べたくなりました。
長野さんの生きた時代を垣間見る事も出来て面白かったです。
バブル期はこんなだったのかぁとも思いましたし^^
また出てくるお菓子たちが素敵な事。
ご家族との話も素敵でした。
苗坊
2010/02/11 00:52
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
今思い返しても、おなかがすいてきます(夕食ちゃんと食べたのにな〜)。て言うか、甘いもの食べたいです!(←太るからやめれ)
バブル期はこんなでしたよ(笑)。はい。
三浦屋とか紀伊国屋とかそういうところでしか売ってなさそうな、キラキラしたお菓子たちが素敵でしたネ。
長野さんと宮澤賢治の関係性の再確認が出来たのが良かったです。
水無月・R
2010/02/11 22:46

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