蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『生存者ゼロ』/安生正 ○

<<   作成日時 : 2013/11/14 22:17   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

北海道の会場石油掘削プラントで、所員全員が激烈なウイルス感染の様相を呈して、死亡していた。その後、感染の拡大がみられないため、事態は一過性のものであり沈静化したものと思われていた。
しかし、数か月を経て、北海道本土で一つの町が壊滅する再度の感染が発生・・・。
第11回「このミステリーがすごい」大賞受賞作『生存者ゼロ』。確かに、これは凄い。安生正さんは、本作でデビューとのこと。遅咲きの新人ってことになるんでしょうけど、なかなかに大胆な作品です。あまりに沢山人が死んでいくので、ちょっと鼻白む…。

プラントに最初に乗り込んだ陸上自衛隊・廻田三佐は、第二の感染に対する政府の対策会議の場での、無責任で無能な対応を目の当たりにする。会議の後、陸幕長に呼ばれ細菌騒動の正体を突き止めろと命令される。
現地の再度の調査に取り掛かった廻田は、かつてアフリカの地で妻と息子を失った天才的感染症学者・富樫に加え、自衛隊医務官・伊波と広瀬、途中参加した昆虫学者・弓削とともに、死に物狂いの調査の結果、驚くべき真実にたどり着く。

いやぁ、その驚くべき真実と、それがもたらす大量死の描写が、ハンパなく怖ろしい。ネタバレせずにこの話を書くのは難しい、だけどネタバレしちゃったら驚愕のストーリーがつまらなくなっちゃうので、どうしようかと思い悩みますが。
うん、やっぱりネタバレしますので、以下未読の方はご注意を。

シロアリ、とはねぇ・・・。
ふつうシロアリって、木材とか食べてて肉食じゃないんだけど、細菌感染で雑食性に変質したうえに、極度に狂暴化。しかも大繁殖。新月の晩になると、地中からアスファルト突き破ってでも飛び出してきて、人間の体内に入り込んで食い散らかし、体表へと出て来る。その出てきた後の穴が、細菌感染症の水疱と間違われたっていうわけだ。
いや、不審死だったら(感染症という予測が出てても、未知の細菌ならなおさら)、解剖しない?解剖したら、感染ではなく喰い散らかされてるのがわかるんじゃないかな〜、という気がする、素人考えでは。
そこはちょっと疑問点ね。
まあ、その疑問は置いといて、大量発生したアリにたかられ、体内に侵入され…なんて末路は、とてつもなく怖ろしいです。死ぬまでに少しでも間があったら、絶対発狂する。…ううう、この描写が一番恐ろしかった。
しかも、北海道全滅⇒日本全滅⇒世界の破滅のルートがありありと見えるんだもの…。

しかし、予想通りながら、政府の対応のお粗末さにはイライラさせられる。頭のいい人間が集まってるはずなのに、責任のなすり合い、決断の先のばし、全てが後手後手になるという・・・。実際、こうなんだろうなぁ〜。そう思うと、憂鬱になりますよ。

アフリカで妻子を亡くした富樫の狂気。富樫の狂気を増幅させた《パウロの黙示録》。
最後の最後まで読んで私が考えたのは、二人の御使いとは富樫と廻田ではなかったのではないかという事。
廻田は「第五の鉢」を用意することなく、事態を収束させる方法を弓削の知識から得た。
富樫が死亡し、その遺灰を富樫の約束の地であるガボンに運び埋葬した廻田は、富樫のノートを発見する。
二人の御使いとは、どちらも富樫だったのではないか。アフリカの地で妻から採取した血液から、何かを抽出しばらまいた富樫。そして未知の細菌の暴走を野放しにし、北海道を焦土にせよと首相をそそのかした富樫。
あえて言えば、廻田が後者の富樫に関わったため、そちらの鉢は傾けられなかった、という事になるのでは。
う〜わ〜。暗澹たるラストですよね、そうだとすると…。

事態は、弓削がいう「フェロモン操作」により終息したというのだけど、そちらもなんだか不安だなぁ。
更に言えば、北海道の立て直し、日本国内及び海外への対処は、どうなったんだろう。あまりにもお粗末なその展開を、世界はどう評価したのか。ううむ〜。それだけでまた1つの物語になりそうなところをあっさりとした説明で終わっちゃったのが、私的には残念。

後半は、結構「どうなっちゃうの?このまま人類滅亡なの?」とドキドキしながら一気読みだったんですけどね。《パウロの黙示録》がよくわからなかったとか、富樫の狂気が息苦しかったりとか、更に説明調の文章が固くて細かくて入りにくくてねぇ。前半はなんか読んでは止まり読んでは止まりし、理解するのに時間がかかってしまいました。

現在人類は、未知の領域に進出し続けていますよね。その領域に、何があるかなんて、予測がつくわけもない。現実として、この物語のようなことは、いくらでも起こる可能性がある。そういう意味でも、オソロシイ本でした(^_^;)。

(2013.11.13 読了)

生存者ゼロ [ 安生正 ]
楽天ブックス
安生正 宝島社発行年月:2013年01月 ページ数:409p サイズ:単行本 ISBN:978480


楽天市場 by 生存者ゼロ [ 安生正 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【生存者ゼロ】(安生正)を読了!
全員死亡! 死因不明! ...続きを見る
じゅずじの旦那
2014/04/28 18:46

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
最初はありふれたストーリーかと思いましたが、まさか・・・
全編、なんとも痛々しくて、むずがゆくて、生態とは怖いですね。
じゅずじ
URL
2014/04/28 18:48
じゅずじさん、ありがとうございます(^^)。
あの死に方だけは、絶対に嫌ですねぇ…(^_^;)。
人間にとっての未知の領域、何が起こるかわからないから、すごいとも思うし夢もあるけど、こういう怖いことも起こりうるんですよねぇ。
ああ、怖かった。
水無月・R
2014/04/30 21:56

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
『生存者ゼロ』/安生正 ○ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる