蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『恋歌』/朝井まかて ◎

<<   作成日時 : 2015/01/09 18:05   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

終章、どんどんと熱くなる胸の内に、我ながら驚きました。
名門歌塾「萩の舎」の主宰・中島歌子の生涯を描き、第150回直木賞を受賞した『恋歌』、とても素晴らしかったです。
朝井まかてさんの作品は、心に沁みますねぇ。

詩歌共に苦手な私にとって、中島歌子と言えば「明治歌壇の華」というイメージがぼんやりある程度でした。
こんなにも過酷で波乱に満ちた人生を送った女人であったとは、思いもよりませんでしたね。
水戸の天狗党の乱についても、歴史の教科書でちょっと読んだ程度、こんな血で血を洗うような争い、負けた党は妻子まで囚われ陰惨な虜囚生活を送った末に処刑だったなんて、想像すらしていませんでした。

中島歌子の手記を、かつての優秀な門下生であり女流小説家の嚆矢である三宅(旧姓・田邊)花圃と、過去に萩の舎に女中奉公していた澄が読み始める。
長い長い手記の中、時折花圃が現実に引き戻されるのがいい。たぶん、直接我々読者が読むという形ではなく、師の君(中島歌子)をよく知る花圃を通して読むことで、歌子をより客観的に、より深く知ることが出来たと思います。

あの時代にそんな大恋愛が、と思うほどの恋愛結婚、でも夫は勤めであちこちに行かされ共に暮らせる日は少なく、義妹は頑なに自分を認めてくれない・・・。辛くても、夫に会えればうれしい、そう感じていた夫とも離れ離れにされ、囚われて牢獄の日々。
その中での上士の妻女らの凛とした姿と、その最期が切なかったです。

どんなことに出会っても、死に別れたと知っても、一番は夫であり、そしてその夫への想いを三十一文字で身を立てることに昇華し精進した「中島歌子」という歌人の生涯、強くて美しくて、そして切なかったです。

澄の正体と思い、それを知った歌子とその思い、歌子の遺稿集を出版することを決意した花圃の思い。外へ溢れ出すような熱情ではなく身の内で暖かく膨らみ満たされるような終わり方がよかったです。

(2014.12.23 読了)

恋歌 [ 朝井まかて ]
楽天ブックス
朝井まかて 講談社 ⇒ さ・ら・に!!こちらをプラスで、全品ポイント6倍or4倍!発行年月:2013


楽天市場 by 恋歌 [ 朝井まかて ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
恋歌(朝井まかて)
樋口一葉の歌の師匠であった中島歌子。彼女の波乱に満ちた人生を描いた作品。 ...続きを見る
Bookworm
2015/01/13 12:40

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
今までの朝井作品と趣が違っていたように思いました。
恋愛小説でありましたが、個人的には水戸の内乱がかなり心に残ってしまって、歴史小説のような印象もあります。とはいえ、歌子の一途な想いに切なさが募った作品でもありました。
すずな
2015/01/14 05:22
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
中島歌子という名前しか知らなかった歌人の、過酷な人生と夫への燃え尽きぬ思いと短歌への情熱、息詰まるような物語でした。だからこそ、三宅花圃を通して読めてよかった、と思うのかもしれませんね。
切なさと温かさが大きく膨らむ終わり方が良かったです。
水無月・R
URL
2015/01/14 13:04

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
『恋歌』/朝井まかて ◎ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる