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zoom RSS 『玉依姫』/阿倍智里 〇

<<   作成日時 : 2016/11/27 17:51   >>

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阿部智里さんの八咫烏シリーズの、第5作目ですね〜。
物語の舞台は、今まで語られていた〈八咫烏の世界〉=山内から一転して、なんと現代(正確にはちょっと前)の日本。・・・正直びっくりですよ!
タイトルが『玉依姫』だし、表紙が巫女っぽい衣装を着た女性の姿だったんで、山内の過去の話だと思ってました。
まあ、物語の過程で、山内の過去というか起源に大きく触れられてもいたのですが・・・。

主人公は、父母を事故で失って、祖母と二人暮らしをしていた女子高生・志帆。ある日、存在すら知らなかった伯父が現れ、母の故郷である山内村(さんだいむら)へ来ないかと志帆を誘う。祖母の異様なまでの反対に反発を覚え、黙ってその地を訪れてみると…。
伯父や村の人々の異常なまでの歓待ぶりからして、絶対そうだと思ってましたが、やっぱり人身御供にされてしまいました。志帆がささげられたのは、禁足地である山に住まう山神。喰ってやると脅してくるその姿は、人の形を未だ成さない化け物。
一度はそこから逃げ出すことができた志帆だったが、自らの意思で戻り、山神を育てることを決意する。
山神に仕えるのは、人語を操る大猿たち、そして見た目は人間に見えるが八咫烏だというものたち。八咫烏の長は奈月彦という。

・・・え?奈月彦?
ど・・・どうして大猿なんかと一緒に、現世の神(いまだ神成らない存在)に仕えてるの?山内は?!大猿たちとの対決は?
どうも、前作『空棺の烏』と本作の間に、多少奈月彦の記憶も戻り、山神に仕えるに至る物語があるようなんですが、今回はその辺はすっ飛ばされています。
来年(2017年)夏に刊行予定のシリーズ第1部完結編で、明らかになるようですね。楽しみです!

しかしねぇ。やっぱり、作中の山内とつながってるのは、現代なんですね。前にそういう描写がちょろっとあった時は、結構違和感があったんですが、本作を読み終えてその辺はさっぱりしました。
ですが、どうにも駆け足感を否めないなぁと思うんですよ。特に〈山の意思に操られてる〉というような描写や「サヨ」のくだりとか。
あと、日本神話に対しての知識が、もっとあったらなぁと思いました。「玉依姫」が出てくる時点で、そうなんだろうなとは思いましたけど…20年以上前の記憶と知識を掘り返しながら読んで、ちょっと疲れました(笑)。中途半端に覚えてるもんだから、作中の説明だけじゃなく自分の覚えてることを照らし合わせようとしてしまって…って、かなり茫洋とした記憶だったので、ろくなネタは出てきませんでしたが(^^;)。

ラストまで読んで、志帆は「玉依姫」たるべくして、運命に導かれてきたんだなぁと、感じました。山神=椿を一個の存在として愛し尊重する、それができるのは志帆の性質あってこそ。ただ人には備わらないその母性は、人の世の中で生きていくには余りにも危うい性質だったけど、化け物にしか見えない人喰いの神を鎮める巫女だったからなんですよね、きっと。

山内の起源、山神の変容と八咫烏の逃亡、山内の忘却、そして今回の物語。荒ぶる神とそれを倒す英雄という定型に姿を借りた、真実。
ちょっと疑問に思ったんですけどね、たった100年で山内はその存在意義を見失っちゃうものなんでしょうかね?もともとの存在意義を、金烏一族が秘匿してたってことなのかしら?だとすると、どうして秘匿する必要があったのか、とかいう疑問も出てきてしまいます。ううむ。
それと、ラストシーンで志帆が相対した存在に対して言った「荒魂と和魂」のこと。「荒魂と和魂」に関して作中で触れられてるのは、奈月彦と大天狗である谷村と志帆の祖母のシーンだけだったはず。
普通の女子高生である志帆にそんな知識はないと思うんだけど…。その辺は「志帆=玉依姫」ってことでOKになるのかしらん・・・。

途中で「奈月彦の親族のますほ」という女性烏が出てきたときには、嬉しくなりましたね〜。
『烏に単は似合わない』の真赭の薄の事ですよね♪前作『空棺の烏』の時には妃の女官長をしてましたが、きっと金烏の側近の一人としてこちらへ来て仕事してたんですよね!有能な人でしたもんねぇ♪
で、たぶん奈月彦の代わりに山神の怒りを受けて大けがをしたのは、彼女の弟の明留でしょうねぇ。ちゃんと奈月彦の側近として活躍してますね!・・・雪哉が出てこなかったのはちょっと残念です。きっと次作では、奈月彦の右腕として大活躍してくれるんですよね!ってことで我慢します。

(2016.11.25 読了)

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『烏は主を選ばない』 ◎
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玉依姫 阿部智里
玉依姫著者:阿部 智里文藝春秋(2016-07-21)販売元:Amazon.co.jp 生贄伝説のある龍ヶ沼と、その隣にそびえる荒山。かつて、祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪ねた高校生の志帆 ... ...続きを見る
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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは〜^^
今回の作品はこの世界の歴史に触れる部分がたくさんあって、なるほどと思うところがたくさんありました。
でも同じく色々あれ?と思うところがあったのが残念でしたねぇ。ここまでシリーズとして確立しているんだから性急に進めなくても良かったんじゃないかなぁなんて思ったりもしたのですが^^;なんにしても来年の完結編が楽しみですね。
ますほの登場は嬉しかったですね。でも平仮名で最初に登場した時は同一人物だとは気づかなくて^^;自分の鈍さにびっくりしました…。
苗坊
2016/11/27 18:37
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
シリーズの世界観が広がる作品でしたね〜♪
そう、急ぎすぎな感じはちょっと残念でしたが。
補足説明ばかりして、冗長になるのもいかがなものかと思いますし…バランスが難しい所ですねぇ。
ますほについては、あの4人の期先候補の中で一番好きなキャラなので、アンテナに引っかかりました(^_-)-☆。
彼女のことも含め、次作が楽しみですね!
個人的には、他者には強気に出られるのに、若宮(奈月彦)にはいいように振り回される雪哉(でも毒舌は忘れません)の活躍が読みたいです(笑)。
水無月・R
2016/11/27 18:58
まさかの現代が舞台でビックリしましたね!タイトルと表紙からも全く想像できなくて予想外でした。驚きはしましたが、確かにこれは必要な物語ではありました。山内について、ようやく全貌が見えてきたような気がします。
ただ、内容については、え?と思う部分もあったりでスッキリできなかったんですけどね^_^;

とにもかくにも、次作で第1部完結なんですよね!雪哉も活躍してくれるだろうし(たぶん^_^;)楽しみですね〜♪
すずな
2016/11/29 14:43
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
山内の存在理由が明らかになるという、大事な物語でしたね。奈月彦の前の真の金烏の謎にも触れましたし。
だんだん、山内の世界のことも分かってきましたね!

今作を踏まえたうえでの、時間を遡っての次回作、楽しみですねぇ!是非雪哉の活躍を!
水無月・R
2016/11/29 17:54

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