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zoom RSS 『玻璃の家』/松本寛大 ○

<<   作成日時 : 2010/03/02 22:46   >>

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第1回「ばらのまち福山 ミステリー文学新人賞」の受賞作です。以前住んでたM市のご近所だったんですよねぇ、福山。で、M市の本屋さんでPOP見まして、読んでみたいと思いつつリストが長くて、その間にN市に転居しちゃいましたよ(笑)。
で、やっと読むことが出来ました。・・・内容は、福山市とは全然関係ないんですね〜(^_^;)。いえ、別にいいんですけど。
新人賞って事で、もちろん松本寛大さんのデビュー作です。出版にあたって、加筆修正はあったのだと思いますが、なかなかにスゴイ作品ですよ、『玻璃の家』は。

アメリカの小都市・コーバンにある廃屋敷で、殺人事件が起こる。唯一の目撃者の少年・コーディは、〈相貌失認〉という特殊な障害を持っており、その証言の有効性を追う警察と大学心理学研究者は、事件の真相を探りだすことに尽力し、300年前のこの地域に起こった魔女裁判と、60年前の屋敷の謎、30年前に屋敷で死んだヒッピーたちの謎を絡めて、解決に至る。

ざっと言えば、そんな話である。が、目撃者が〈相貌失認〉であるということが、事件を複雑かつ物語性の高い物にしていて、面白かった。
ただね〜。水無月・R、カタカナ名前が苦手なんである。しかもこの物語、双子が続出。どれだけ読み進めても、双子のどっちだったか、更に言えば誰が誰だか分からなくなってしまうのである。特に過去話。コレはもう、水無月・Rの〈カタカナ名前失認〉と言ってもいいんじゃないかと・・・(>_<)。ああ・・・もうちょっと明晰なアタマが欲しかったわ。

殺人事件の犯人は、結構最初の方に解りました。あまりにも怪しい発言の数々。
どっちかというと、この物語は犯人捜しよりも「何故犯行に至ったか」「その犯行が成立するのは何故か」という方に謎解きの中心があるんですよ。
300年前に魔女裁判があった村。実はその魔女裁判の証言にも〈相貌失認〉が関わっていた可能性が高いというのが、謎解きの一端にある。
硝子製造で財を成しながら、隠遁した後に屋敷のガラス類をすべて取り払い、60年前に謎の死を遂げた富豪。その富豪の屋敷は廃屋になり、30年前にヒッピー達のねぐらになり、薬物に溺れたヒッピーのうち2人が死亡するという事件も起こる。
そんな屋敷に忍び込んだ少年はそこで、死体を焼き捨てる不審な人物を目撃するが、彼は〈相貌失認〉という障害を負っていて。
彼に犯人の断定が出来ないかどうか、様々な実験をする日本人留学生のトーマ・セラと警察のキース・バロットは、コーディには顔貌を判別する能力はないものの、表情を認識することは出来ることに気付き、特殊な方法でコーディに犯人を見分けさせた。

犯人の面通しに使われた小道具が、「能面」。実際、その手法が可能かどうか、というのは分からないが、それを思いつくのはさすが日本人留学生だな、と思う。但し、この認識は日本人の曖昧な共通認識(ただしそれはアメリカン人であるコーディにも通用している)に依るところが大きいような気もする。

現在の殺人事件の描写の間に挟まれる、時を経た過去の物語。ヒッピーの薬物過剰摂取による死亡とみられていた事件も、実は複雑な事情があり、硝子を取り払った廃屋敷の真相に迫ってくる。コーディの〈相貌失認〉の回復の目途は立っていないが、検査を通して彼の状態が少しずつ明らかになってゆく。
〈相貌失認〉者の証言が手掛かりや証拠になりうるか?どこまでが信用性の置ける情報か?その検査及び検証の細かさには、驚きを感じ得させない。

物語の作りがカッチリしていて時間はかかったけど(双子とかカタカナ名前とか)、なかなかに面白かったですよ。

(2010.03.02 読了)

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