『時の旅人』/長野まゆみ ◎

関東大震災で80年未来へタイムスリップしたチカホの「リュウグウノツカイ」。
昭和48年から13年過去へタイムスリップしたウシホの「タマテバコ」。
2069年から100年を遡ったリクの「トコシエノタビ」。
この3つの時間旅行を描く『時の旅人』

3つの章に共通しているのは、13歳の少年がタイムスリップすること・S校という中学(私立の伝統校?)・少年は美容師の祖母或いは大叔母と2人暮らしであること。確実な共通点はコレぐらいしかないのに、お互いを引き合うかのような、似た雰囲気を持って、廻り廻っていく、物語。出会いと別れを繰り返し、主人公の少年達とタイムスリップ先の人々、時を越えることを繰り返すシロウヅ達は、何を見たのだろうか。
ハク(魂魄)、玉手箱、シロウヅ(霊亀?)、オトヒメ醤油といった、「浦島太郎」の世界をモチーフにしつつ(浦島太郎も乱暴に括るとタイムスリップ物だし)、それを越えて幽玄な世界を描いている。

長野まゆみの、美しい文章が好きだ。そこはかとない、かそけき趣のある、透明感のある言葉遣い。伸びやかに、ゆったりと描かれる情景と心情。
・・・ああ、こんな言葉が書けたら。こんな文章が綴れたら。どんなにか、幸せだろう。
美しい文章というのは、それだけで凝り固まった気持ちをほぐす力があると思う。

そうそう。今回は、ほとんどBL風味はありません。・・・よかった・・・(^_^;)。
こういう、ほのぼのとしたファンタジーは、安心して読めますね。

水無月・Rは単行本のほうを読んだのですが、長野まゆみ作品の単行本の装丁(絵)は他作品も含め、本当に綺麗で、うっとりしてしまいます。文章もいいし、繊細な少年達の画像も素敵。やっぱり、長野まゆみはやめられません。

(2007.3.26 読了)
時の旅人
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著者:長野まゆみ出版社:河出書房新社サイズ:単行本ページ数:139p発行年月:2005年03月この著


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