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zoom RSS 『楽園のカンヴァス』/原田マハ ◎

<<   作成日時 : 2017/07/17 22:47   >>

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実は今まで、原田マハさんの作品、読んだことなかったのです。アンソロジーとかでもご縁がなかったんですが、いやいや、勿体ないことしてましたわ…!!
少しずつでいいので、他の作品も読んでいきたいですね。
というわけで『楽園のカンヴァス』、記念すべき初読み作品となりました。

岡山にある美術館の監視員・早川織絵のもとに、日本での「アンリ・ルソー展」開催にMoMA(ニューヨーク近代美術館)からルソーの代表作『夢』を貸し出す際の交渉役の指名が来た。織絵を指名したのは、MoMAのチーフキュレーターである、ティム・ブラウン。何故彼が一介の監視員でしかない、織絵を知っていたのか。
時は、17年前に遡る。
織絵とティムは、スイスの伝説の美術コレクター・バイラーに招かれ、ルソーの世に出ていなかった作品『夢を見た』の真贋の講評を戦わせた仲であった。
バイラーは二人に、その『夢を見た』の真贋を〈七章からなる物語『夢を見た』〉を7日間かけて読むことで判定し、優れた講評をした方に作品の「取り扱い権利」を譲渡すると宣言。
7日間、ルソーと彼を取り巻く『夢』『夢を見た』作成当時の物語を読んだティムの身辺には様々な人物が出没し、『夢を見た』真贋判定に関して、ティムを脅迫したり、強く訴えかけたりする。揺れるティム。
そして、最終日の講評において、ティムがとった説は・・・・。

基本的に、芸術に素養が全くなく、知識もあまりないので、読み始めは不安でした。
ですが、美術や芸術のテクニック的なことではなく、真贋の判定を「物語」を読み解くというミステリーに委ねられ、ティムを脅かす美術関係者の欲望をどうかわすかというスリル、そして「アンリ・ルソー」という画家を心から愛している二人の研究者の気持ちの深さ・・・、次第に惹き込まれて行きました。
ルソー、ピカソ、アポリネール、ルソーのミューズ(美の女神)となったヤドヴィガ、その夫のジョゼフ…芸術の新時代を生きた彼らの物語。
読めば読むほど、ルソーの描く絵から吹き寄せてくる、濃密な緑の密林の風や湿度に息詰まるような気持ちになり、ヤドヴィガやジョゼフと共にルソーの作品の引力に引き回され、現代(17年前)パートに戻ればティムの進退にキリキリと胸が痛み、どんな結末が訪れるのだろうかと、ずっと胸がざわめいていました。

ルソーの物語を読み終えたティムと織絵の講評が終わり、バイラーはティムの判定を採用し、取り扱い権利を彼に譲渡する。
そこから、ティムの紙一重ではあるが、鮮やかな反撃が始まる。
『夢を見た』の去就は決まり、ティムは織絵に『夢を見た』を前にバイラーの正体を明かす。

そして、物語は本来の時間に戻り、交渉人として織絵はMoMAを訪れ、『夢』の前でティムと再会する。

ルソーの描く密林のように、濃密な物語でした。
『夢を見た』にかかわる作中作もドキドキしましたし、上司のトムを騙っているティムの正体が暴かれやしないかとビクビクもしましたし・・・。
極上のミステリーであり、びゅじゅつへの愛の溢れる作品でした。

しかし、バイラーの正体には、全く気づきませんでしたねぇ。彼の『夢を見た』への情熱、なのに仄見える諦め、複雑な言動。
彼の納得のいく『夢を見た』取り扱い権利者が現れたこと、本当に安心しました。

織絵とティムの再会。
長い年月を経て、ルソーを思い、お互いを思い、美術を愛してきた二人の、再会。
夢が現実になったような、輝きに満ちて、それでいて穏やかな空気。
読み終えて、ほうっ・・・・と深い息をつきました。

(2017.07.17 読了)

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