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zoom RSS 『恩讐の鎮魂曲』/中山七里 ◎

<<   作成日時 : 2016/07/16 22:06   >>

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かつて、日本中を震撼させた少年犯罪者〈死体配達人〉。医療少年院での更生を経て名前を変え、彼は弁護士となった。
中山七里さんによる、『贖罪の奏鳴曲』『追憶の夜想曲』に続く、御子柴シリーズ第3作。
本作『恩讐の鎮魂曲』で御子柴が立ち向かうのは、医療少年院時代の恩師・稲見が罪を認めている、殺人事件の裁判である。

前作において、法廷で自分の前歴(〈死体配達人〉つまり元犯罪者であること)を暴露した御子柴。
てっきり表の法曹界からは退場してしまうのかと思っていましたが、依頼は激減し事務所の移転は余儀なくされたものの、弁護士稼業を続けていたんですねぇ。

やくざ者の裁判を執行猶予の実質勝利で終え、事務所に帰ってきた御子柴がチェックする新聞の社会面に「伯楽園という特別老人ホームで、稲見武雄という老人が、介護士を撲殺した」という記事が。
我を忘れて、稲見が拘留されている川口署へ向かう御子柴。だが、稲見は御子柴との面会を拒絶する。
稲見は、医療少年院自体の御子柴の恩師であり、御子柴が院時代に起こした事件で傷つけられ、稲見の下半身は不随になったという過去がある。稲見は、御子柴に「贖罪とは何か」を教え諭した人物である。

稲見の国選弁護人を脅して代わりの弁護人に滑り込み、稲見の弁護に立つことになった御子柴だが、一番の難敵は、稲見自身であった。
目撃者も物証もそろい、稲見本人の自供もあり、なにより稲見自身が「自身の犯した罪に見合った罰を与えてほしい」と主張するのである。

何とか、稲見を無罪にしようと奔走する御子柴。被害者である介護士の過去。
伯楽園内の異様な雰囲気から、入所者への虐待を暴き、それも証拠の一つとする。
被害者である介護士・栃野の過去、「緊急避難」による暴行殺人の無罪。
稲見の別れた妻から得た情報、栃野の過去の罪の被害者家族との面談。
そこから導き出された「稲見にも緊急避難を適用し、無罪に」という御子柴の弁護は・・・・。

裁判が終わり、一審を控訴しないという稲見。自分の無力さと自己嫌悪に苛まれる御子柴は、事務所に戻って、事務員から一通の手紙を受け取る。
差出人の名は、〈津田倫子〉。前作『追憶の夜想曲』で、御子柴に手伝いを申し出た当時6歳の少女からであった。

倫子からの手紙は、きっと御子柴を救うだろうと思います。
そして、願わくば、倫子と御子柴の物語を、読みたいと思いました。
まだまだ倫子は子供ですから、ずいぶん先の話になることでしょう。
その間にも、きっと御子柴はいろいろな裁判とかかわりあい、本作で垣間見せた〈人間らしさ〉に戸惑ったり使いこなしたりしながら、彼なりの手法で弁護士としての勝利を得ていくことだろうと思います。
きっと御子柴は、稲見に教えられた「贖罪の意味」を生涯背負いながら、生涯を過ごしていくのでしょう。
その物語を読むことで、御子柴のことをもっと知りたい、そんな気持ちになっています。

(2016.07.14 読了)

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中山七里 講談社発行年月:2016年03月16日 予約締切日:2016年03月15日 ページ数:29


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小説「恩讐の鎮魂曲」を読みました。 ...続きを見る
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