『屍鬼』~第1部「鴉たち」/小野不由美 ◎ 

え~~と。2段組上下巻にてこずっている、水無月・Rです。
『屍鬼』は、上下巻で4部構成になっているので、各部の感想をUPしていくことにします。(毎日雑記をUPするのも芸がなさ過ぎなので)

実を言うと、小野不由美を読むのは初めて。確か『十二国紀』の作家だったなぁ~、程度の知識だったので、図書館で上下2巻を見てビックリした。分厚い・・・。しかも2段組だ・・・。読み終えるまでどれ位かかるんだろう・・・。ちょっと尻込みしたが、ココで負けてはいけない!と奮起して借りてきたのである。

何故、尻込みするような本をあえて借りてきたか。元々は京極夏彦の『どすこい(仮)』の「脂鬼」の章を読んだときに〔元ネタ読んでおけばよかった!〕と思ったからなのである。元ネタ知らなくても面白かったんですよ、非常に。ということは、元ネタ読んだらもっと笑えたかも!という気持ちがあったのでした。
もちろん、元ネタと『どすこい(仮)』の間には、深くて暗い川が流れてるんですけど(笑)。全然違いますから、内容は。でも、『屍鬼』を読み始めて〔あ、ココの設定は原作に倣ってたんだ~〕という部分が出てきて、『どすこい(仮)』を思い出して、笑っちゃったりしました。いえ、『屍鬼』は怖いんですよ、ホントに。

さて、本題(第1部「鴉たち」の感想)に戻りましょう。
「村は死によって包囲されている」のフレーズから、物語は始まる。実際に村を包囲しているのは樅の木。その樅の木から卒塔婆や棺を作る村が出来、今に至る。村は町に合併されるが、未だに村としての機能のほうが優先され、外部からの干渉をやんわりと退けている。
その村で、不可解な死人が出始める。村から離れた山の中の一地域の老人たちが全滅し、一時は事件かと取りざたされるが、病死で落ち着く。その後村の中では、夏風邪のような症状を発症し、患者が呆然としているうちに3日ほどで死に至る、という病が徐々に広がる。村の医者・尾崎敏夫、寺の副住職(若御院)・静信が、死者の不自然な多さに気付き、村がパニックに陥らないように水面下で調べるうちに、更に死者は増える。新種か亜種の伝染病なのか?だが、依然として発症原因や感染ルートがつかめない。

ココまでが、第1部のあらすじだ。
その中に「夜中に越して来る怪しげな洋館の一家」や「村の中でのウチ・ソト感覚の微妙さ」や「患者が死に至るまで、そして残された人々の言動や心情」が描かれる。登場人物が大変多いし、しかも人口1300人という微妙な人数での複雑な人間関係を把握するのに、一苦労した。

更に「静信の書く小説の一部」が随所に織り込まれ、この物語をしんしんと恐ろしくしている。静信は、聖書のカインとアベルの物語を元に「弟を衝動的に殺した兄が、楽園を追放され荒地をさまようが、そこへ弟の屍鬼(墓地からよみがえった存在)が兄に付きまとう」という小説を書いているのだが、その小説と『屍鬼』作品中の現実が、だんだんに絡み合う、その恐ろしさ。地の文に突然、書体を変えて挿入される、静信の小説。それは、作品中の現実世界に「屍鬼」という存在が、いつの間にか紛れ込むような不安感をあおる。

地縁血縁の複雑に絡み合う、外場村。閉塞感の漂う、でも、何処にでもありそうな村は、死によって包囲された。・・・うぉぉ~~、ゾッとするぞ~。
まだ第1部読了段階では、疫病の原因も何も分からない暗闇の中を、不安感だけが膨れ上がった状態である。・・・怖いです。ホントに。

(2007.3.14 第1部読了)

屍鬼〈上〉

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