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zoom RSS 『凶鳥の如き忌むもの』/三津田信三 ○

<<   作成日時 : 2010/02/13 23:17   >>

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怪奇幻想小説作家・刀城言耶(とうじょうげんや)が怪異譚を求めて訪れた瀬戸内海の島で、次々と姿を消してゆく〈鳥人の儀〉の立会人達。それは、18年前の〈鳥人の儀〉と相通じるものがあった・・・。
『厭魅の如き憑くもの』で禍々しい土着民俗学系ミステリーに遭遇し、怖いけど読みたい!と思った三津田信三さんの、『○○の如き○○もの』シリーズの2冊目です。

本書『凶鳥(まがとり)の如き忌むもの』は、前作ほど妖異に満ちた感じはしないんですが、とにかく不可解な状況で人がいなくなる。そして、その謎が一向に解けないまま、かなり終わりの方になって、真実が見えてくるのですが、それも二転三転する。というのも、主人公・刀城が謎を冷静に解明しようと色々な可能性を提示してはひっくり返していくからなんだけど・・・。どれも物証はなく、状況証拠と残された告白者の言葉だけ。そして、最後に鳥杯島から船が出るとき、祭壇に立っていた巫女姿の人間。もちろん、島に残った告白者なんだろうけど・・・。
実を言うと、最後に「18年前の真実」ということになってる状況も、なんだか納得いかないんですよねぇ。6歳の幼女・朱音にそれが出来たかどうか・・・・。確かに、可能ではあるし、朱音は並々ならぬ意志の持ち主であったわけだし、もしかしたら朱名の巫女から言い含められていたのかもしれないけど。

「もはや戦後ではない」という言葉が闊歩するようになった時代。刀城言耶は瀬戸内海のとある神社で〈鳥人の儀〉という秘義が行われる事を聞き、興味を持ってそこを訪れる。18年前、その儀式が行われた島から、巫女・鵺敷朱名(ぬえしきあかな)と立会人である6人の大人が姿を消し、残され救出された巫女の娘・朱音(あかね)は〈鳥女〉が来た、と繰り返していた。
そして今回の〈鳥人の儀〉には、巫女の朱音、朱音の弟で無神論者の正声(まさな)、町内青年団の男達3人、神社の使用人・赤黒、民俗学を研究しているという女子大生・北代、そして刀城言耶が神域である鳥杯島に渡る。日没後〈鳥人の儀〉は始まり、他と隔絶された島の中の絶対的な密室である拝殿から、朱音は姿を消す。そして、赤黒もまるでがけから身を投げたとしか思えない状況で姿を消し、残った者達は刀城が指し示す、あらゆる可能性に対して検討を続けるものの、答えは出せないまま、翌朝・青年団の一人が姿を消す。刀城は島に到着した時に気がついた崖に刻まれた道を通って島の内部に入り、拝殿の下に人為も加わったような地下空間を発見する。急いで戻る途中で、青年団の別の一人が拝殿に入って行くのを見つけ、後を追うが、彼もまた痕跡すら残さず姿を消す。
残された正声・北代・青年団の海部に、刀城は様々な事実と照らし合わせた推理を展開してゆく。

刀城は「怪異譚に目がなく、しかもその怪異を合理的に解釈しようとし、更に合理的に解釈できなかった場合、その怪異に囚われてしまう」、と自分を評している。そのせいで、この一件の立会人に選ばれたのだろう、とも。
なんとなく、分かるような気がする、その感覚。私も〈ミステリー〉というより〈怪異〉な物語を好む傾向にある。ただし、合理的解釈は物語の登場人物に任せるしかないんだけど(笑)。合理的解釈が出来ない、あるいはその必要性が感じられないほど世界観がしっかりしてると、その世界に吸い込まれていってしまう。
だからこそ本作で、朱音の巫女が執り行った〈鳥人の儀〉の経過の整合性への刀城の解釈には、納得がいく。
現代日本では考えられない、その儀式の進行方法、そしてその本当の狙い。だが、まだあの時代ならありえたのかもしれない。
・・・だけど。達成が非確実な、そして多くの犠牲者を出したその儀式の、そして告白者の言葉と状況証拠だけという状況、暴風雨にさらされ外界と切り離された島、「鵺敷」という名前に隠された真実、どれもが実は、曖昧なのだ、ということに気がついてしまうのだ。
もしかしたらそれは・・・?前作と同じく、最後にすべてがひっくり返るのかも?
だとしたら、怖ろしい・・・。

だいたい、〈鳥人の儀〉の真実自体も怖いんですよ!
(注:この後、もの凄くネタバレします!)






生きながらにして・・・ではないにしても、やっぱり鳥葬って・・・怖ろしすぎる!しかも、人体が喰い尽くされるのに15分しかかからないんだ・・・。
だけど、骨はきちんと残って肉はすっかり跡形もなく・・・?ここの部分が、やや疑問なんですよね〜。だからやっぱり、(真実のような解釈)に、怪異の余地があるんじゃないか・・・と怖くなったのでした。

今回、私が読んだのはノベルス版だったんですが、先ほど楽天BOOKsで単行本版の表紙を見てきました。
美しい巫女の、片目だけが変容している。それだけで何とも禍々しい雰囲気を醸し出しています。
ノベルス版より、単行本版の方が、雰囲気出てますね・・・。なので、画像は単行本版の方を貼っておきます。

(2010.02.13 読了)

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凶鳥の如き忌むもの
 三津田信三による怪奇幻想作家・刀城言耶(とうじょう げんや)シリーズの第2作に当たる、「凶鳥の如き忌むもの 」 。 瀬戸内海の島に伝わる奇妙な儀式とそれに伴う恐怖を描いたホラーミステリーだ。 ...続きを見る
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