蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『シンメトリー』/誉田哲也 〇

<<   作成日時 : 2017/12/26 22:38   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

誉田哲也さんの〈姫川玲子〉シリーズの3冊目『シンメトリー』は、短編集。
壮大なストーリーにはならない事件でも、姫川の負けん気の強さや勘の鋭さが際立ってましたねぇ。

「東京」
ある夏の日、転落死した女子高生。現場の指紋跡がおかしな向きで。姫川のカンが真相をとらえる。
「過ぎた正義」
出所した男が二人も、天罰のように殺された。個人的にその件を追う姫川。
「右では殴らない」
売春を開き直る女子高生に社会を説く姫川。自らを棚に上げる彼女に怒りを爆発させた、その結果。
「シンメトリー」
飲酒運転で鉄道事故を起こした男が、死んだ。犯人と目される男を追う姫川。
「左だけ見た場合」
姫川は超能力を信じない。手品師の男が殺され、そのダイイングメッセージを残した方法が・・・?
「悪しき実」
男が死んでいると通報した女が行方不明に。女を発見した姫川は、思いもよらぬ真相を知ることになる。
「手紙」
かつて「殺したことを後悔していない」と断言していた受刑者から、姫川に手紙が来た。

それぞれの事件で、姫川のいろんな側面が見られて、とても興味深かったです。
直属の部下や上司、同じ捜査一課の別の班の同僚や他部署の人々との関係も多様で、複雑な警察組織内の人間関係を垣間見ることも出来ました。

本作で一番印象的だったのは、「右では殴らない」
売春を「自分の勝手でしょ」と言う女子高生に対して、「社会に認められてない仕事だからダメ」といい、「社会なんて関係ない」と返されれば、「あなたの名前も国籍も国家という社会が認めたものだから、それなくして生活は出来ないのだ」説く。身勝手な彼女を叩き潰すその論理は、辛辣だが正しい。すらすらとそれを展開できるということは、姫川の中でその論理がきっちりと根付いているということ。覚悟をもって、刑事という職業についていることを、ひしひしと感じられました。
しかし、この章のラスト。
自分に薬物を分け与えた医学生に対して、「人殺し」と言い切った女子高生の耳の横の壁に、「あんたも立派な人殺しだ、自分でやらないで他人に撒き散らす方がどれだけ罪が重いか」と怒りの拳を打ち込んだ姫川。
まさかタイトルの真意がここにあったとは・・・ちょっと笑ってしまった。意味深なタイトルなのかと思ってたら、まさかの姫川の心の誓いだったとは。いやでも、「右では殴らない」は、大事な教訓(笑)。

今作、罪に対して刑が軽いとか少年法の是非など、〈人が人を裁く〉ことで起こってしまうやりきれない思いが、新たな事件を呼んでしまうというストーリーがいくつかありました。
こういったことに対しての、正解はあるのか。個々に判断するのがいいのか、全てに対して一律の判断を下すべきなのか、私の中でも考えは様々にあります。色々と考えさせられました。

今後の姫川の行く末、気になりますねぇ。正直、昇進して現場を離れて欲しくないですし。かといって、殉死してしまうような展開だけは勘弁して欲しいですしねぇ。
姫川の懊悩や周りの人々との関係の変化もどうなるのか・・・、以後のシリーズも読み続けようと思います。

(2017.12.26 読了)

シンメトリー (光文社文庫) [ 誉田哲也 ]
楽天ブックス
光文社文庫 誉田哲也 光文社AKB AKB akb48 AKB48 AKB48 シンメトリー ホンダ


楽天市場 by シンメトリー (光文社文庫) [ 誉田哲也 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

読書ブログ様・ 読書サイト様 リンク

『シンメトリー』/誉田哲也 〇 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる