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zoom RSS 『GOSICK [ 上 〜神々の黄昏〜』/桜庭一樹 ◎

<<   作成日時 : 2012/09/16 00:04   >>

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時は20世紀初頭。世界全体に大きな変化をもたらした、あの二つの大戦の合間の、かりそめの平和の日々。ヨーロッパの架空の小王国・ソヴュールの奥にたたずむ聖マルグリット学園は冬休みに入り、欧州最後にして最高の頭脳を持つ少女・ヴィクトリカは、日本からの留学生・久城一弥とわずかな教職員と共に、穏やかな休暇の日々を過ごしていた。
桜庭一樹さんの『GOSICK』シリーズも、クライマックス。
『GOSICK [ 上 〜神々の黄昏〜』では、今まで少しずつ影を濃くしていた世界状況、とうとう戦乱の波に飲み込まれる少年少女たちが描かれる。

冬休み直前の喧騒が過ぎ、静かな休暇に入った聖マルグリット学園。クリスマスに15歳の誕生日を迎えたヴィクトリカは、一弥に「15個の謎を献上しろ」と命じる。学園内だけでは事足りず、村まで足を延ばした一弥は、村に滞在する都市部貴族やその奇妙な行動に気づく。一弥の報告を聞いたヴィクトリカは明確に事態を察し、一弥に贈り物をする。
その晩、一弥は本国へ連れ戻されてしまい、そして翌朝にはヴィクトリカも、父・ブロワ侯爵の命により首都・ソヴレムへと送還される。
本国に帰った一弥は、数ヶ月を実家で過ごしたのち、召集令状を受けて、出征する。
ソヴレムの大監獄〈黒い太陽〉に収監され、薬剤を摂取させられ正気を手放したヴィクトリカは、様々な世界情勢の情報を聞きながら未来予測をする、オカルト兵器として父に利用されていた。
学園は閉鎖され、セシル先生は親友の寮母・ゾフィと共に村の宿屋を手伝って暮らし、ロンドンへ戻ったアブリルは空襲や迫りくる戦乱への恐れを抱きつつも健気に生活いしている。
それぞれが、ばらばらになって、迫りくる不安と闘いながら。

引き裂かれた少年少女たち。
優秀な頭脳を持つが故に、人としての尊厳も考慮されることなく利用されるヴィクトリカ。
ヴィクトリカを置いて離れざるを得ず、悔恨の日々を送る一弥。
ソヴュール王国内でのオカルト省と科学アカデミー省の対立とその余波。
瞬く間に広がり、全世界を二分する戦火。

一弥の手紙を体に刻むヴィクトリカのその覚悟に、胸が苦しくなった。〈黒い太陽〉での、まるで人形のように生気を失い、熱に浮かされているかのように予言を呟き続ける姿は、痛ましくてならなかった。
ヴィクトリカと離れ帰国した一弥を見て、一弥の姉・瑠璃が感じたこと。
守りたいものがあるのに、そのための直接行動をとることはできない、その切なさ。
とにかく、本当に、息苦しくて、悲しくて、切なかった。
とにかく、続きが読みたい。
母・コルデリアの協力によって、脱出したヴィクトリカがどこに向かうのか。戦場へ向かった一弥がどうなるのか。セシル先生やアブリル、ヴィクトリカの兄・グレヴィール・ブロワ警部の行く末は。
彼らは、どんな結末を迎えるのだろう。気になって仕方ない。

コルデリアがブロワ侯爵に仕掛けた、凄絶な「引き分け」の戦い。
ヴィクトリカを連れ出したのは、兄・グレヴィールなんだろうか。ぜひ、そうあってほしいと願う。グレヴィールは、父の命に少しずつ違和感を感じ始め、そしてヴィクトリカの「人」としての存在を認め始めていた。私は、グレヴィール・ブロワ警部がトホホなのが大好きなのだけれど、彼の中には正義を愛する強く優しい心があることも、知っている。どうか、妹のために一条の光を与える役割を、彼に。

なんだか中途半端な感想です。上下巻なので仕方ないんですけどね。
ホントに早く、下巻が読みたいです…。

あ、そうそう。
一弥の出征の時、瑠璃の教え子たちからフランス語と可愛らしい庭園の様子を刺繍をした手ぬぐいを渡されました。一弥の「ふぁんくらぶ」なんだそうです。うわぁ、一弥ったら、モテモテですなぁ(笑)。まあそうよねぇ、女学校でも大人気の、素敵な久城琉璃先生のハンサムな弟さんで、ヨーロッパ帰りの好紳士で、女生徒たちにも優しんですもの。このエピソード、すごく良かった。緊張高まる戦争の気配のなかの、ささやかな暖かさ。
きっと、紆余曲折はあったとしても、ハッピーエンドを迎えられるだろうという予感がします。そうなってほしい、どんな形であっても。
ただの小説なのだとわかっていても、そう願わずにはいられません。

(2012.09.14 読了)

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桜庭一樹 角川書店 角川グループパブリッシング発行年月:2011年06月 ページ数:306p サイズ


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