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zoom RSS 『空飛ぶ広報室』/有川浩 ◎

<<   作成日時 : 2012/10/18 21:10   >>

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水無月・R大絶賛!読んだら即萌え!萌えの女神降臨!有川浩さんですよ!
でも本作『空飛ぶ広報室』ではあんまり、ぎゃあぎゃあ萌えのたうち回るんではなく、色々なことを考えて、自らを反省したりもしました。
「自衛隊」という組織に対する色々な見方や評価、自衛隊の目指すところとその覚悟、そしてどんな「組織」も〈人〉が運用しているのだということ。
そして、単行本化に際して描き下ろされた短編「あの日の松島」。泣きましたわ〜。
今回、萌え語りはあまりないんですが、思うことは沢山あって、順不同で書き連ねていくと思いますので、私の長広舌をお許し下さる方のみ、続きをどうぞ。

『塩の街』をはじめとする陸海空三部作、『クジラの彼』『ラブコメ今昔』で自衛隊を作品に取り上げてきた有川さんですが、本作では、実戦部隊ではなく広報室を題材に取り上げています。
自衛隊の広報って、自ら企画を売り込みに行ったりするんですねぇ。思いつきもしませんでした。
報道対応はしてるぐらいのイメージだったんですけど、違うんですねぇ。びっくり。
広報室の面々は、自衛隊という一般によく知られていない存在を、世間に好感を持ってもらえるように、興味を持ってもらえるようにと、尽力する。そして、耐えなくちゃならないこともたくさんある。
読んでて、ワクワクすることも心無い偏見に胸が痛むことも、彼らと一緒に体験したような気がしました。

私、有川作品はもちろん『ファントム無頼』など新谷かおるさんの漫画作品読んだりしてるんで、多少自衛隊についての知識はあるつもりでいたんですが、TVディレクターの稲ぴょんこと稲葉リカと一緒に、自衛隊について知っていった気がしますねぇ。基地と駐屯地の違い、両方の名称は知ってても、理解してませんでしたもの。
知ってるつもりの私だってこのレベルなんだから、興味のない人はもっと。
そんな人にこそ、読んでほしいです。難しいでしょうけど(^_^;)。
多分、この作品読んで「なにこれ、自衛隊の広告小説なわけ?」って、反感持つ人もいるでしょう。
不祥事の話や組織の問題点の話などは、入ってませんもんね。
でもね、自衛官だって人間で、国防(大切な人を守りたい)という志を持って、日々鍛錬しながらも有事など起こらないでほしいと願い、でも災害などが起これば率先して活動し、国民に少しでも安心を提供したいと願っている。
私は自衛隊に偏見を持っていない方だと思うけど、他の組織や団体は?
本作品で、組織で括って断定することがあまりにも乱雑な考え方だと、思い知らされました。

さて、固いハナシはこの辺で(水無月・Rのキャラに合わないし(^_^;))。
本作で一番素晴らしかったのは「詐欺師」鷺坂広報室長ですなぁ(笑)。
いいわぁ、有能で喰えないおっさんって!外見はただのおっさんなんだろうけど、すごくかっこいい。こういう上司が欲しいです。苦労しそうだけど(笑)。
〜 「見といで稲ぴょん。こっから全部おいちゃんのターンだ」 〜 (本文より引用)
このセリフ、しびれましたわ〜。そんでその後の一連のくだり、「うぉぉ凄い凄い」と笑わせていただきましたわ〜。
相手との交渉術、自衛隊内部での折衝、輝きまくってます、鷺坂。素敵です!
喧嘩屋中年だけじゃなく、喰えない有能中年にも萌え〜!です〜♪

