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zoom RSS 『Another』/綾辻行人 ◎

<<   作成日時 : 2010/08/05 21:19   >>

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うわぁ・・・。
メインの物語は何とか終ったけど、繰り返され続ける「3年3組の災厄」の抜本的解決は出来そうにないという・・・。後味悪ぅ・・・。
大体、何が・何故・どうやって・誰が、という理屈が全然、通らないんだもの。クラスに紛れ込む<死者>にも一欠けらの悪意 もなく、記憶を操作されている。
<現象>としてとらえるしかない、<災厄>。
綾辻行人さんの放つ、ホラーとミステリーの融合!
2010年「このミステリーがすごい!」の第3位を受賞した、『Another』、じわじわと迫りくる<災厄>の理不尽さが、非常に怖ろしいですよ。

父の海外赴任のため、母方の祖父母の住む「夜見山市」に移ってきた少年・榊原恒一は、転校直前になって「自然気胸」のため入院。1カ月遅れて、「夜見北中学3年3組」に転入する。
恒一に対して気さくに関わって来るクラスメートたちが、何故かただ一人の女生徒に対してだけは<いないもの>のようにふるまう。いじめではなく、何かに脅えるように・・・。
訳が分からず、そして入院中に1度会い、なんとなく気になった・・・という理由で、その女生徒・見崎鳴(ミサキメイ)に声をかける恒一だが、周りは慌て、当の鳴も「いいのか?」と聞いてくる。
そして、何かの幕が切って落とされたかのように「3年3組の災厄」が始まる。
次々と、3年3組に襲いかかる<死>。クラスを構成する生徒・教師、そしてその親兄弟に事故や病気などによる死が訪れ、あるいは自殺も・・・。
全ての原因は、26年前に<死んだクラスメートを、死んでいないと「演技」し続けた3年3組>にあるという。その後「夜見北中学3年3組」には、何故かクラスの構成員が一人増えて机が足りなくなり、毎月クラス構成員及びその二親等までの家族に死が訪れ続ける。構成員が増えない年度には、その<災厄>は訪れない。
紛れ込んだ<死者>は、学年が終わると姿を消し、その存在もまた、関わった人々の記憶や書類およびデータから綺麗に消え去ってしまう。

ああ〜、いかん。あらすじ書こうとしてたんだけど、全然話が進みません(-_-;)。
うう・・・やめよう。大体、すんごい分厚いんだもの、この本・・・。図書館でようやっと予約の順番が回ってきた〜、と受け取りに行った時の驚きったらないっですよ。厚み4センチ・・・。でも、読み始めたら、早かった・・・とにかく先を知りたくて、すごいスピードで読了してしまいました。

気胸を患う主人公の少年、義眼の美少女、理不尽なまでに続けざまに、3年3組に襲い掛かる<死>。<災厄>が起こらないように、皆で必死に執り行う<おまじない>。
誰にも気づかれず紛れ込む<死者>は、今年度のこのクラスでは誰なのか・・・?
1998年の26年前という、リアルな発祥を持ちながらも、表沙汰にはならず、水面下で伝えられ続けた<災厄>。
実際にこんなことがあったら、大騒ぎになると思うんだけど・・・どうだろう。
<おまじない>を思いついて実行した年度もすごいけど、それが一応の効果があった年もある、というのもなんだかすごい話だ。
リアリティがあるようで、ないようで・・・どっちなんだよ!と言われそうなんだけど、私の中では決めきれない。
そこが、怖い・・・。

連続する<死>を止める方法は、15年前の偶然の事故から判明した。それを実行した者は、記憶が薄れないうちにテープにそれを口述し、教室に隠した。恒一たちはそれを発見し、聞いて、<対処>の方法を知る。
だが、それを実行するのは・・・。
たまたま今年度には、<死の色>の見える鳴がいたから、そして恒一がいたから、最終的な<対処>は行えたけれど。これから先の年は、<死者>を見抜く事は出来ない。見境なく<対処>する訳にもいくまいし、見抜けたとして、本当に実行出来るのか・・・。
来年度から毎年、鳴に<死の色>を見分けさせるという、負担をかけるのか。それは無理だろう。大体、彼女に<死の色>が見えるというのは、恒一と鳴しか知らない事実だし、彼らはそれを公表しないだろうし。

