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zoom RSS 『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』/紅玉いづき ◎

<<   作成日時 : 2015/07/05 15:40   >>

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少女サーカスの演者たちの、息詰まるほどのプライド、荒々しく繊細な美しさ。
文学者の名前を冠される彼女たちの、「不完全で未熟で不自由で」それでいて「常に至高」な演目。
〈少女〉とこういう設定って、本当に似合いますね。
紅玉いづきさんの描く、少女たちそれぞれの戦い方。
『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』の決意したラストが、とても美しいと感じました。

練習中の事故により、片足が動かなくなってしまった「サン=テグジュペリ」こと片岡涙雨(るう)。双子の妹・愛涙(える)は涙雨に懇願され、身代わりとして少女サーカスの舞台に立つことになる。
スポットライトと拍手、舞台での緊張、サン=テグジュペリの名を汚さぬ演技を心がけ、舞台をギリギリの緊張で乗り越える日々。

団長のシェイクスピア、猛獣使いのカフカ、ナイフ投げのクリスティ、歌姫アンデルセンなど、世界の文豪たちの名を冠された少女たちが代々その名を襲名して、長く人気を誇る少女サーカス。
少女という不完全で不安定な者たちが、日々変化しながら演技を続けるサーカスは、美しくも痛々しい。
それでも、彼女たちは、己の力を最大限に引き出し、観客を楽しませる。

その煌びやかさの裏でうごめく、演者とサーカスへの悪意。それは少女たちの矜持をも飲み込むかに見えたけれど、歌姫アンデルセンの「サーカスへの熱意」により、違った分岐を通ることになる。
ただ、それでも。サーカスは色々な苦難を通過しなくてはならないだろう。
でも、それでも。演者たちはサーカスを愛し、己の演技を愛し、常に高みを目指して輝いていくだろう。
その象徴が、涙雨の最後の決意だと感じました。

色々書きたいことは沢山あるんですが、まとまりがつきません。
少女たちの物語なのに、一人一人に言及できないのが歯がゆい!(とんでもなく長くなると思うので)
ですが、少女とプライドと繊細さと力強さって、本当によく似合う。
それを描ききる、紅玉さんて、ホントに素晴らしいなぁ!と思いました。

演目ごとに襲名される芸名があるんですが、それが一つ一つ、演目にピッタリとあっているんですよねぇ。ブランコ乗りは空中を舞う『夜間飛行』の著者、サン=テグジュペリ。『星の王子様』の著者でもある。
歌姫アンデルセンは人魚姫のイメージ。人魚と言えばローレライですから、人間を魅了する歌声の持ち主にピッタリ。
猛獣使いのカフカは芋虫になってしまった男の物語、『変身』。緊迫するナイフ投げには、ミステリーの重鎮、アガサ・クリスティ。全ての演者を束ねるは世界の大文豪・シェイクスピア。
その中で、パントマイムのチャペックだけは、読んでいて心当たりがありませんでした(^_^;)。後で調べたら、「ロボット」という言葉を創造した作家だということでした。なるほど、ロボット⇒操り人形でチャペックね。
他の演者はどんな文学者の名前が付けられているんだろう。ちょっと知りたいな、とも思いました。

サン=テグジュペリの名を脱ぎ捨て、旅立って行った愛涙は、この後どんなことに出会うのだろう。輝かしいだけの未来ではなく、きっと苦難にも出会うのだろうけれど、アンソニーとともに行くなら彼女にもサーカスとは違った彼女のための未来が用意されるのだろうなぁ、なんてね。
やっぱり、愛ですなぁ、紅玉さんは。

(2015.07.04 読了)

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苗坊の徒然日記
2016/02/11 21:32

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは^^
スポットライトを浴びて光り輝く少女たちの裏には過酷な争いがあり、またその舞台上で輝くために維持していくものもあって、並々ならぬ努力が必要なんだろうなと思いました。
特に嫌がらせの部分は読んでいていて胸が痛かったです^^;
涙海の苦悩は読んでいてとても辛かったですが、悩んだ末に選んだ道は、険しいだろうけど涙海らしいものだったと思います。きっと涙海ならやり遂げることが出来ると思いました。
にしても、名前の秘密調べられたんですね〜凄い!私はそのまま受け入れたので記事を拝見してそういう意味だったのか!と思いました^^
苗坊
2016/02/11 21:32
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
少女たちの緊密で息詰まるような世界で、彼女たちの演技への誇りがささえるサーカス。
血を吐くような思いを秘めて、喝采を浴びる彼女たちの誇り高さに、心が痛くなるほどでしたね。
ホントに、素晴らしい物語でした。
水無月・R
2016/02/11 22:06

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