不慮の事故でパイロット資格を失った空井、一度は手にした報道記者からプロデューサーへと職種替えさせられたリカ、このふたりのショックと挫折、そこから立ち上がって前へ進んでいく成長物語という王道に、いろんな要素がからんで、とても面白かったですね。
TVドラマやアイドルのPVやバラエティの制作過程の一部だけでも興味深かったし、「航空自衛隊」という存在をそこへ織り込もうという広報室の人々の努力や、現場の自衛官たちの姿、ところどころで起こるとんでもないトラブルとか、へぇ〜って感心したり、なるほどと納得したり。

中心人物の空井とリカ、鷺坂以外にも、広報室の面々は大変キャラが濃い(笑)。
航空自衛隊トップの幕僚長の前でも遠慮なく尻を掻く〈おっさんが憑いている〉残念な美人・柚木、オレ様広報幹部な片山、柚木の保護観察官・槇、下士官ながらベテラン広報官・比嘉、それぞれが真摯に職務に取り組む姿は清々しいのに、なぜか会話が非常に笑える。
柚木と槇、片山と比嘉の間にあるわだかまりを解くドラマも、いい。
空井とリカの関係は「じれったい愛の神髄を行くしね。二人がお互いに向き合うことを怖がってた時期「あいつらもう付き合っちゃえよ!」って言われたりして、読者よりも周りの人物たちの方がヤキモキしているという(笑)。しかも、作品中で進展しないんですが、逆にそれがいいかなって思う。
今回はべた甘ラブロマというよりは、懸命に仕事に立ち向かっていくというのがメインストーリーだと思うので。

追加短編「あの日の松島」について。
読みながら、ずっと泣いていたと言っていい。
2011年3月11日あの瞬間、私は家にいた。普段の地震とは違う異様な揺れに不安を感じ、つけたTVに映った映像の衝撃。次々と入ってくる、続報。そして、全てを押し流す圧倒的な津波の映像も。
そして、自衛隊の基地も被災したこと。被災していても、災害救助のために出動する自衛隊の人たち。
自分や家族が被災者であっても出動する、警官・消防官や病院関係者、自治体の職員たちに加え、自衛隊隊員も報道の対象になった時、「この人たちだって、被災しているのに、」と思った。
私に、出来るか。難しいと思った。
だから、この短編を読んで「覚悟があるかないか」という分岐点を知って、納得がいった。
私は、その分岐点を乗り越えられるだろうか。わからない。
作品中に、おむつや生理用品ですら、支援物資からはもらわず、各基地から集まってきたカンパからまかなったとあって、愕然とした。
そんな事実を、気負うことなく物語にし、さらには「自分たちに寄り添うのではなく、自分たちの活動が国民への安心へつながるように報道してほしい」と、報道としての役割をそっと依頼する。
リカと空井が、ちょっとは進展するのかななんて思ってたけど、そんなことよりずっと、こういう物語の方がいいですね。
きっと、二人はまた会う機会はあるから。今は恋愛よりも、真摯にお互いの職務を全うして、お互いの能力や役割を高めたらいいと思えるラストでした。

(2012.10.17 読了)




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有川浩 幻冬舎発行年月:2012年07月 ページ数:462p サイズ:単行本 ISBN:978434