ミステリーとして読むと、<災厄>の仕組みなど明確にならないから、不十分なのかもしれない。「このミス」受賞してるけど・・・。
だけど、夜見山市という場所に限定される、土着型ホラー(ただし、成立は新しいけど)という意味では、理不尽な恐怖感を煽り、成功しているとおもう。
何故・どうして、が分からないと、かなり怖いです。
それに文中にもありましたが、「よみ」と付く時点で「黄泉」に通じちゃうんで、かなり不吉な地名ですよねぇ・・・。確とした根拠はないものの、不気味さを煽るネーミング、そして最初に死んだのに<いる>とされた生徒の名前も「夜見山」。厭な感じに、恐怖をそそりますね。(作者の狙い通りといえば、その通りなんだけど)

ホラーやミステリーな部分が中心なんだけど、実は私、恒一や鳴の中学生らしい生活や事象のとらえ方なんかが、とっても新鮮で「青春もの」な感じもすると思うんですよね。
あの年頃の、ちょっとした人間関係のあり方、考え方。成長というほど変わっていないけど、それでも確実に少しずつ変化していく子供達。
主人公が、ちょっとした病気を抱えている都会の少年・恒一と眼帯美少女(しかも眼帯の下は蒼い義眼)の鳴、という組み合わせも絶妙。(恒一の容姿は分からないけど、多分すっきりとした賢そうな顔立ちなんだと勝手に設定)

あ〜!そうそう!そう言えば、綾辻さんのホラー作品にちょくちょく出没する<咲谷由伊>ですが、今回は夜見北中学に寄贈された宿泊施設の名前に出た来ましたね、<咲谷記念館>って。
今作では名前(しかも名字)だけというのは、<咲谷由伊>が人として出てくるのは、もうちょっと混迷度の高い不条理ホラー系なのかな・・・、とか考えてみましたが、如何でしょうか(←誰に聞いてるの?)。

最初に「後味が悪い」、と書きましたが、でもすごい物語だと思います。
後味は悪いけど、読書体験としては、印象的で、読んでよかった!と思っています。

(2010.08.04 読了)


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アナザー Another 綾辻行人 角川書店
この本を手にした時に、むちゃ長い・・と思って、眩暈がしましたが(笑) 読み出したら、一気でした。 まず、装丁がいいですねえ。この本の成功は、半分ほど、この装丁が 担ってるんじゃないかと思うほど、鮮烈な印象の表紙です。 こういうホラーは、入れ物がとても大事。 角川、いい仕事しましたねえ〜〜。(何者やねん) ...続きを見る
おいしい本箱Diary
2010/08/07 11:23
「『Another』/綾辻行人 ◎」について
「『Another』/綾辻行人 ◎」について 本書を持って綾辻氏のホラーとミステリの融合が完成した、と見る人が多いだろうが、むしろどちらにも属さない新境地を開拓したと見るほうがしっくりくる。 本屋を覗いても書評のカテゴリなどをみてもたいていホラーとミステリは同じ棚か隣り合わせに配置されている。 ミステリー作家にしてホラー作家というのも多いしその逆もしかり。そもそもホラーとミステリ、ことに猟奇的な殺人事件やおどろおどろしい伝説の類が絡んでくるものとは仲が良い。事件解決を目的とするかどうか... ...続きを見る
■空蝉草紙■
2010/08/24 12:14

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは♪確かに、一番大きな謎は放置のままでしたよねえ。ミステリーというよりかは、ホラーに近い作品なのかと思って読みました。
怖いお話って、ぞくぞくして大好きです(笑)久々に、気持ちよく騙されて楽しい作品でした。
ERI
2010/08/07 11:21
ERIさん、ありがとうございます(^^)。
来年度以降は、どうするんだろう・・・と〈フィクション〉なのはわかってるのに一抹の不安が・・・(^_^;)。

やっと順番回ってきた〜、うわぁ夏だ〜ホラーに最適な季節になっちゃったよ〜、とびくびくワクワクしながら読みました。
綾辻さんのホラーはかなりキますもんね〜♪
水無月・R
2010/08/07 23:58

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