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zoom RSS 『ナニワ・モンスター』/海堂尊 ○

<<   作成日時 : 2012/06/14 14:57   >>

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海外(ノルガ共和国)で発生した〈新型インフルエンザ・キャメル〉。国外での流行に、厚生労働省がとった対策は「成田空港での検疫強化による水際作戦」。だが、浪速府に住む渡航経験のない子供に、感染が確認され…。
海堂尊さんの〈桜宮サーガ〉の番外編ともいえる、『ナニワ・モンスター』の始まりは、パンデミックの脅威を借りた、関西最大都市の経済封鎖。やがて物語は、意外な方向へと進行する。

数年前の、新型インフルエンザの猛威を思い出しますねぇ。
次々と学校は閉鎖し、薬局・スーパー・ホームセンターなどからマスクやアルコール消毒剤が姿を消し、我が家では早速流行に乗った次男が発症して家庭内隔離(笑)の上、タミフルのんでナチュラルハイになってビタミンCを讃える舞を舞ってましたっけ。・・・まあ、今となっては笑い話ですが、あの時はホントにいろいろ心配しましたわぁ〜(^_^;)。
ただ、キャメルは弱毒性。なのに、免疫がないから大流行する!大変だ!危険だ!と煽る、浪速大学の本田講師は、実は厚生労働省(白鳥とは違う主流派)の回し者。
中央の官僚たちの目指すところは、自らの保身と中央の絶対優位性。キャメルが流行しているという地域が実は、選ばれて検査キットを先に渡されていたが為に局地的流行と見られていたという、真実(すでに全国に蔓延していたはずなのに)。
操作された局地的パンデミックと、政治。生臭いし、あまりにも〈国民〉を置いてきぼり過ぎて、気分が悪くなる。国民あっての国ではないのか?

あ〜う〜。あらすじを追っていろいろ書こうと思ったんですけど、無理でした。
相変わらず海堂さんの作品は、いろんな事態がいっぺんに起きて、事態の裏表でキャラ立ちまくりの登場人物たちが丁々発止とやり合い、この物語では終わらない事態がいっぱい過ぎて…。
やっぱり、いつも通り支離滅裂、思いつけたことだけ書いていくことにします・・・(^_^;)。

本作で気に入ったキャラは、イエローモヒカンの毛利君と菊間診療所の徳衛名誉院長。あら〜この二人、姿かたちが両極端ですね(笑)。
イエローモヒカン・毛利は、見かけは派手だけど、上司・灰色ネズミの喜国に忠実だし、まじめで頭もいいし、なかなか好感が持てる青年だと思います。喜国とのやり取りもポンポンとはずんで、異能な登場人物たちが多いこのシリーズ中、ほっとできる〈フツウ〉の人ですよねぇ。
〈フツウ〉と言えば、徳衛先生も普通の老医師。地元の医療を支える、いい先生です。真摯に地方医療を思い、キャメルの流行に対しても冷静に対応する。
出来れば、キャメルに関する物語の方できちんと一本の物語を収束させてほしかったかな〜。
なんだか〈日本三分の計〉とか、浪速地検の中央官庁来襲とか、きな臭〜い感じがして、不安になっちゃうんですよ。
私たち読者のいる現実での事件とも、繋がってるような気がして。

村雨の最後の選択、驚いた。医療立国の要となるはずのAiを司法側に渡してしまうという・・・。Aiを医療の管轄下に置き、司法の下で殺さないという、彦根の切なる願いがばっさり斬り捨てられてしまった。確かに、検察という一大勢力を味方に付けることは重要なことだけど。村雨が打ち立てた「機中八策」(←このネーミングはちょっとあんまりな気がする)の第一項、「医療立国」は、どうなってしまうんだろう。

さて、白鳥は、本田講師の上司である国見教授の大学時代の同期として登場。全然暴れないうちに、物語から退場させられちゃいましたけど、国見の情報から行動を起こし始めたところを見ると、次に登場するときは存分に火喰い鳥の本領を発揮してくれるんじゃないかと期待してます。
出来れば、我らがアンラッキー中年・田口センセを巻き込んで、ネ♪
そういうスカッとする物語も、読みたいですねぇ。

ところで、実は私、浪速府のモデルである府の住民でして・・・。橋下さんは、村雨知事のモデルなのかな〜、この作品書かれた頃は、そんな感じもあったのかもしれないけど、現在はちょっとズレてきてるなぁ、と思ったりします。橋下さんが、大阪のために政治を続けてくれたら、良かったのに。村雨知事のような高潔さよりも、俗っぽさの方が前面に出てきちゃってる。維新塾とか言って、結局国政狙いで、地方のための尽力というのは、単なる踏み台だったのかなぁ、彼の中で。ちょっと残念です。

