宮部みゆき『理由』 ◎

水無月・Rが宮部みゆき『理由』を読もうと思ったのは、京極夏彦『どすこい(仮)』の「理油」を読んだから、といったら、怒られるだろうか。
いや、全然内容違うんですけどね。タイトルだけですよ、設定すら、違いますから。でも、面白かったんだもん『どすこい(仮)』。となると元ネタ(違ッ!)の方も、読んでみよう、と。

高層マンションの1室で一家四人殺人事件が起こる。
防犯カメラが犯人と目される人物を映しているが、逃亡され、見つからない。
しかも、一家と思われていた4人は、同居こそしていたが、全くの他人同士。
事件の起こったマンションは、裁判所の競売物件になっており、その4人は占有屋として住んでいたことが分かる。
事件の取材を中心に、時間を追って、関係者一人一人の証言や物語が丁寧に綴られ、だんだんと複雑な事件が解きほぐされていく。

実は、途中までは「結局、どういうことなのよ!」と、じらされる気分だった。が、だんだんと解明される事実や関係者の心境の物語に引き込まれてしまった。
よく考えられたミステリーであると思う。

物語の主題は「一家(じゃなかったけど)殺人」を解明する取材、だったわけだが、「家族とは?」と問いかけられたような気持ちがする。マンションの元の持ち主一家、競売で競り落とした男の一家、占有屋をやっていた擬似一家、真犯人を突き落とした若い女の一家、容疑者を発見した労務者向け旅館の一家、様々な家庭、家族が描かれていて、それぞれに共感する面アリ、違うだろうと反論したくなる面アリ、「家族」について少々考えてしまった。どの家族も、微妙なゆがみを持っていて、読んでいて息苦しくなるのだが、自分も「自分の家族との関係」を思い、我が家も微妙にゆがんでいるかも、と思ってしまったのである。その微妙なゆがみが、何らかの事件に発展するか、ゆがみのままに家族に受け入れられ、それこそが自然な姿ということになるのか、分からないが。

(2007.1.20 読了)

理由
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朝日文庫 著者:宮部みゆき出版社:朝日新聞出版サイズ:文庫ページ数:630p発行年月:2002年09


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