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zoom RSS 『山女日記』/湊かなえ ○

<<   作成日時 : 2016/08/31 19:35   >>

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登山には、いい思い出がない。
大学で山岳部に所属し、後期高齢者になった今も国内外を問わず山登りを楽しんでいる父がいる。
その父が家族サービスのつもりで、小学生になるやならずやの子供たちを引き連れて、体力勝負の登山をしていたのである。キツイばかりで、正直ちっとも楽しくなかった(^^;)。
そんな私なので、本作『山女日記』を読了しても、全く登山の魅力には目覚めませんでした、ははは・・・。
だけど「あ〜、私も、山登った方がいいのかな〜」と、心の弱さをふと突かれたことは、告白せねばなりますまい(笑)。
湊かなえさん、オソロシイ作家さんだわ!

山を登りながら、様々な苦い思いと対峙していく登場人物たち。
それぞれが、友人や姉妹、お付き合いを始めたばかりの男性、たまたま行き会った他人などとともに、一歩一歩登っていく。
誰かと登っていても、心の中では一人でいろいろなことに思いが巡り、気持ちがどんどん煮詰まっていくのだけど、そこで出会う人・風景・植物・・・それぞれに心動かされ、彼女たちの心の中でのわだかまりが、少しずつ溶けていく。

なんだか、うらやましかったです。
もちろん〔登山嫌い〕の私が山に登ったって、きっと「お悩みすっきり解決♪」になるはずはないとわかってるんですけどね。
たぶん、私が山に登ると、「自分の気持ちと対峙しながら一歩ずつ進んでいく」という過程に妙な茶々(セルフツッコミ)が入りそうですし。どうにも子供のころの苦い思い出が、足を引っ張りそうな予感しかしない(笑)。
心が清くない私には向かないというか、無理なんだと思います、登山でスッキリは(^^;)。
でも、ここのところ色々と悩みゴト多発中の身としましては、「私も、登山したら、悩みの解決の兆しぐらい見えてくるのかしら」という、甘い考えが発生してしまうぐらいに、物語の展開がよかったです(笑)。
ホント、湊さんていろんな意味でオソロシイ人!

まあ、私のことは置いといて(笑)、7つの山を登る彼女たちの物語がちょっとずつリンクしていて「あ、あの話の人、こっちではこういう風に見られてるんだ」とか、「あの後こんな風な関係になったのね」とか、ただ山に登った時の事だけじゃなく、山に登ったことで得たもの変わっていったこと、彼女たちの人生が続いてる感じがして、とてもよかったです。

「火打山」の美津子さんの話がよかったです。
美津子さんは、傍から見るとバブル時代を謳歌していた(あの頃を引きずってる)女性。いまだにちょっとゴージャス感が漂うため、周りから誤解されている。一緒に山に登っているのは、婚活パーティーで知り合った男性・神崎さん。職場の山岳同好会で山好きになり、ぜひ一緒に登りましょうと美津子を誘ってくれたのはよかったのだが…。
神崎さんにイライラしてる感じに違和感があったんですが、最後にその理由がわかって、とてもすっきりしました(笑)。美津子さん、かっこいいなあ。
ラストで〈高級和菓子のOL二人組〉(前章「妙高山」の主人公たち)が山頂で「離婚しろ〜」だの「結婚してやる〜」だの叫んでるのを見て、美津子さんも
〜〜「わたしも、叫んできます。覚悟しておいてください」〜〜(本文より引用)
と宣言。何を叫ぶのかしら、とニヤニヤしてしまいました♪

そして最後の章「トンガリロ」で、二人がまた現れた時には、盛大にニヤニヤしちゃいました♪
美津子さんが叫んだ言葉に、神崎さんは即OKしたんだろうなぁ(笑)。なんだろう、すごくほほえましいですよね〜(^_-)-☆。この章の主人公・柚月から見ても二人の雰囲気はちぐはぐなのに、二人のつけてるとんぼ玉で「二人を包む空気が、同じ色に変わった」っていうのが、なんかもう、たまりませんね♪

「妙高山」「火打山」「金時山」に登場する、由美・律子・舞子の関係というか、お互いをどう思ってるかが変わっていくのも、なんだかすごくよかったです。同じデパートの同期社員・ただの仲良しから、お互いの個性をを認めてこれからも大事な友達・仲間になっていけそうなところが。

彼女たちは、それぞれに「誰にも言えない苦い思い」を抱いて、山を登る。
山を登るという体力的なきつさ、一歩ずつ目的地へ歩みを進める着実さ、登山中に出会う人・自然・風景、色々なことが複雑に作用して、彼女たちの「思い」を変えていく。
たぶん、それができる人と、できない人がいる。
・・・うらやましいと思うが、まあ、致し方なし(笑)。

(2016.08.29 読了)

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湊かなえ 幻冬舎発行年月:2014年07月 ページ数:292p サイズ:単行本 ISBN:97843


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Bookworm
2016/09/07 12:35

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
山を登りながら様々なことと向き合い、一歩を踏み出していく女性たちの姿が良かったです。私も登山に挑戦してみようかなとチラッと思ったりもしましたが、まぁ思っただけで・・・^_^;
個人的には美津子のお話が好きだったんですが、デパート社員三人のお話も良かったなぁとこちらの記事を読みながら思いました。

子供の頃のトラウマって大人になっても脱することは難しいですよねぇ。私にもそんな体験があるので、水無月・Rさんの気持ちは多少なりとも理解できます。
すずな
2016/09/07 12:50
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
「登山してみようかな」いう気になってしまう、湊さんマジックのオソロシイこと(笑)。
美津子さんは、世代がちょっと近いからですかねぇ(^^;)。あるある感がなくもない(笑)。

ええ、トラウマというほどでもないんですがね。いい思い出がないのは事実です(笑)。
水無月・R
2016/09/07 21:10

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