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zoom RSS 『感情教育』/中山可穂 △

<<   作成日時 : 2010/03/15 20:57   >>

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中山可穂さんの作品は、激情の物語なんですよねぇ。読むときは体力と覚悟が必要なんですよ。今回も、久しぶりにちょっと体力的に余裕があるので、取り組むことにしました。
案外、本作『感情教育』は体力は要らなかったです。
というのもね〜、今回は物語に同調できなかったのですよ。まあ、仕方ないかな。私、彼女達の正反対側にいるから・・・。

「サマータイム」
母親に産み捨てられ、養女にもらわれたものの寄る辺なく生きてきた・那智。恋多き女でありながら愛するということを理解しないまま、流されるままに結婚と出産をし、唯一血の繋がる娘を得る。娘と自分を切り離すことなど、考えられない。
「夜と群がる星の波動」
父親に遊園地で置き去りにされ、人を信じることが出来ないまま成長した・理緒。学生時代に自分がレズビアンであることに目覚める。いくつかの喪失を経て、出会ったのは薄幸の女であった。
「ブルーライト・ヨコハマ」
人妻の那智とフリーライターの理緒は、恋に落ちる。那智の母探しを織り込みつつ、互いを激しく愛し求めあい、共に在りたいと願うが、家庭がそれを許すはずがない。那智は娘と離れることは出来ない、娘を引き取れねば離婚できない、だが夫は離婚もしたくない娘も手放せない・・・と泥沼の争い。

私のセクシュアリティは完全なヘテロだし、平穏で平凡に生きてきたし、家庭維持派なので・・・、彼女達とは反対側にいる人間だからどうしても、共感も同情も出来なかったんですよね。
確かに、理緒と那智の恋愛の激情は理解できる。だが2人の恋愛を続けるためには、那智は家庭から離れなければいけないし、だけど娘とは離れられない。娘を引き取って3人で、というのはかなり難しい。
それをどう対処するのか?と思ってたら、結局にっちもさっちも行かなくなって、娘の親権を放棄して「面接交渉権」だけで離婚、2人で生きていくのだ・・・って終わり方。
えぇ〜?何だか中途半端だなぁ。
結局は、娘との血の繋がりの情愛より、女同士の愛情をとったのか・・・?まあ、どうにもならなくなったというのは分かるんだけど・・・でも。

那智が離婚するのを否定するわけじゃない。愛情が感じられない夫婦関係を終わらせるのは、間違っていない。その際、子供をどちらが養育するか、というのもその家族の問題であって、それをどうこう言うつもりはない。
ただ、激情で家庭を壊すのは、勘弁してほしい・・・と思う。家庭というものは、激情では維持できない。家庭というものを守る側からしたら、この物語は、中途半端な結果だな・・・と思うのだ。
結婚後、運命の人に出会ってしまうこともあるかもしれない。だが、その始末のつけ方はかなり難しい。

思ったより、さらりと読めた。だが、ちょっとなぁ・・・。

(2010.03.15 読了)

感情教育 (講談社文庫)
講談社
中山 可穂


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タイトル (本文) ブログ名/日時
感情教育
 中山可穂 2002 講談社文庫 伊勢佐木町から始まる。この冒頭の1ページを開いて、横浜に行く時の共に選んだ。最後の夏を目指す、その道すがら。飛行機の中で少しでも休養を取るつもりにしていたことも忘れて、引き込まれるように読みふけった。 中山さんの小説は、繰り返し、繰り返し、姿を変えながら一つの恋愛が立ち現れる。遁走曲のように、変奏曲のように、通底している作者の体験があるのだと思っている。デビュー作を読んだ後は遠ざかり、最近の小説で読み直すようになったので、新しい作品ほど作者の体験が昇華されている... ...続きを見る
香桑の読書室
2010/03/15 22:35
巡礼 『感情教育』 by 中山可穂
しばらく『巡礼』というものを、モチーフにいくつか語っていこうと思う。 母の愛を知らずに育ったレズビアンの女の末路、こんな言い方をしたらこの本を読んだ読者には殺されかねない。 主人公は二人の女性。全体の3分の1は那智の、3分の1は理緒の、そして最後に2人の出会いとラストまでが書かれている。那智は期待せず、諦めることで自分を守り流れるままに受身の人生を送っていく。 理緒は女だけを好きになり、本当の恋を出来ずに生きてきた。 二人の共通するところは愛されたことがないこと。愛し方が分からないこと。... ...続きを見る
■空蝉草紙■
2010/06/16 13:37

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは☆
すごく、もやもやが残る終わりでしたよね。
この2人の始末をどうつけるか?というのが、その後の小説を中山さんに書かせた命題だった気がします。
『マラケシュ心中』の形になって、作者自身が始めて始末をつけることができたんじゃないかな、と思いました。
香桑
2010/03/15 22:43
香桑さん、ありがとうございます(^_^;)。
こんなマイナス方向の文章でしたのに・・・なんだか申し訳ないです。
綺麗に終わりをつけることは、現実的に言って無理なのかもしれない、でも物語だからこそ、その光の兆しが見たい・・・という勝手な私の思いがありました。
『マラケシュ心中』、夫ある女性を愛した物語で、最後には光がありましたものね。
水無月・R
2010/03/15 23:21
トラバありがとうございました。
私はどうにもこうした作品にのめり込んでしまうので(いや、ノーマルですが) ついつい感傷的な読み方になってしまいます。
なので、水無月・Rさんの客観的な読まれ方がとてもリアリティをもっていてうなづけます。

中山さんのこの手の?作品ですと「サグラダファミリア」が一番素敵ですよ。わりとほんわかで。
(あら?おかしい……トラバの通知がメールで来たのに、コメントもいただいているはずなのになぜか反映されていない…なぜ??)
空蝉
2010/06/17 13:34
空蝉さん、ありがとうございます(^^)。
いえ、私も中山さんの作品はのめり込んじゃいます。おかげで、読むのに体力がいりますが(笑)。
今回は〈家庭維持派〉として、頷けないなぁ・・・という思いが強かったのですよね。
水無月・R
2010/06/17 23:11

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