蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『蜜姫村』/乾ルカ ○

<<   作成日時 : 2011/08/01 22:07   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

面白かった・・・けど、結構グロかったです(^_^;)。
陸の孤島のような山奥の小さな集落には、秘密がある。老人が多く医者もいない村なのに、何故か村人たちは皆、健康的で元気なのである。
その秘密に触れてしまった都会から来た女性、その娘、そしてそのまた娘。3代の女たちが関わった、この村の秘密とは。
乾ルカさんは、全くの初読みですねぇ。実はどういう作風の作家さんかも全然知らなかったんですが、新聞書評を見て「なんか面白そう」ということで、チャレンジ。
『蜜姫村』は、人里離れた山奥の秘密や代々伝わる特殊能力・・・一言では言い表せない魅力を持った作品でした。

昆虫学者の夫と共に、滝埜上村・仮巣地区に来た、女医・山上和子。医者のいない地区だというのに、医者としては歓迎されるどころか、奇妙な形で拒まれる。ある日、余所者は入ってはいけないという社(やしろ)に夫は入って行き、戻ってこなかった。だが、夫は死んだのではない、きっと禁忌を犯したため幽閉されているのだ、と直感した彼女は、村に残って、女の子を産む。
村の子供として育ったその娘・優子は4歳の時、医者である和子も知らない奇病に罹る。優子の命を救うため、村人に頼みこみ、禁忌の社と教えられていた〈天上〉でその地の主「蜜姫」の元へ行く。
蜜姫は、優子は助けるがその条件として黒王(蜜姫の息子)の嫁としてもらう、和子は別の屋敷にて暮らす、といい放ち、優子を救うための儀式を行い、優子から吸いだした病を和子の夫(天上に囚われていた)に移し、発狂した夫を斬り殺させる。和子は、その代わりのように、幽閉される。
黒王の未来の花嫁として育てられている、お優(優子)。彼女は長ずるにつれ、自分の世話人でもある大蜂を愛するようになる。大蜂もお優を愛していたが、未来を予見できる黒王は絶対的存在であり、叶わぬ想いとして秘めてきた。だが、お優が初潮を迎え、床の作法などの指導が始まり、黒王との婚儀の日取りが決まる頃、二人の想いは溢れだしてしまい、一線を越える。隠れて逢瀬を続けるうちに、お優は子供を身ごもり、二人は天上を脱出する。その際の争いで黒王は怪我を負う。
山を離れ、はるか遠い海岸の町で、大蜂とお優の二人の生活が始まる。不穏な予感をはらみながらも、表向き平穏に続くかに見える日々の中、お優は娘を出産する。娘の名は有紀。
そしてある日、天上から黒王と蜜姫自らが追手となって、二人の前に姿を現す。
黒王と争い、黒王と刺し違えた大蜂。自らの血族である大蜂とその娘に病毒を注ぎ込もうとした蜜姫は、約束を守るために自害し、全ては、終わった。
年月は流れ、使命を感じて仮巣を訪れた女がいた。山上有紀である。有紀は、蜜姫の能力も、黒王の能力も併せ持っている。故郷を守るため、彼女はここに降り立った。

まあ、ストーリーはそんな感じで、大蜂とお優の愛や逃避行の物語なんかは、割とベタなんですよね。
ただ・・・すごいと思うのが、蜜姫の能力及びその結果の異形化。「じゅ、じゅ、じゅるる・・じゅるり」ってうわ〜!うわ〜!激しくおぞましいです。蜜姫の吸い取った病毒を注ぎ込まれ、腹が膨れ異形化し、発狂し人ではなくなり、大蜂に斬られる、壺。その骸は別の者たちによって、病毒を散らさぬよう処理される。
最初にその能力が発現したお美津、予知能力が発現した五郎太、この二人の子孫は娘には蜜姫の、息子には黒王の能力が引き継がれ、その中でも必ず長子が一番の能力者となり、二番手以降は別の仕事と地位を与えられるという能力相続の厳格さ。その中でも黒王の2番手である大蜂が、壺を斬り殺す役目を負わねばならないというのが、悲劇的だ。
愛し合っているのに、ひたすらお優に仕えるようにして暮らす大蜂。お優と子の有紀の為に、黒王には及ばないが予知の力を私用し、力を疲弊させてしまう大蜂。私は何だか、この物語の一番の悲劇は大蜂にあるのではないかと思ってしまう。尽くすだけ尽くし、愛されこそすれその為に命を落す男。本人は満足だったのかしら。

ラストに、有紀が仮巣に「戻って」来るシーンが入る。
母も祖母も、大変な目にあった、その土地にそれでも帰って来る。受け継いだ2つの力と、学んで得た医療の知識を融合させて、仮巣を守るために。かつて遠い過去、約束したことだから。使命だから。
・・・ここがちょっと、ううん?って感じがする。何故有紀は2つの能力両方を受け継いだのか。何故戻ってきたのか?戻ってきたところで、仮巣の人々に受け入れられるのかどうか?ちょっと、ご都合主義的な気がするし、何だか無理やり慌てて物語を〆た、という感じすらする。
ここの部分がちょっと残念かなぁ。

(2011.07.30 読了)

蜜姫村
楽天ブックス
乾ルカ 角川春樹事務所発行年月:2010年10月 ページ数:251p サイズ:単行本 ISBN:97


楽天市場 by 蜜姫村 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
蜜姫村(乾ルカ)
うわー、面白かった!ホントに面白かったんだけど、めっちゃめちゃ気持ち悪かったーーーっ!! ...続きを見る
Bookworm
2011/08/02 12:38

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
蜜姫の能力は、ほんっとに気持ち悪かったです;;;読んでて吐きそうになっちゃいましたよ^^;あれは強烈でしたねー。
大蜂は確かに悲劇の人だと思いますが、彼自身はあれで納得というか、本望だったんじゃないのかなーと思います。というか、そう思わないと可愛そう過ぎて。。。
私もラストの有紀の行動には首を捻ってしまいました。なんかスッキリしないというか。ホント何故なんでしょうねー。
すずな
2011/08/02 12:47
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
人の役に立つ能力とはいえ・・・、あの描写はかなりキビシイものがありますね〜。
やっぱり大蜂は、本望だったんですかねぇ。どうもお優が世間知らずのお姫様過ぎて、大蜂が不憫でならないんですよね、私。
有紀の行動もそうですし、二つの能力が発言したっていうのも、なんだか運命的というよりはご都合主義的なモノを感じてしまって・・・ううむ?という感じでした。
水無月・R
2011/08/02 23:09

コメントする help

ニックネーム
本 文
『蜜姫村』/乾ルカ ○ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる