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zoom RSS 『工場』/小山田浩子 ○

<<   作成日時 : 2014/03/16 13:37   >>

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第150回芥川賞受賞の小山田浩子さん。受賞作『穴』も読みたい本リスト入りしてるのですが、実は受賞前に何かの書評でこの『工場』のことが取り上げられてて、興味を持っていたんですよね。で、こちらを先に図書館で予約することにしました。
巨大な敷地を持つ工場、その中で働く3人の男女(一緒にではない)の、淡々としているけど微妙に不条理な日々が、なんとも言えない雰囲気の作品でした。
しかし…独特の文章で、ちょっと私には読みづらかったです…。

ある程度まで読み進んで、「な〜んか身に覚えのある状態だよなぁ」とむず痒さを感じてたんですが、アレですわ。起きる直前の夢に似ています。私、こういう感じの夢、時々見ます。何かがおかしいはずなのに、夢の中ではそれは普通の状態と受け入れてて、だけどやっぱりどこかオカシイよ!と思ってる自分がいる。で、目が覚めても、ちゃんと夢のことを覚えてて「やっぱりオカシイじゃないのよ!現実感なかったじゃんよ!」と自分にツッコミを入れてみたりするような。そんな夢。

「工場」
大きな川に南北に分断され、巨大な敷地内には路線バスもあり、職場はもちろん職員の住居、レストランやスーパーやホテル、果ては美術館まで存在し、衣食住どころか教育や娯楽までもが賄える、一つの町のような工場。
具体的な製品もあるようだが(子供の工場見学の土産が工場製品)、登場人物3人のやっている仕事と言えば、意味不明。
1日中、書類をシュレッダーにかけ続ける、契約社員の牛山佳子。
佳子の兄の派遣社員は、なんだかよく判らない全く重要そうでない書類の校正に明け暮れる。
元は苔分類の研究者で正社員の古笛は、工場の屋上緑化の為に工場内の苔を分類を続けている。

実を言うと、どの仕事も「それでお金貰っていいのか?!」と突っ込みたくなるような内容。「工場」という企業としての利益につながりそうにないんですよねぇ。特に苔分類の古笛・・・(^_^;)。15年も、苔による緑化は結局進まず、だけど正社員。お給料も、結構多いらしい。
そんな古笛のところに持ち込まれる、工場内に住む小学生の「工場の中の生き物の研究」。〈灰色ヌートリア〉〈洗濯機トカゲ〉〈工場ウ〉工場特有の動物がいるというのだ。いぶかしみながら読む古笛。別の段落では佳子の兄がこのファイルを構成しようとして、眠気に襲われたりしている。もしかすると、佳子がシュレッダーにかけてる書類に、この研究は含まれているかもしれない。

工場内には、〈ズリパン〉という妖精も出没するという。ただし、どう考えてもこれは妖精ではなく、ただの変質者なのだが、工場の人々は〈妖精ズリパン〉という事でスルーしてしまっている。いいのかそれで。

結局何が起こるわけでもなく、工場が何を作って目指しているかもわからず、3人の話が同時進行かと思えば、年代のずれがあったり交錯したり。奇妙な生物の記述があったり、巨大な工場内で迷ったり。混沌としているうちに物語は終わってしまう。
あ〜、え〜と、すみません。全然判らなかった。時々見る夢に似た感触、ってことだけ(^_^;)。
あ、正社員・派遣社員・契約社員の立場というか扱いというか、本人及びはたから見たランク付けのような、なんとも言い難い空気感が、読んでて重苦しかったですな。
とりあえず、この工場では働きたくないな〜、私。

「ディスカス忌」
よく知りもしない熱帯魚屋をやっていた男に子供が生まれたと、友人に頼まれて共に訪問した私は、後日その男が死んだと聞く。若すぎる妻と赤ん坊はその葬儀の場にはいなかったという。
最初、その妻はディスカスの化身で…みたいな話かと思ったんだけど、どうもネグレクトされ空腹で熱帯魚の餌を盗み食いしに来ていた小学生だと思うのよね・・・。しかも、元熱帯魚屋の男は20歳だって言ってたけど、もっと若いんじゃないかと。
葬儀にいなかったってのは、もしかして熱帯魚屋の男の死因に関わりがあったんじゃないかな、とかちょっとゾッとしました。

「いこぼれのむし」
とある会社のある部署の人々が、お互いをどう思ってるかをごちゃごちゃ語ってる物語。
・・・なんだけど、ちょっと刺さるわ〜。正社員だけど気が利かない女、美人とその子分、豪放磊落な女課長、細かすぎる男性社員、落ち着きのない新課長、その他イロイロな登場人物それぞれが、自分のことを言い訳したり、開き直ったり、他者を見下したり非難したりへつらったり。
で、メインになる気の利かない女ってのが、たしかにイタい感じなんだけど、うっすら私にもそういう部分があるんですよ。ってことは、私も人からこんな風に思われてるのかなぁと思うと、刺さるわ〜。
とりあえず、あちこちで出没する「むし」の表現が、気持ち悪かったです(^_^;)。

会話文が地の文にまぎれて、全然改行しないので、大変読み辛かった・・・。
しかも、物語がどこへ進んでいくかというか、目指すところがあるのかどうかすら判然としなくて、一生懸命読んだけど訳が判らなくなって、いやあ、困った困った(笑)。
それでも、なんだか読み止めることが出来ずに、最後まで読み切ったってのは、ちょっとすごい(笑)。
なので、面白くはなかった(←好きな方ごめんなさい)けど、評価は○で。
でも、『穴』を読むかどうか、ちょっと考えちゃうわ〜。

(2014.03.15 読了)

工場 (単行本・ムック) / 小山田浩子
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