『雨月物語』/青山真治 ◎

上田秋成の『雨月物語』から、「蛇性の淫」「浅茅が宿」「菊花の約」の3篇を取り上げ、再構成した小説です。
上田秋成の『雨月物語』は、実は水無月・Rにとって、学生時代の思い出の作品でもあります。なので、生半可な翻案小説だったら怒るぞ!という気概で読んでみたらば・・・。なかなかに良い作品ではありませんか。
原作の幽玄な雰囲気に加え、原作では独立していた各篇を絶妙な筋廻しで1つの物語へと昇華していて、物語の終わり方にも納得がいきました。

作者の青山真治は、映画監督であり作家。この『雨月物語』を書くにあたって、溝口賢司の映画・木原敏江の漫画・様々な口語訳を参考にしたそうである。

物語の筋は、割と原作に沿っている。「浅茅が宿」の勝四郎と「蛇性の淫」の豊雄が幼馴染であることで、まずこの2篇が絡みつつ、「菊花の約」の左門が義兄の仇の大本である邪心の化身・大蛇を成敗しようとすることから、3篇が更に絡まりあいつつ、物語が進んでいく。

勝四郎は、大蛇に腕を食いちぎられつつも生きのび、故郷へ帰り妻の宮木と一夜をすごすが、一夜明けてみれば家は荒れ、妻は死んでいることを知らされる。だが、妻の存在を感じつつ、息子と共に実直に畑を耕し、暮らしていく。
豊雄は、今生では添い遂げられぬと納得しつつも大蛇への愛捨てがたく、大蛇を封じた尼寺へ行き、医学を修め、蛇塚を作り真名子を供養しながら生涯を終えた。
左門は、大蛇を封じたその太刀に憑かれ、また太刀を目覚めさせたが故に、太刀に導かれるがままに邪神を追って放浪することになったという。

3人の若者は、妖魔に逢ったが故に、その人生を大きく変えられた。だが、妖魔に逢わずば、己を強く持って生きることを得ることは叶わなかったのではないか。
そして、妖魔といえども、豊雄を愛したことは、真実だったのではないか。愛したが、人を破滅させる本性をなくすことは出来なかった。故に、悲劇はおきたのだ。
そして、その悲劇は、妖魔を封じることで、終わった。

原作の雰囲気を残しつつ、豊雄と真名子の今生では叶わぬ愛を、きちんと豊雄が供養するという終わりは、とてもよかった。・・・何だか、原作のほうも読みたくなっちゃったな・・・ってウチにあるの、評釈本なんですけど。真面目に読もうと思ったら、何週間かかるか・・・口語訳の部分だけ読もうかな(笑)。

(2007.6.14 読了)
雨月物語
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著者:青山真治出版社:角川学芸出版/角川書店サイズ:単行本ページ数:176p発行年月:2006年07


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