『後巷説百物語』/京極夏彦 ◎

面白かった!!けど、読む順番違ってる~~!!悔しい~~。
『巷説百物語』を読んで、「人のなせる罪悪」を「人ならぬ者の仕業」として事を丸く治める、又市一行の素晴らしい手腕に唸らされ、図書館の書棚で「うわ!続編がある!」と発見してしまったが運の尽きである。前作とこの物語『後巷説百物語』の間に『続巷説百物語』があることに気付かなかったああッ、もったいない~。

今回は、考物の百介が老いて後(明治維新後である)、怪奇について意見を聞くために訪ねてくる若者達に「一白翁」として思い出話をしつつ、若者達のもたらす怪奇話を読み解くというスタイルをとっている。その百介の傍らには、遠縁の娘という小夜がいる。

若き日には、怪奇物語を求めて諸国を旅し続けた百介が、江戸を出なくなって久しい。前作『巷説百物語』では30代であっただろう百介も、既に80歳を越えている。若者達が持ち込む怪奇話に自らの知識や見解を与え、そして又市との思い出話をする。若者達の持ち込む事件の幾つかは、なんと又市の小股潜りの結果を引いていたりするという、偶然の一致(ちょっと都合が良すぎる気もしなくもないが)があったりして、百介が昔を懐かしむよすがになったりしている。
 
その思い出の中の又市一行は、相変らず鮮やかな技で、「人がなす罪悪」を「怪談になぞらえて」仕事人よろしく始末する。なんと、時の帝すら、騙したのであるから、その手腕たるや、神業である。(帝を騙した件は罪悪の始末ではないのだが)

前作『巷説百物語』では天然役者っぷりで楽しませてくれた百介さんですが、今回は「又市一行を思い起こす」哀愁漂う老人として、物語に深みを添えています。どうも間の作品『続巷説百物語』で、百介は又市たちと共に奇を操る道に進めず、別れてしまったようで、コレについては終章「風の神」で少々事情が語られている。

終章「風の神」で、百介は百物語に参加し、百話目・最終話を語る。又市にはかなわぬながら、一つの目論見を持って。その目論見は、若者の意図しない行動によって、最大限の効果を持って、仕掛けた相手を打ちのめすのですが。

百物語を開板しなかった百介が、語り終えてしまった百物語。
作家さんというのは、スゴイなぁ、と思うわけですよ。
百介の百は百物語の百(←今頃気付いたのかい、水無月・R)。
そして、彼岸にも渡れず、此岸で生きながらも生きていることを実感できないまま、日々を過ごしてきた百介に、もたらされた「又市の頼み」。
又市の頼みは、百介の生きた証(又市と同行したホンの数年間)であった。
その証のために、百介は百物語の最終話を語る。

様々に語られてきた、又市一行の巷説百物語は、百介のかかわる最終話で、姿を消す。
明治の世になって、怪談は、一つの役割を降りた、そんな感じがしました。
~~~ 御行奉為。~~~

面白かったです!是非、『続巷説百物語』『前巷説百物語』を急いで予約しなくては!明日、図書館に走れ、水無月・R!

(2007.5.14 読了)
後巷説百物語
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怪books 著者:京極夏彦出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:単行本ページ数:779p発


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