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タイトル (本文) ブログ名/日時
空飛ぶ広報室
有川 浩 2012 幻冬舎 久しぶりに有川さんが描く自衛隊。しかも、長編。目次を見て、ああやっぱり、と思った。「あの日の松島」それを書く作家は有川さんしかいないだろうし、有川さんなら書かないわけがない。ほんの少しでもむくわれてほしいな。いたわられてほしいな。知らず知らず涙が出た。 有川作品を読んでいなかったら、ブルーインパルスが松島基地にいることを知らなかっただろう。3.11の報道で松島基地の映像 ...続きを見る
香桑の読書室
2012/10/18 23:02
空飛ぶ広報室 有川浩
空飛ぶ広報室著者:有川 浩幻冬舎(2012-07-27)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る オススメ! 不慮の事故でP免になった戦闘機パイロット空井大祐29歳が転勤した先は防衛省航空自衛隊航空 ... ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2012/10/18 23:47
空飛ぶ広報室(有川浩)
泣いた、泣いた、泣きまくったーっ! ・・・と、今回の有川さんの新刊は泣きのツボを押されまくった長編でした。 ...続きを見る
Bookworm
2012/10/22 12:48
【空飛ぶ広報室】(有川浩)を読了!
自衛隊のことって、一般的にはどこまで知られているんだろう!?  まずは来訪記念にどうかひとつ!  人気blogランキング【あらすじ】戦闘機パイロットの夢を不慮の事故で断たれた空井大祐が、転勤先の防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室で出会ったのは、記者の夢を断たれ悶々としていたテレビディレクターの稲葉リカだった。大の自衛隊嫌いのリカの言葉に刺激されながら、空井は、少しずつ新しい夢を追い始める・・・へぇ〜!知らないことがいっぱい、しかもクスクスッと笑えるそんな話が盛り沢山。親戚にも知り合いにも自衛官は... ...続きを見る
じゅずじの旦那
2012/11/08 12:10
「空飛ぶ広報室」ネタバレ感想&SSS
この本が発売された頃、ちょーどすっごく忙しくて!ですねー ...続きを見る
ペンギンウォーク
2013/01/22 01:52
書籍「空飛ぶ広報室/有川 浩著」お約束通りの面白さ
書籍「空飛ぶ広報室」★★★★ 有川 浩著 , 文藝春秋、2012/7/27 ( 462ページ , 1.680円) ...続きを見る
soramove
2013/01/22 07:38
「空飛ぶ広報室」 有川 浩
空飛ぶ広報室 不慮の事故でパイトット免許を剥奪された空井。 パイロットでなくなった彼が配属されたのは、防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室。 待ち受けるのは、ミーハー室長の鷺坂をはじめ、尻を掻く紅一点のべらんめえ美人・柚木、鷺坂ファンクラブ2号の気儘なオレ様・片山など一癖も二癖もある先輩たちだった。 「あの日の松島」を書き下ろした待望のドラマティック長篇。 ◆◆◆ 私的に泣きどころが多くて、わりとしょっぱなから泣きまくって、読み終わってみれば明け方で目が溶けそう。 有川さんはデビュー作が自衛隊もの... ...続きを見る
BOOKESTEEM
2015/02/08 15:14

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは☆
思わず、読み直し始めて、持ち帰り仕事を放り出しそうな勢いになってしまいました。
何度だって読み返して味わいたい、濃い物語です。
物語だけど、いろんな現実を感じました。

