『少年アリス』/長野まゆみ ◎ (再読)

長野まゆみのデビュー作です。
奥付を見ると1989年初版とあります。出版とどちらが先だったのかわからないのですが、同じ頃にNHKのFMでラジオドラマが放送されていました。
それを聴いた時の衝撃は、未だに忘れられません。独特の世界観、そして、「少年」という繊細で美しく現実感のない存在。
音だけで構築されるその世界に、あえやかに描きだされる、はかなくも淡い色合いの情景。
そして、そのラジオドラマのタイトルと同じ『少年アリス』を図書館で発見したとき、他の借りたい本のことも忘れて貸出カウンターへ走ったことを覚えています。
もちろん、読んだ時の感激も。
水無月・Rと、長野まゆみ作品の出会いは、こんなふうでありました。

もともとファンタジーが大好きで、いろんな作品を読んでいましたが、これほど水無月・Rの感性に訴えかける作品はありませんでしたね。
『少年アリス』を皮切りに、様々な長野作品を読んできました。未来系・少年愛系・パラレルワールド系と色々な作品傾向はありつつも、その底に流れるのは、現実感を削ぎ落とした、繊細で美しく儚い情景。

今回再読を思い立ち、『少年アリス』の世界に入った時、あのころの感動がよみがえってまいりました。圧倒的なまでの、作品の引力。物語そのものは力強さではなく、繊細さ、儚さすら感じさせるというのに。

あ、いかんいかん。〔水無月・R的 長野ワールド〕を語り始めてしまうところでした。どうも最近、良い作品について書こうとすると、ひたすら長文化、しかも興奮しすぎで文章意味不明になるという手のつけられなさで(←一応、反省しております・・・m(__)m)。

〔ストーリー〕
アリスは、親友の蜜蜂・その飼い犬耳丸とともに、夜の学校に忍び込む。そこでアリスが捕らえられたのは「生まれ損ないの鳥たちの授業」。彼らは夜空を管理していたのだ。それを知ったアリスは黒鶫に姿を変えられてしまう。耳丸の協力により、蜜蜂はアリスを救う。そして、季節は夏から秋へ・・・。

う~ん、ストーリーを書いてみたけど、この物語に描かれているのは、そういうことじゃなくて。
アリスや蜜蜂の兄弟観やお互いを思う友情、少年らしい矜持など、透明感のある、少年たちの心の動き、緩やかな成長。
夜の学校、夏と秋がすれ違う玄関、生まれ損なった卵の標本、夜空を飾る少年たち、鳥に変えられ友人に助けられる少年など、儚く美しい物語の設定。
水盤、洋燈(ランプ)、天鵞縅(びろうど)、蒲公英(たんぽぽ)、曹達(ソーダ)水、手巾(ハンカチ)など、美しい漢字へと変換される言葉たち。

長野作品に描かれる「少年」は、美しく繊細で、俗な雑味など一切ない。
レトロでノスタルジックな淡い色合いの中に凛と立つ、色白で細身の、現実感を削ぎ落とした少年。
幻想的で、あえやかで、儚い。まるで、ひたすらに美しい夢のようだ。

あ、やっぱり駄目だ…きちんとした文章になってないし。
書きたいことは、まだまだいっぱいあるのですが、とても収拾がつきません。
私の稚拙な文章じゃ、良さの100分の一も伝えられてないです。

え~~と。
・・・すみません、『少年アリス』、読んでください。
本当に、すばらしい作品です。


(2007.10.21 再読了~初読は1989年頃)

少年アリス (河出文庫)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 少年アリス

    Excerpt: 先日、長野 まゆみさんのカルトローレ-cartorolle-を読んで他の作品も読んでみたいなぁっと。 友人にお勧めを聞いたら、少年アリスを進められた�... Weblog: unsigned racked: 2008-05-27 17:53