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zoom RSS 『ハーモニー』/伊藤計劃 ○

<<   作成日時 : 2016/09/28 19:48   >>

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核が多用され世界的な混乱となった〈大災禍〉。そこから人類は、〈人〉という資源を公的なものととらえ、尊重する方向性に舵を切った。
過分なユートピアに叛旗を翻そうとした少女たちの、その後の物語。
昨年の秋、大々的に映画化された伊藤計劃さんの3部作のうちの1つ。
最初に『ハーモニー』を選んだのは、一番興味が持てそうなあらすじだったからなのですが・・・。
・・・いやぁ、難しかった。
でも、すごく充実しました。思うところは色々あるんですが、読めてよかったです。

物語は21世紀後半、大災禍を経て、人間は公的資源であるとして過剰に保護される世界、それに倦んだ3人の少女の自殺行動の13年後から始まる。
生き残ってしまったトァンとキアン。一人逝ってしまったはずのミァハ。

う〜ん・・・。あらすじを書こうとすると長くなるし、いろんなエピソードが全部重要に絡まる物語なので省けないし、もう私の主観的な感想だけ書くことにします。
以後、超ネタバレです。お気を付けください。

『WatchMe』という健康監視システムが人体にインストールされ、ほぼ全ての病気から人間が自由になり、優しさや思いやり、慈愛に満ちたお互いを傷つけることない世界。
これをユートピアというとしたら、あまりにも作り物めいていて、眩暈がします。
でも、それが現実として機能している世界で、世界中を混乱に陥れた事態の元凶を追うトァン。
彼女の感じる居心地の悪さと、それでも世界と何とか折り合っている様子に安心やキナ臭さを覚えつつ物語を読み進み、最後の最後にトァンの選んだ未来にぞっとしてしまいました。

トァンの納得する世界を受け入れられない私は、たぶんミァハと対抗する〈老人たち〉側にいるんでしょうねぇ。
人類の究極の姿は、個々の意識を放逐して、全体調和を優先というよりそれだけが目的だということだと認識したんですけど。
それって、「人類」が存在する必要性あるんですかね?・・・って思っちゃうわけですよ。
さらに言えば、そんな風に「ただ在る・在り続ける」という世界に、意味はあるんだろうか、と。
このラストには、違和感を覚えるし、そう感じる自分に安心しました。
でも、この物語はこういう終末を迎えるのが必然。

物語の途中でしょっちゅう差し挟まれる、HTMLタグのような英語。
最初のころ、英語苦手な私は、あいまいに覚えてる(あるいは連想する)意味だけで物語を読んでいったんですが、途中からそれじゃ物語の意味を見逃しそうな気がして、なんと「辞書で調べながら(しかも読み終えた分まで(笑))、メモして付箋に書いて貼る」なんていう、作業を行ってました。あ〜こんな単語もわからんのか自分・・・と情けなくなりつつ、後半はあまりそのタグ英語もなくなったので安心して読んでたら、トァンの物語が終わった後に追加された章に、愕然としました。
これが、物語全体を覆う仕掛けだったとは…。
もう、あの終末は確定事項としてあり、あの世界が何の問題もなく進行しているということ。
あの〈ハーモニー世界〉は、私にとってはディストピアだなぁ、と感じます。
個々がなくなることは、争いがなくなることかもしれないけど、それぞれの楽しみというものもなくなることじゃないかと思うので。
それは、嫌ですもん。

私にとっての、伊藤さんの3部作の1冊目。他の作品も読んでみます!
3部作といっても、ホントは3作目は伊藤さんが亡くなってしまってその構想をもとに、伊藤さんの親友である円城塔さんが書き上げた、作品になるんですが。それは全然かまいません。
楽しみです。・・・まあ、〈読みたい本リスト〉の長さ的に、順番はいつ回ってくるか、ですが・・・(笑)。

(2016.09.28 読了)

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