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zoom RSS 『爪と目』/藤野可織 ○

<<   作成日時 : 2014/06/04 14:31   >>

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--- こんな3歳児がいたら、厭だ。
自意識はクリアで観察眼もあり、淡々と著述する語彙力もあり、それでいてあくまでも原始的に子供。
後日思い返して語っているとしても、当時のことを情報分析し処理できるだけの記憶を維持できてるって、怖ろしすぎるでしょう・・・(-_-;)。
藤野可織さんが、第149回芥川賞を受賞した『爪と目』、いろんな意味で怖ろしかったですわ〜。

ある日、母が死ぬ。単身赴任先で女を作っていた父は、3歳の「わたし」の世話をさせるため、その女を結婚を餌に呼び寄せる。だが、女には結婚願望はなく、ペットを飼うような気軽な気持ちで、わたしとの生活を始めるのだった。

あなた(=女)も父も、そして冷徹に事態を眺めている3歳児のわたしも、皆〈生きている〉という感覚が希薄。感情を持っても、上滑りに何処かへ行ってしまい、残るのはつるんとした写真のように現実感がない作り物めいた生活。
母の書いていたブログを発見し、そのまねをして家具をそろえ始めるあなた。頓着しない父。
爪を噛むことで多少の心の安定を保てるようになったわたしの爪は、短くギザギザで出血することもしばしばである。お菓子をむさぼることで、多少爪を噛まなくなったなわたし。
母が死んだ〈ベランダ〉という場所に近づけないわたし。刑事に「ベランダの鍵を閉めたか」と聞かれても「カギ、閉められるよ」と焦点のズレている答えをするわたし。
女に隠れて、更なる浮気をする父。それを感じつつ、あなたもまた古書買取の男との情事を繰り返す。
ある日突然訪れた古書買取の男と応対するために、あなたに「ベランダ」へ追いやられたわたし。
翌日、あなたはコンタクトレンズを男に奪われ、わたしは幼稚園で暴れて爪で子供たちに怪我をさせる。
幼稚園で、わたしの爪を整えるように言われたあなたは、透明のマニキュアを塗ってやる。そして、その透明のマニキュアを・・・わたしは・・・あなたの・・・。

うわぁ、痛い痛い痛い!!!私、コンタクトレンズ(しかもハード)なんで、すんごい想像がつく!ぎゃ〜、やめてぇ〜!助けて!
怖ろしすぎる物語の終わりに、ホントに両目を抑えてガードしてましたよ、私!
「わたし」は、あなたを憎んでたから、ああいう行動に出たのかしら。その瞬間まで、全く隙を見せずに?だとしたろホントに怖ろしいことだわ。
それとも、奪われた物の替わりをあげる、ぐらいの無邪気さだったのかしら。どっちもあり得るから、怖い。
そして・・・どっちでも、怖い。

でもね。何が怖いって、作品中にわたしがあなたの数年後をよく知ってるような文章があったことですよ。こんなことがあっても、多分あなたと私は一緒に暮らし続けてるんだと思う。父とあなたが結婚したかどうかは分からないけど、少なくとも二人の関係性は持続してるわけ。どういう形なのかと思うと、怖いわねぇ…。

まあ、彼女が幼稚園に行ってる間の出来事とか知りえない出来事まで淡々と語られてるところを見ると、3歳児の語りというのは、部分的にはトリックなのかもしれないですけどね。
それでも、年齢相応に子供らしい行動をとるわたしと冷徹なまでに事態を見守り語るわたし、どちらも怖い。
ええ、怖かったですわ、ほんとに。
ちなみに母の死因は、ベランダでの心臓発作的な自然死ってことになってたけど、深読みするとどうなっちゃうのかしら。ああ、怖い。

表題短編「爪と目」以外に、「しょう子さんが忘れていること」「ちびっこ広場」の2編があるのだけど、こちらも不穏な感じがすごくする。
藤野可織さんは初読みだったけど、ちょっと気になる作家さんになったと思います。
ただ、かなり調子がいいとき(心身ともにね)じゃないと、読めないかなぁ(笑)。

(2014.05.29 読了)

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藤野可織 新潮社芥川賞 発行年月:2013年07月 予約締切日:2013年07月24日 ページ数:1


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