蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『ポイズンドーター・ホーリーマザー』/湊かなえ ◎

<<   作成日時 : 2017/11/28 22:40   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

うわぁ・・・湊かなえさんらしい短編集だわぁ。
湊さんの作品の何が怖いって、〈肥大化する被害者意識〉と〈廻り廻る悪意の悪循環〉が凄くリアルなんですよ。
なにか一歩間違ったら、自分もそちら側に簡単に行ってしまう可能性が、垣間見えてしまう。
私の中にある、悪意・嫉み・優越感・ひがむ心、それらをまざまざと意識させられました。
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』というタイトルからして既に不穏。
「毒親」なら「ポイズンマザー」になるはずなのに?その仕掛けに怯えながら、読み進めた6編。終わりの2編で明かされる、その意味。
うわぁもうホント、湊さんだわ。なんか、結構すごい勢いで読んじゃいましたよ・・・。

「マイディアレスト」
蚤取りをしていました。・・・マジかよ、怖すぎる。
「ベストフレンド」
新人脚本家たちは、燃え上がる嫉妬の末に・・・。
「罪深き女」
子供の頃、あの男の子に優しくしてやったことは、間違っていたのかも。
「優しい人」
優しい男と、調子に乗った女?
「ポイズンドーター」
私は、親に支配されてきた。
「ホーリーマザー」
子供を心配したりすることが、毒親なのか。

一番怖かったのは、「マイディアレスト」です。淡々と進む、妹が殺された女の独白。
嫉みと憎しみが生まれる過程にもなんとなく共感しそうになりつつ、迎えたラストに本当にぞっとした。蚤取り・・・蚤取りじゃないよソレ!!

対を成す「ポイズンドーター」「ホーリーマザー」
やり過ぎの感はあるけど、私は娘側の主張の方が正しい気がする。
でも、ホントに?
女優になった娘は、たぶん自己顕示欲が強い。〈肥大化する被害者意識〉で、全てのエピソードに妄想の装飾を加えていないか?
逆に、母側(告発してるのは娘の元友人とその義母だが)のストーリーに入ると、ところどころで「しつけは毒親か」「子どもを守ろうとちょっと制限をかけることは毒親か」といった、新聞投書か何かのような一言がいくつかずつ入ってくる。
そのレベルならね?本当にそうだったかは、家庭という密室の中だからわからないよね?
私は、娘側に真実が振れている気がするけど、本当はどうだったのだろうか。
読んでいて、親として息子たちから「ウチの母親は毒親だ」と思われてる可能性もある・・・と、切なくなりました。私はそのつもりはないけど、それは私の主観であって、彼らの主観ではないから。
それを再確認させられることに、とても抉られました・・・。

「ベストフレンド」は、すっかり騙されました。いや…なんか微妙に変だなぁ…という気がしなくもなかった、と言うよりあまりにも展開が予想通り過ぎて、おかしい気はしてたんですよね。
で、あのラスト。
成功した脚本家・大豆生田(まみゅうだ)は、インタビューで自分が襲撃された事件について語る。そして、ライバルであり自分の代わりに命を落とした漣(さざなみ)の言葉を紹介して、インタビューを終える。
いやにきれいなラストを迎えた気がして、違和感が生じてしまいました。すべてが大豆生田の脚本通りだったとか、そういうことを言うつもりは、ない・・・。だけど、この事件で得をしたのは大豆生田だけだった、と思うと怖くなってしまいました。
綺麗にまとまったインタビュー、わざとらしく作り物めいている締めの言葉。読了後も、しばらくゾワゾワする余韻をひきずってしまいました。

湊さんの作品なので、どれもすぐに映像化できそうですよね。
「ベストフレンド」はぱっと見、映像化は難しそうな気もしますが、ちょっとした演出で乗り切れそうな気もします。一番、映像で見てみたい作品です、私的に。

(2017.11.28 読了)

ポイズンドーター・ホーリーマザー [ 湊かなえ ]
楽天ブックス
湊かなえ 光文社【第155回直木賞関連】 ポイズン ドーター ホーリー マザー ミナト,カナエ 発行


楽天市場 by ポイズンドーター・ホーリーマザー [ 湊かなえ ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』/湊かなえ ◎ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる