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zoom RSS 『アリス殺し』/小林泰三 ○

<<   作成日時 : 2014/06/24 16:14   >>

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かの有名な『不思議な国のアリス』の世界が、グロテスクに現実とリンクするとしたら?
登場人物たちが次々と殺され、現実世界でかの世界とリンクする人々が同時期に不審死を遂げていく。
果たしてアリスは、殺人容疑を晴らせるのか?!
小林泰三さんは、初読みです。
書評で気になっていた『アリス殺し』、何度も何度も騙されました!

『不思議の国のアリス』というモチーフは大好きです。登場人物(虫や動物も入ってるけど)全員が全員、頭がおかしくて自分の論理でしゃべったり行動したりするから、常識人(?)のアリスはてんてこ舞いするんだけど、それでも順応性高くあの世界を渡っていくところが、好きですねぇ。

本作でもわりと常識人寄りのアリスは、白兎の証言で殺人容疑をかけられてしまう。
自分の夢の「不思議な国」が現実とリンクしていることに気づいた栗栖川亜理は、アリスの容疑を晴らすために同じ夢の登場人物、蜥蜴のビルである同級生・井森と共に現実世界でも調査を始める。
現実界の誰が不思議の国の誰なのか不確定なまま彼らの捜査は進むが、その過程で次々と不思議の国の住人は奇妙な方法で殺され、現実界の人々は不審過ぎる死を迎える。

面白かったけど、これは元々の『不思議の国のアリス』を知らないと、面白さ半減かな〜。たぶんディズニーアニメレベルじゃこのナンセンスでこんぐらがってる事態を楽しめないと思うんですよねぇ。
帽子屋と三月兎が捜査に乗り出した時点で、事件はこじつけとアリス処刑へ向けて混乱を極めてしまうというお約束など、元ネタを知ってると、にやりとしてしまうシーンがいくつもありました。

不思議の国の住人たちは自分が誰であるかという認識に、個人個人で差がある。体格や性質も共通するものではない。お互いが疑心暗鬼のまま情報をわざと小出しにするから、現実界でも調査は錯綜。
それでも亜理は、どこか引っかかる部分を突き詰めて、不思議の国での真犯人を追い詰めるのだけど、真犯人は「夢を見ている赤の王様」のルールを利用して、その追及をかわす。
だけど、その真犯人の前に意外な人物が現れ、真犯人は『不思議の国』で裁かれ、処刑されることに…。
そして、「赤の王様」の夢は矛盾が増えすぎて、目覚めを迎えることになり、「現実世界」はリセットされる。

「不思議の国」と「現実世界」、どちらが本物なのか。
そして、誰が誰で、どこまで知っているのか。
最後の最後のどんでん返しと思ったら、更にそれをひっくり返す展開。
そして、「赤の王様」の目覚め。
「現実世界」だと思っていたものは、「赤の王様」の夢に過ぎず、夢の矛盾は世界の再起動を促す。
現実世界に「チェシャ猫」そのものとして現れたチェシャ猫は言う。
「次の地球がいい地球でありますように」と。

混沌としたナンセンスさ、『不思議の国のアリス』との整合性、現実世界との規則性のないつながり方、面白かったです〜。
ただ、小林さんてホラー作家さんなんですよねぇ。結構グロいんですよ、描写が。ハンプティ・ダンプティの殻からドロッとした何かがこぼれてるとか、蜥蜴のビルがバンダ―スナッチにいたぶり殺されるシーンとか、うぇぇってなっちゃいました。
とくに、最後の処刑シーンはちょっと(笑)。赤の女王やトランプの兵隊たちの処刑の過程が、ちょっとスプラッタすぎるわ・・・。そして、なかなか死なないので余計苦しい真犯人…。いつまでこの人喋るんだろう、って思いました(^_^;)。
でも、きれいな殺され方(?!)は、不思議の国に似合いませんしねぇ・・・(←酷い)。

現実世界の方が夢だったっていう設定は、結構好きですね。
『不思議の国のアリス』でも「すべては王様の夢で、王様が目覚めればみんな消えてしまう」という事になってるけど、さすがに本家で王様は目覚めません。
だけど、この作品では、どうも目覚めてしまうようで、次の地球はどうなっちゃうんでしょうね。気になるけど、・・・その物語は読みたいとあんまり思わない、かな。

(2014.06.24 読了)

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アリス殺し 小林泰三
アリス殺し (創元クライム・クラブ)著者:小林 泰三東京創元社(2013-09-20)販売元:Amazon.co.jp 複数の人間が夢で共有する〈不思議の国〉で次々起きる異様な殺人と、現実世界で起きる不審 ... ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2014/06/24 20:22

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
タイトルに惹かれて読んだのですがなかなかスプラッターで読んでいて私はキツかったです^^;
どんでん返しが多くて内容は面白かったのですが。
いろんな意味での「不思議の国」でしたね。
最後は一応ハッピーエンド・・・なんでしょうね(笑)
苗坊
2014/06/24 20:23
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
大変グロかったですねぇ(笑)。
あのスプラッタぶりは、ちょっと・・・(^_^;)。
スプラッタはともかく、あのナンセンスな世界観は結構好きです(笑)。
『不思議の国』の連中は、ホントにフリーダムでした。
ハッピーエンド、ですかね、やっぱり(笑)。
水無月・R
2014/06/24 21:52

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