彦根が『イノセント・ゲリラの祝祭』で語っていた「必敗の戦い」、 『アリアドネの弾丸』で手がけていた「別件」ってのが、この作品の事態なのでしょうか。
この件が必敗を想定しているとしたら・・・、ちょっと辛い。
確かに、この戦いに勝てば、あまりにもこの〈桜宮サーガ〉の中の世の中は私たちの現実世界とは変わってしまう。私たちが海堂さんの作品を読んで、覚える危機感が薄れてしまう。だけど。矛盾するけれど、せめて物語の中では、救われたいという気持ちもあるのですね…。面倒な人ですな、私も。

そういえば、『モルフェウスの領域』でアツシがでコールドスリープに入ったのは確か2010年・・・。彼が眠っていたのは「硝子のでんでん虫」じゃなかったでしたっけ?とすると、Aiセンターは即座に人工凍眠の施設にすり替わらされたのか?!いや、でも・・・ううう、この辺の記憶があいまいだ〜。でんでん虫じゃなかったような気もするし。
〈桜宮サーガ〉、壮大すぎる〜(^_^;)。水無月・Rの記憶力では追い切れないよぅ〜〜。
そんな残念な水無月・Rの記憶力をサポートしてくださるのは、海堂尊ファンさんの《海堂尊非公式ファンサイト!登場人物のリンクを見てみよう!》というサイトです。
ホントいつもお世話になっております〜。
(残念ながらコールドスリープ施設の場所については、分かりませんでしたが…。もしわかる方がいらしたら、教えてください〜)

海堂さんの〈桜宮サーガ〉の着地点は、どこにあるんでしょうねぇ。Aiは、独立性を保って定着できるのか。
日本という国は、官僚亡国せずに済むのか。医療は、人を救えるのか。人々は、幸せになれるのか。
それが気になって、海堂さんの作品を追わずにはいられません。ある意味海堂マジックに、ガッチリ嵌ってますね(^_^;)。

(2012.05.12 読了)

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海堂尊 新潮社発行年月:2011年04月 ページ数:377p サイズ:単行本 ISBN:978410


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ナニワ・モンスター(海堂尊)
大阪府を彷彿させる関西最大の都市、浪速を舞台に繰り広げられる陰謀。村雨府知事はどう動くのか・・・。新型インフルエンザへの対応や、道州制など、現実世界とリンクするような海堂さんらしい作品。 ...続きを見る
Bookworm
2012/06/15 12:41
【ナニワ・モンスター】(海堂尊)を読了!
この国の病巣にメスを入れよ!  まずは来訪記念にどうかひとつ!  人気blogランキング【あらすじ】関西最大の都市・浪速で新型インフルエンザ・キャメルが発生した。経済封鎖されて壊滅的打撃を受けるナニワ。だが、その裏では霞が関の思惑が絡む巨大な陰謀が蠢いていた――。日本の大変革を目論む風雲児・村雨府知事は、未曾有の危機を打開できるのか。この国を救う“究極の処方箋”とは?・・・官庁、御用学者、マスコミ、、、旬と言えば旬の話題ではあるが、国の都合による情報操作がつくられていく過程が面白くもあり、あほら... ...続きを見る
じゅずじの旦那
2012/06/17 10:06
『ナニワ・モンスター』 海堂尊
今度の舞台は関西最大の都市・浪速市。ここで新型インフルエンザが発生し、人々がパニックになる「アウトブレイク」のような物語なのかと思いきや、実は浪速の独立や道州制実現と医療問題を絡めたポリティカル・サスペンスの要素が強い作品だった。 ちなみに神戸市は別に出てくるし、浪速府には”風雲児”と呼ばれる府知事がいて…ということはモデルは大阪なのだろう。 ...続きを見る
【徒然なるままに・・・】
2013/05/04 19:38

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
現実世界とダブってしまう部分も多くて、あれこれと邪推やらしてしまいながらの読書となった作品でした。特に新型インフル騒動は「ホントにこういうことだったのっ!?」と、海堂さんに詰め寄りたくなってしまいましたよ(笑)

最近、どの作品でも白鳥の活躍があまり見られなくって寂しいです;;;次こそは!と期待したいですねー。
すずな
2012/06/15 12:49
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
新型インフル騒動の顛末は、びっくりというかなんというか…でしたよねぇ。

次作こそは、火喰い鳥が暴れまわってほしいですね〜。白鳥暴れてこそ、って気がしますもんね(笑)。もちろん田口センセが振り回されてこそなんですけどね♪
水無月・R
2012/06/15 22:05
海堂さんも政治に首をつっこむようになって、批判がめだってきたような…
まぁ面白ければいいんですけどね(^^ゞ
じゅずじ
2012/06/17 10:11
じゅずじさん、ありがとうございます(^^)。
エンターテイメントとして面白ければ、私もいいんですけどね〜。
ただ、話が大きくなりすぎて、一見さんには優しくない感じになっちゃってるのは、残念です(^_^;)。
水無月・R
2012/06/17 22:09

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