やはり、白眉は「あの日の松島」です。
こんな活動を通じなくても、認知、理解、評価を得られますように。
なんだか気持ちが溢れすぎて、うまく言葉にできません。
香桑
2012/10/18 23:22
こんばんは^^
本当に、良かったですよね。
いつも萌えや悶えを求めている有川作品ですが←
今回はそこまで恋愛がベタ甘じゃなくて良かったかなと思いました。
自衛隊の広報室の仕事をちゃんと知ることが出来て良かったなと思います。この作品を読まなければ本当に知らないで勘違いしたままだったこともありましたし。
「あの日の松島」良かったです。あの時の状況をちゃんと知ることが出来て良かったと思いました。
苗坊
2012/10/19 00:12
香桑さん、ありがとうございます。
本当に、現実的な物語でした。
自衛隊の人たちが、〈守りたい〉という気持ちで、懸命に活動してくれること、もっと伝わるといいですよね。
報道の受け取り方についても、考えさせられました。
本編はもちろん、「あの日の松島」も、これからもずっと何度でも読むことになると思います。
水無月・R
2012/10/20 22:47
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
そうですね、現実につながる物語になったので、こういう方がいいと私も思いました。
自衛隊は、いろいろな誤解や偏見を受けているからこそ広報室の仕事は重要で、その物語を読むことができてよかったと、思います。
水無月・R
2012/10/20 23:03
私も自衛隊に広報室って!?と思ったんですが、作品を読んで、確かにこれも必要なことなんだなぁと思いました。
登場人物がもうみんな個性的で魅力的でしたね。彼らに笑わせても貰いましたが、それよりも泣かされたことが多かったです。じっくり深く読めるような作品だったなぁと思いました。
なによりも「あの日の松島」を読めたのは良かったです。
すずな
2012/10/22 14:47
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
ホント、登場人物のキャラがすごく濃かったですよねぇ。詐欺師にオレ様に残念な美人に保護観察官、他諸々(笑)。笑える個性だけでなく、それぞれの『人間性』の強さと美しさが、素晴らしかったです。
「あの日の松島」が、本当に心に沁みました。
水無月・R
2012/10/22 15:45
自衛隊の広報、めだてばいいというものでもないし、深く知ってもらうのは本当に難しいんでしょうね。
法律的なしばりもあるし、ただ誤解されていることもあるのを知って、読んでよかったと思ってます。
松島…
なんか理不尽な思い。
法整備の必要性を感じました!
じゅずじ
2012/11/08 12:18
じゅずじさん、ありがとうございます(^^)。
自衛隊という組織の広報は、偏見や公務員という立場、いろいろと苦労が多そうですよね。
それでも、守りたいという志で活動してくれる人たちに、感激しました。
被災地での活動に、あんな制限があるなんて、知りませんでした。本当に理不尽ですよね。
水無月・R
2012/11/08 12:27
こんばんわ〜 りかですvvv
コメントして下さってありがとうございました!
ぢつわ私ね、自分が書くまでは他の方の感想は読まないようにしているのですが...思ってしまいました!
我ながらとことんエンタメ思考だなーって!(笑)
もう、脳がそっち(萌え)の方向にしか行かないようです。(笑)
有川作品はどんな題材を取り上げようとも、登場人物が魅力的なトコロがとっても好きなんですよvvv
りか
2013/01/22 02:15
りかさん、ありがとうございます(^^)。
いえいえ〜、私もエンタメ思考ですよ〜(^_^;)。
萌えの欲がうずうずしてきますもん、有川作品読んだら(笑)。
登場人物のキャラがすごくたっていて、だけど暴走して訳が分からなくなることもなく、きちんと物語が進んでいくというのも、スゴイですよね。
ホント、有川さんの作品、大好きです〜♪
水無月・R
2013/01/22 22:50
こんにちは。ブログをお引越ししてから初めての書き込みになるような気がします。今年はも少しコツコツブログを書いていきたいなぁと思っているのでよろしくお願いします(・・*)

それはさておき、私も「見といで稲ぴょん。こっから全部おいちゃんのターンだ」←この台詞、めっちゃ痺れました・・・!!普段飄々としててもやる時はやるって男性超かっこいいですよね!!かっこよすぎですよ(;▽;)
官公庁の広報機関ってなんとなく受身なイメージだったので、私も自分から売り込みなんてするんだ!と結構驚きました。考えてみれば県庁おもてなし課もそうですが、それでも不思議な感じです。
いい本が読みたい!!と切望して仕方ない時用にとっている有川さんの本ですが、この本読んだらほかの本も読みたくなって仕方なくなっているところです・・・(*´▽`*)
yoco
2015/02/08 15:13
yocoさん、ありがとうございます(^^)。
もうホント、鷺坂室長が素晴らしすぎて大変ときめきました(笑)。

有川作品は、私にとってはどれも「スンバラシイ」のですが、ぜひぜひ、他の作品も読んでみてくださいネ。
個人的には『県庁おもてなし課』が一番ですが、どれも甲乙つけがたい…!
『シアター!』シリーズの鉄血宰相とか、ときめくキャラが…うふふふ、です。
水無月・R
2015/02/08 23:28

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