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zoom RSS 『LOVE&SYSTEMS』/中島たい子 ○

<<   作成日時 : 2014/02/23 14:05   >>

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この地球の、もしかしたら未来にあるかもしれない、制度と国と、そして人と愛の物語。
まさに『LOVE&SYSTEMS』ですねぇ。どの国も、何となく今の日本の未来を見るような気がしました。
中島たい子さんは、初読みになりますね。
なかなかひねった風刺が、大変面白かったです。

少子化が深刻になり、各国はそれぞれの対策をとるようになった。
結婚制度が無くなり、自由に恋愛をすることのできるF国。生まれた子供は、国が「エコリシテ」という施設(町のようなもの)で育てる。子供を育てるための費用は、子供の有無に関係なく全ての人からの税金で賄われている。
「家族庁」が選んだ相手と結婚し、女性は仕事を持たず家庭を守り支えることに専念するN国。この国の人にはファーストネームはなく、人は「○○のツマ」「○○のチョウナン」などと呼ばれる。
かつて先進国の先端にいたというJ国。政策の失敗から、訳あり難民ばかりが流入するようになり、自国民と労働力を食い合うようになったこの国は、貧富の差が拡大化しており、結婚は富める者の特権となっている。
Z国の中に存在するという幻の地上の楽園「パングゥ」。そこで人々は争いのない、完全に美しいコミュニティを形成している。

F国の記者・ロウドは、それぞれの国を訪ねてその国の制度や人々のことを記事にして世界的な雑誌『AGE』に発表している。
ロウドは、N国で取材した女性「ヤマノのムスメ」と恋に落ち、彼女に「アマナ」という名前をプレゼントする。二人でN国を出て幸せになろうと約束するのだが、自分と相手の育った国の制度のあまりの違いに不安が生じてしまい、翌日の約束の時間に、二人ともそこへは行かない。

どれもが、日本の未来だと言われて、全く違和感がない。
F国は欧州にあるという設定で、多分フランスなのかな?と思うけれど、それでもF国の個人主義は今の日本にも、よく見られるものですし。
N国の女性が社会に出ないというのも、日本が抱える問題点を拡大化したもの。(N=ニッポン)
J国はそのまま「今の日本がいろいろ失敗したらこうなるよ」の典型例な気がします。(J=ジャパン)
そしてZ国のパングゥと言えば、「黄金の国ジパング」ですよね。マルコ・ポーロが「東方見聞録」に描いたユートピア。

どの国がいいかと問われると、難しいなぁ。一長一短。
自由なF国がいいという気もするけど、「家族」というシステムがないため人間関係が希薄になる、というのはちょっとさみしい。かといってN国で、家族に奉仕するだけの人生を送るのも嫌。
物語の中でも、どの国がいいという判断はない。
極端だけど、その制度に甘んじられる人には幸せなのかもしれない。

ロウドとアマナは、お互いを愛しながらも、ずっと過ごしてきた制度に縛られて、身動きが取れずにいる。
制度とは、人や物事を規制して、パターン化させるものなんだな、という事がよくわかりました。パターン化させることで、多くのことは簡単に進行するけれど、そこから漏れてしまった人は苦悩することになってしまう。
最後にアマナとロウドが再開し、二人で『旅に出る』。
〜〜「幸せになれた時、そこに、ぼくたちの国がある」〜〜(本文より引用)と言って。
人それぞれの幸せのために、パターン化された制度にこだわらない旅に出る。それはきっと、移動する事だけを指す旅ではないのだと感じました。心も自由になることを、「旅」と称するのかもしれません。

(2014.02.22 読了)

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LOVE&SYSTEM 中島たい子
LOVE&SYSTEMS著者:中島 たい子幻冬舎(2012-08-24)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る 「アマナ」N国のヤマノのムスメが雑誌のインタビューに答えることになった。N国では結婚適齢期になる ... ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2014/02/24 00:02

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは^^
近未来のような作品で、実際にこんなことが起きたらちょっと怖いなとぞぞっとしました。
それでも最後は希望が持てる気がしました。
中島さんの作品は女性の悩みを書いた小説が多かったのでこの作品は割と珍しい作品でした。
デビュー作の「漢方小説」も私は好きです^^
苗坊
2014/02/24 00:03
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
この作風は珍しいんですか〜。ちょっと残念。
でも、他の作品も読んでみたくなりました。
『漢方小説』はちょっと気になってた作品ですし。リスト入りさせま〜す。

でもホントに、どの国も「いずれ日本はこの国のようになる」気がしますもんね…。そんなリアルさと一歩だけずれた感じが、ぞわぞわしました(^_^;)。
水無月・R
2014/02/24 21:57

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