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zoom RSS 『サエズリ図書館のワルツさん(2)』紅玉いづき/◎

<<   作成日時 : 2014/03/24 17:34   >>

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紅玉いづきさんが描くサエズリ図書館には、電子データではない紙の本が大好きで、それぞれに深く思い入れのある人々が集います。
特別探索司書のワルツさんは、優しく穏やかに、彼らを自分の図書館に招き入れます。きっと、読み始めた我々読者も、ワルツさんにいざなわれて、自分が大好きな書物の世界に。
シリーズ2作目の『サエズリ図書館のワルツさん(2)』、やっぱり素敵です。

前作『サエズリ図書館のワルツさん(1)』は、章一つに対して一人のエピソードが描かれてきましたが、本作では4章のうち3章が、千鳥さんという就職活動連敗中で少し体の弱い女子大生の物語です。
突然体に不調が訪れるために少々弱気なところのある千鳥さんは、とある目的を持ってサエズリ図書館を訪れます。
図書館のボランティアスタッフとして働くうちに、ワルツさんの図書の回収に同行することになり、ワルツさんの意外な弱点を知る。千鳥さんたちが回収した本はかなり破損していて、ワルツさんが「本のお医者さん」=図書修復家を図書館に呼ぶ。その修復家・降旗(フルハタ)先生に千鳥さんは「わたしを先生の弟子にしてください」と申し出るのだが・・・。

本が好きな人にとって、傷んだ本を修復してくれる「図書修復家」という存在は、素晴らしい存在だと思うのですよね。
そんな図書修復家であるフルハタ先生だけど、あの全てを変えてしまった〈戦争〉によって「本にはもう未来はない」という心の傷を受けてしまい、もう弟子は取らない、この技術は自分で廃らせる、と決意している。
でも、千鳥さんはどうしても図書修復家になりたかった。
いや、ちがう。千鳥さんは、こんなにも心惹かれる職業、その職を選ぶ理由が欲しかった。
だから、まだ就いてもいない時に「それって天職じゃないですか」と言われて、本当にうれしかったのだ。
フルハタ先生の弟子となり、図書修復の修業を始めた千鳥さんが、表紙に描かれている。
その表情の、なんと力強く、美しく、決意に満ちていることか。
巡り会えた天職と正面から向き合い、丹念な作業を繰り返す。そして本が甦る。
なんて頼もしくて、なんて素晴らしくて、なんて心躍ることだろう。

千鳥さんが、とても好きです。
就職活動連敗中でおどおどしていた千鳥さんが、少しずつ「自分」を持てるようになり、誰かのため何かのために一歩ずつ進んでいく。
「働くことは、生きること」という言葉が文中に出てきます。
残念ながら、私は天職には巡り会えず、結婚して職を転々とし、出産・育児で長い休職期間を経て、就いた仕事は誰にでもできるパート勤務。
それでも、「働くことは、生きること」という言葉の力強さに、勇気をもらった気がします。たぶん、私にとっての天職は見つからないけど、あったとしても就けそうにもないけど、それでも日々の〈働き〉(家事やパート仕事でも)に懸命に向き合おうと思いました。・・・なんか変な感想だな。ははは。

そして、「サエズリ図書館のサトミさん」
・・・いやぁ〜、びっくりした。すんごいビックリした
いつもサエズリ図書館のカウンターを守っている、冷静沈着・鉄壁の(?!)サトミさんに、こんな重大な秘密があったなんて・・・!
「ババア」と呼ばれて唇の端を曲げて笑うサトミさん、すっごくカッコいい!
サトミさんもすごいが、サトミさんを採用したワルツさんもすごいよね。
なんか、いいなと思ったのでした。
うん、やっぱりサエズリ図書館に行きたいなぁ。私。

ワルツさん、サトミさん、千鳥さん。岩波さん、上緒さん、森屋さん、古藤さん、タンゴくん。フルハタ先生。
色々な人が「本」を愛しているから、この物語は暖かい。
彼女たちの「本があれば大丈夫」「本は効く」など、様々な言葉が本当だと、私にはわかる。
だから、紅玉さんがこの物語を書いてくれて、私は嬉しい。
「本」が大好きな全ての人に、「良い読書を」。そう伝えたいです。
これからも、いろんな本に出会いたい、そう思える、とても素敵な物語でした。

(2014.03.23 読了)

水無月・Rの『サエズリ図書館のワルツさん』シリーズ記事
『サエズリ図書館のワルツさん(1)』
『サエズリ図書館のワルツさん(2)』(本稿)


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サエズリ図書館のワルツさん2 紅玉いづき
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苗坊の徒然日記
2014/03/24 23:25

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
やっぱりこのシリーズは良いですね^^
この作品を読んでいた時、ちょうど色々悩んでいた時で、だから千鳥さんが将来がどうなるかわかりませんが天職に出会えてうらやましいと思いながら読んでいました。
これからいろんな壁が立ちふさがるかもしれませんが、千鳥さんには前を向いて行ってほしいなと思いました。
苗坊
2014/03/24 23:30
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
本が好きな人には、ホントにたまらないシリーズですよね〜♪
たとえ電子データが世界の主流になっても、やっぱり紙の本が読みたいです。きっと、そっと心に寄り添ってくれる物語と出会えると思えるので。
千鳥さんはこれから、技術を身に着けるために大変な修行があるでしょうし、仕事をしていくうえでも様々な困難に出会うことでしょう。でも、あのひたむきさで、一つ一つ丁寧に向き合っていってくれたらいいと思います。
きっと、ワルツさんたちも、応援してくれるでしょう。
続巻、出てくれるといいなぁ。
水無月・R
2014/03/25 14:55

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