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zoom RSS 『かたづの!』/中島京子 ◎

<<   作成日時 : 2017/08/11 11:42   >>

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江戸時代唯一の女大名・南部祢々の生涯を、南部藩の秘宝である〈かたづの〉が語る。
いやあ、面白かったけど、もどかしかったわぁ。何もかもが思い通りななる訳もなく、様々な苦難に遭遇する祢々(清心尼)の人生は、本当に波乱万丈。
中島京子さんの想像力と史実とファンタジーが、見事に一体化し、歴史を彩る。
『かたづの!』、大変惹き込まれましたね!

夫と跡取りである幼少の息子を、立て続けに喪った南部藩八戸の祢々は、領地を狙ってくる本家の叔父・南部三戸の利直からの謀略をかわすために女亭主となり、城主となる。
娘が成長し、その婿の直義に当主を譲った後も、不在がちな当主を助けて領地を治めていたが、ある日叔父から遠野への国替えを命じられる。
遠野での新たな国造りにも艱難は付き纏う。それでも懸命に、戦わずして収めるをモットーに国を治め、様々な出来事に出会いながら、その生涯を閉じる。

その彼女の生涯を語るのは、かつて彼女と共にあった一本角の羚羊であり、その形見である片角。
片角の元には、何故か世間の噂が集まり、祢々を助けたいと願う角は、人に憑りついてそのうわさや真実を告げる。
ファンタジーだけど、その「片角」の彼女を思う心が真っ直ぐで、語りが率直で、大変心地が良かったです。でも、本当にいろんな困難が祢々を襲うので、苦しくなります。どんなことがあっても、迷いはしても逃げない祢々の芯の強さには、頭が下がりましたね。

作中で出てくる「絵画の中から抜け出すぺりかん」のキャラが、結構好きです。ぺったら、ぺったらと歩き、片角とは違う感覚で現状を見るぺりかん。絵から出てくる、という時点でファンタジーなんですが、ぺりかんがいなかったら、片角は世の中を見る目が狭くなっていたんじゃないかなと思います。
東京の美術館から飛び立っていったぺりかんは、どうなったんでしょうね(笑)。

カッパの発祥が南部だとは知らなかったですね。それが遠野へ移動し、遠野で栄えたというエピソード、非常にしっくりきました。遠野が民間伝承研究の起点となったのは、祢々のおかげだったんですねぇ!なんてね。カッパの頭領の純情?、なかなかなものでしたね。

その遠野に移ってからも祢々に降りかかる困難は矢継ぎ早で、読んでいて「大団円」はないんだろうなぁ…現実って辛いなぁ、なんて思う(フィクションのはずなのにね)のでした。
孫娘と共にあった最期の1か月が、祢々にとって心安らぐものであったことは、救いでしたね。
祢々の生涯を読み続けて思ったのは、戦いにおいて一番大事なのは戦いを起こさないこと、戦いを始めてしまったら何とかして負けずに戦いを治めること、という彼女の考え方は現在に通じる真実だけれど、現代においても実現はなかなか難しいってことですね。残念な限りですよ、本当に。

本来は明るく強気な祢々が、強気で押し切るというより色々我慢し、様々な現実を飲み込みながら、それでも何とか前を向いていく様子は、だからこそ片角や河童のような存在に愛されそっと見守られるんだろうな、と気持ちがよかったです。

(2017.08.06 読了)

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