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zoom RSS 『黒い髪のアリス』/岡本蒼 ◎

<<   作成日時 : 2010/06/05 23:17   >>

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完璧にジャケ借り(買いではなく、図書館から借りるというあたりが、水無月・Rだな(^_^;))だった、この『黒い髪のアリス』。表紙のイラストの色合いや構図がいいし、元々、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は好きなモチーフですし。著者、岡本蒼さんの名前に〈蒼〉が入ってるところも、水無月・R的にポイント高♪
ところが、読み始めて・・・アレ、なんか違うな〜?う〜んう〜んちょっと失敗しちゃったかな〜、と微妙な違和感を覚えてたのですが。epilogueの終わりの方で、すとん、と綺麗におさまって、びっくりしました。
うん・・・これは、すごいと思います!

姉・梨夏(りか)の家に遊びに行くと、姉は不在で義兄の直樹に留守番を頼まれる。直樹が飼い犬のチアキとコハルの散歩に行って戻って来ても、まだ梨夏は帰ってこない。
姉の家から帰る途中、朝からなんとなく感覚的に鮮明になっているような違和感を抱えたまま、不思議な人物の後を追って入った紅茶専門店で、冬子(とうこ)は・・・。

いわゆるパラレルワールド、同じ登場人物が別の生活をしていて少しずつ違う世界が広がっている。各章、語り手も物語も、違う。

第一章「しあわせの小鳥」
姉・梨夏が雪山で行方不明になった。義兄の直樹が現地へ行っている間、姪の千秋と小春を預かることになった冬子が、この世界での出来事を語る。
第二章「花の咲く庭で」
会社員の姉・千秋と共に暮らしながら、叔母・冬子の経営するカフェでアルバイトをする大学生・小春が、この世界での出来事を語る。
第3章「隣のアリス」
9年前、恋人・梨夏が失踪し、未だ彼女の存在を引きずって生活している直樹の元に、アリスだと名乗る少女が現れる。直樹が語る、この世界の出来事。

それぞれの章で、梨夏の不在に何か不穏なものを感じていたのは、何故だろう。第2章なんて、梨夏は海外で暮らしているというだけで、小春達に電話をかけてきたりするというのに。
それが、epilogueで梨夏が現れた瞬間、全ての物語がすぅっと収束した。
梨夏の帰還によって、幸せと安心が押し寄せてきた。
多分、物語の中心は冬子なんだと思うんだけど、それは梨夏が確固として存在することによって、より安定したものになる・・・そんな気がしました。
現実と少しずつ、ズレている世界。ふわふわと浮遊する、その心許なさ。
それぞれの物語はハッピーエンドだから、それでよいと思っていたのだけれど。
冬子が垣間見てきたそれらの物語をそっと抱きとめて、ゆっくりと優しく下ろしてくれた姉・梨夏への、冬子の信頼というのか、姉妹という<存在>の確かさ感じられて・・・素敵でした。

・・・余談ですが、挿絵家テニエルの描く『不思議の国のアリス』のアリスは、ウェーブのかかった金髪の少女でしたが、ルイス=キャロルの愛した、実在したアリス=リデルは黒髪の少女だったそうです。

(2010.06.04 読了)

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