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zoom RSS 『境遇』/湊かなえ △

<<   作成日時 : 2012/06/18 16:14   >>

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うう〜む。テレビドラマ用の書き下ろしだそうで、湊かなえさんらしい毒味がなくなっちゃってますねぇ。残念。
「些細な感情の連鎖が悪循環し、悲劇的な結果を生む」という、いや〜な感じだけど目が離せない展開が、湊さんの持ち味というと、失礼になってしまうかしらん。それを期待したりしてたんで、結構肩すかしです。結構物足りない感が・・・ですねぇ。
県会議員の妻であり、話題の絵本作家である陽子と新聞記者の晴美は、乳幼児の頃に親に捨てられたという同じ『境遇』を通して知り合い、親友となった。
彼女らに突き付けられた、陽子の息子の誘拐。脅迫状には「真実を公表しろ」とあったが・・・。

陽子・晴美の視点で交互に語られ、展開していく物語。陽子の息子・裕太を誘拐した「謎の女」の視点も加わり、雄太を救うための「真実」探しと犯人捜しがすすみ、2つの真実が公表される。
犯人が誰かは、かなり最初の方で想像がついたんだけど、動機が今一つ弱い感じ。しかも、陽子たちは、なんで許してしまうんだろう…。私だったら、私に対する憎しみや妬みなら、子供を利用するんじゃなくて、私に直接ぶつければいいのに、と許せないと思うんですよねぇ。
それと、陽子の身辺に出没していた女性の素性も、途中で想像がついてしまうんですよ。逆に、なんで登場人物たちみんな、そっちを思いつかないんだろう、って疑問。青いリボンは、陽子の物じゃないんだから、って私ですら思いつくんだけど。

ラストの走馬灯風なシーンの数々は、ちょっとやり過ぎ感がある。まあドラマのための物語だから、こういうやり方もありなのかしらん。もともと湊さんは脚本でデビューされた方ですしねぇ。
だけど、最後に陽子たちが作った〈裕太は誘拐されてはいなかったストーリー〉をぶち壊しにする「特別寄稿」は、いかがなものかと。一応親友の許可は得ているとはいえ、まだ裕太は15歳でしょう?15歳は微妙なお年頃ですからねぇ〜。

それと、陽子が控えめでいい人過ぎるのと、夫のために我慢しすぎてるのがイラッとした。そのいい人が、息子が誘拐されたっていうのに、妙に冷静なのもなんだかなぁ、と思う。陽子の夫、県会議員である正紀も、いい人が前面に出過ぎて、なんだか薄っぺらい感じ…。正樹の不正献金疑惑あたりで、サスペンス展開になるのかと思ったけど、そうでもなかったしな〜。

たまたま、O市図書館が絵本『あおぞらリボン』付の特別版を所蔵していたので、そちらの方を予約して借りたんですが、絵本は絵本で…なるほど〜という感じ。絵は、色遣いがきれいで可愛いんですが、絵本としては文章が説明的すぎる気がする。『境遇』という小説の中のアイテムを再現してみました、ってことなんだろうけど、絵本の内容は読者の想像力に任せてくれた方が良かったような(絵本の一番大事なシーンは、冒頭に挿入されてたしね)。

ちなみに、表紙に描かれた2人の少女は、誰なんでしょうね?この年齢の頃は、2人は出会ってなかったはずですが…?
表紙から受けるイメージは、いつもの湊さん風味(哀愁のあるダークさ)なんですけどね〜。
出来れば私、湊さんの悪意の循環や些細なきっかけの凋落などの作風の物語が読みたいなぁ。読んで「うわぁ〜、突き刺さるな〜、心当たりあり過ぎ・・・」って、思ってしまうような。湊さんとはほぼ同年代なので、何となく通じるものがあるからかもしれません。

(2012.06.17 読了)

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境遇(湊かなえ)
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「境遇」湊かなえ
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コメント(2件)

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物足りなかったですよねぇ…。ドラマ用ということで制約もあったんでしょうけど、ちょっと残念でしたね。
絵本は読んでないので読みたい!と思ってたんですが、それもイマイチな感じですね^^;
すずな
2012/06/19 12:44
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
大人の事情ってやつでしょうか…(^_^;)。
絵本の方、感じ方はそれぞれだと思いますよ。絵はすてきでした。絵本としてのストーリーも、シンプルでよかったんですけどね〜。
いかんせん文章が、大人向けの小説家の文だなぁって感じで。ちょっとそれが、もったいなかったです…。
水無月・R
2012/06/19 22:37

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