蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『ちゃんちゃら』/朝井まかて ◎

<<   作成日時 : 2013/07/21 22:03   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 4

面白かった〜!朝井まかてさんの前作『花競べ 〜向嶋なずな屋繁盛期〜』も面白かったんだけど、本作『ちゃんちゃら』は更に勢いを加えて来て、江戸っ子たちのべらんめえや心意気がとても心地よかったです。

前作でも「江戸の人って、園芸好きなのねぇ」と感心してたんですが、園芸だけじゃなく庭造りにも情熱を傾ける人がたくさんいたんですね。庭の作り方(方位方角や色々な作法や禁忌)などを指南する人(実際に庭造りをするわけではない)までいたという。植物の配置だけじゃなく、岩一つ、水の流れのひき方ひとつで庭の印象が全く違ってくるというのも、何となくはわかる気ではいましたが、読み進めると「うん、そうかも」と思えるぐらい確かな描写で、とてもよかったです。

それはきっと、主人公・ちゃらのいる「植辰」一家の庭に対する心意気の確かさから来るんでしょうね。腕が確かで心底作庭を愛している辰蔵親方、水の流れを読む巧者で小男の福助、庭石に関するエキスパートの玄林、そして辰蔵の娘で植辰一家を支えるしっかり者のお百合。他にも、昔植辰で修業をしていたが実家の船宿の船頭になった五郎太、植辰の懇意の施主の甥で身上がり侍(金子で幕臣株を買って侍になった元町人)の伊織、薬問屋の娘で目病みのお留都、疫病蔓延する庶民をを救おうと奔走する尼僧の妙青尼など、魅力的なキャラがいっぱい。

「ちゃら」という変わった名前は、ちゃらの「ちゃんちゃらおかしいや」という口癖から。もとは浮浪児で本名も年齢もわからないちゃらを「庭仕事は空仕事」と誘い鍛え上げた辰蔵、カッコいいですねぇ。
浮浪児時代も、いくつもの養家を飛び出していたちゃらだったけど、植辰には居ついた。もちろん、植木職人としての才能があり、きちんとそれが磨かれたからってのもあるけど、植辰一家の心意気の良さが、ちゃんとちゃらに響いたからなんだろうなぁ。良かったねぇ、って思います。

植辰一家が巻き込まれた、「嵯峨流正法」の家元・白楊の陰謀。例え美しくても、甘言や陰謀で人を弄し、悪事をはばからぬそのやり方には、本当に気分が悪かったです。確かな証拠を残さず、人手をかさに植辰に仕掛けてくる汚いやり口の数々。
それを耐え忍び、庭を作ることに真摯に向かい合う植辰一家の心意気と矜持が素晴らしかったですね。

疫病の流行、薬問屋を襲った庶民、人々の心身を操る白楊の陰謀、読んでいて胸が痛くなるようなことも多いのだけど、植物や岩や水の流れの描写など、心洗われるような自然の美しさが際立ちます。その自然の中を流れる風の匂いのことも、ちゃらが憧れる目病みの娘お留都の言葉から、私にすら感じられるような気がしてきました。

ちゃらが白楊のいる聖堂に乗り込んでいき、つかまって、脱出する過程で気づいたこと。岩組みの天才・玄林の素性と狂おしい思いからの道外れ、そして一時退場したちゃら。切なかったです。色々なことが。
だから、ラストにほっとしました。ちゃらが、ちゃんと大切なものがわかったこと。

そうそう、お百合を大事に思い、思うが故に数か月一緒にいてやり、その後で見合いをした五郎太が、すごく男前だったと思います!

(2013.07.20 読了)

ちゃんちゃら [ 朝井まかて ]
楽天ブックス
講談社文庫 朝井まかて 講談社 <a href="http://books.rakuten


楽天市場 by ちゃんちゃら [ 朝井まかて ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ちゃんちゃら(朝井まかて)
デビュー作「実さえ花さえ」を読んでから、新作がとっても楽しみで!首を長ぁーーくして待っていました。待ってるからなのか、これがなかなか出なくってねぇ;;;焦れ焦れしてましたよ!発売予定に朝井さんの名前を見つけた時の嬉しさといったら!無事に新作を読めてとっても嬉しい。 ...続きを見る
Bookworm
2013/07/22 12:55
「ちゃんちゃら」/朝井まかて
「ちゃんちゃら」/朝井まかて(講談社) ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2014/07/09 21:52
ちゃんちゃら
朝井まかて 2012 講談社文庫 庭師の仕事は空仕事。なんて素敵な表現だろう。まかてさん初読みである。 元気のいい庭師一家の物語だった。いなせで、憎めないというよりも、心憎い。お侍が刀を振り回すわけではない、江戸の職人達の生活を感じるほうの時代劇だ。庭師の親方である辰蔵の娘のお百合と、辰蔵が拾って職人に育てているちゃら。この二人を中心に、5つの庭をめぐりながら、物語が進んでいく。なにしろ、ちゃらの ...続きを見る
香桑の読書室
2017/04/26 11:06

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
江戸の職人の心意気や人情に胸が熱くなったり、サスペンス要素にはドキドキしたりと面白かったですね〜。
どうなるんだろう…と思いましたが、ラストはホッと出来て本当に良かったですね!
すずな
2013/07/24 12:44
すずなさん、ありがとうございます。
江戸の人の生活や考え方などが、鮮やかに描かれている作品でしたね〜。
とても面白かったです。
水無月・R
2013/07/24 23:13
五郎太、いい男でしたねぇ。そっちにしろ!そっちにしとけ!!と、何度思ったことか。
江戸の町衆の生活の様子も活き活きとしていましたが、サスペンスとしても作られていて、夢中で読みました。
最後の数行、ほんと、ほっとしましたね。
香桑
URL
2017/04/26 12:11
香桑さん、ありがとうございます(^^)。
そうなんですよ!五郎太の男前だったこと!私も「五郎太にすればいいのに…」と思ってました(^^;)。
サスペンス要素にハラハラしながら、ほっとするラストを迎えられたこと、よかったです〜♪
水無月・R
2017/04/26 17:02

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
『ちゃんちゃら』/朝井まかて ◎ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる