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zoom RSS 『ターミナルタウン』/三崎亜記 ○

<<   作成日時 : 2015/05/11 21:53   >>

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・・・あ〜、・・・う〜。
み、・・・三崎亜記さん、世界観の設定ノート見せてくださいぃぃ〜!!
私たちの知っている日本とよく似た「この国」。だけど、明らかに構成のルールが違う世界。
多分、どの三崎作品も同じ世界を描いていて、ちょっとしたリンクがあちこちにあって。
人々は、その世界構成ルールに従って、日々を生きている。
元・静原町(今は開南市に併合)は、鉄道の『ターミナルタウン』として発展し、衰退の時期を迎えてしまっていたのだが。

いやあ、なんていうかねぇ、何を書いたらいいのか全然判りません。
三崎さんの描く、〈この国〉の理(ことわり)が難しくて。でも、とても惹き込まれてしまって。
「町は生きている」し、〈この国〉は戦争で負けた後の分割統治の影響で州対立が激化しているし、この作品では描かれなかったけれど、多くの人々が不条理に失われてゆく。
誰もが静かな傷を抱いて、それでも懸命に生きている。
私が三崎作品を読むときの感じるのは、「痛ましさ」と「郷愁」です。三崎さんの描く〈喪失〉は、あまりにも切ない。
辛くて忘れてしまいたいことを抱いて生きる人々、ささやかな抵抗をしつつも不条理を受け入れなければならない日々、それでも出会いもあれば別離もあり、人と人との関わりは優しい暖かさを持って、世界を癒していく。

そんな暖かい美しさの中に見え隠れする、問題。それは、政治だったり、地域格差だったり、いわれなき不文律による差別だったりと、きな臭く生々しい。でも、それらは〈この国〉を含む世界のルールと密接に関わっていて、決して切り離すことはできず、常に不穏な空気を漂わせ、全貌をあらわさない。
だから、読んでいて、とても不安になる。
自分が確固としてあると思っている、今の自分の生きている世界、国。本当に?
自分が信じているルールは、理は、正しいの?いや、正しい以前に「ほんとうに」在るの?

その不安を押さえながら、物語の世界に没頭していくと、大変体力を使いますね(笑)。

って、ああ!全然内容に触れてない!ううう・・・どうしよう。
仕方ない、いつもの逃げ道(笑)、気になったことだけ列挙で行きましょう。
「影無き者」とか、「隧道」とか、新しい設定が興味深かったです。
特に、隧道。種から育てて、隧道士の手によって姿を変え、列車を通すもの。本作では商店街のアーケードにもなりましたけど。
工場生産のトンネルとは違い、「生きている」「意思のある」もの。
以前、どこかの他の三崎作品で「消えた列車の光だけが、音もなく同じ時間に走り去る」というエピソードがあったのですが、多分その列車の光の終焉の話も出てきました。

自身の闇を切り離すため影を失った男・響一、とある意図を隠して静原を訪れた青年・牧人、首都での夢破れて帰郷した娘・理沙、自身の闇を切り離すため影を失った男・響一、静原町の元町長、駅で拾われ町に育てられてきた天才児・丸川、町長の娘婿で隧道師の修介、ターミナルタウンである静原駅をずっと見守ってきた駅長、それぞれが主人公となった物語は、少しずつ進行する時間の流れとともに、静原町を、静原町の人々を変えていく。
全てがハッピーエンドになるわけではないし、相変わらず読んでいて不安になる不穏さは解消されていないけれど、それでも、登場人物たちが癒えない痛みを抱えながらも少しでも顔を上げるようにして、それぞれの人生をゆっくりと歩み続ける、そんな終わり方がよかったです。

ああ・・・やっぱり全部の世界設定が知りたいですよぅ、三崎さん!!
これからも「難しい」「何を書いたらいいか分からない」などと言いながらも三崎作品を読んでいくと思います。
でも、読んでも読んでも、この世界の構成ルールを、私が理解できる日が来るような気が全くしないんですが(笑)。

(2015.05.08 読了)

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三崎亜記 文藝春秋発行年月:2014年01月15日 予約締切日:2014年01月10日 ページ数:4


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ターミナルタウン(三崎亜記)
相変わらずの三崎ワールド。おもいっきり堪能したなぁと思える1冊でした。 ...続きを見る
Bookworm
2015/05/20 12:40

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
あ〜分かります、分かります!
私も同じように、毎回「三崎さんの頭の中が見たいー!」って叫んでます(笑)
そして、三崎作品の感想を書こうとすると、何をどう書いていいのか・・・とキーを打つ手が止まってしまうのです。心の中にあるぐるぐるしている気持ちを上手く言葉に、文章にできなくて困ります^_^;
切なくて、でも、ちょっと前向きになれる作品でしたね。
すずな
2015/05/21 12:44
すずなさん、こちらもありがとうございます(^^)。
三崎作品は、「痛ましい」という言葉の意味を深く考えさせられる物語ばかりですね。
失われたもの、失ったもの、失ったことを忘れたい者、忘れたくない者。それぞれが切ないです。
それでも、痛みは痛みとしてひっそり抱きながらも前に進んでいけるようになった人々に、安心するラストでよかったです。
水無月・R
2015/05/21 14:34

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