『夜は短し歩けよ乙女』/森見登美彦 ◎

図書館の予約順番待ち、やっと回ってきました!
待望の森見登見彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』です。
感想書く前に、よそ様のレビューは読まない主義なんですが(皆さん素晴らしいから、自分が悲しくなってしまう…)、とりあえず今回は、「本屋大賞2位だしな~、どれぐらいの方が読んでるんだろう~」なんて軽い気持ちで検索をかけたらば、次々出てくる。しかもよくお邪魔させていただいてるブログさんがすっごく多い。先に読んでみたい・・・でも読んじゃったら、自分の感想が書けない・・・というジレンマ(←大げさ)を乗り越え、まずは自分の感想を。

読了第一声が「むふふ。」でしたね。
第1章「夜は短し歩けよ乙女」は『Sweet Blue Age』で読んでいましたが、もう一回読んでみて、やっぱりいいわ~と。黒髪の乙女の言葉遣いがいい。こういう「昭和初期文学調」(そんな調があるのか?)な言葉って、ゆったりしてていいよね。心洗われるわ~。
こういう言葉だけを使い、耳にして生活したら、私も格調ある人間に生まれ変われるかもと妄想(←絶対無理)。

天狗の樋口さん、鯨飲美人の羽貫さん、閨房調査団の東堂さんなど、とんでもなくキャラの立った人々に囲まれ、三階建ての電車に乗ったとんでもない大金持ちで大酒飲みの李白さんと「偽電気ブラン」と称するお酒の飲み比べをすることになった、黒髪の乙女。
そして、その彼女をただひたすらに追い続ける、トホホな先輩。この先輩のトホホっぷりがたまりません。
表紙のメガネ美男子ぶり(やや疲れ気味?)が、水無月・Rの個人的好みにジャストミートってのもあります(笑)。

春の飲み比べ、夏の古本市、秋の学園祭、冬の風邪将軍が猛威をふるう京都市内。黒髪の乙女はとにかく、どんどん歩きまわり、あちこちで「先輩」と「奇遇(故意)」な出会いをするのだが、彼女は全く彼の意図に気付かず、「あ!先輩、奇遇ですねぇ!」とのたまう。天然もここまで行くと、なかなかにすごいエンターテイメントだな・・・(笑)。

春夏秋冬、彼女は果敢に闊歩する。それを「外堀を埋めすぎ」な、先輩が後を追う。摩訶不思議な事象に出会い、「奇遇(故意)な出会い」を繰り返し。不思議なことに、いつもだったら「じれったいな~もう~!」と短気な私がイラつくはずの先輩の「外堀埋めすぎ行動」がちっとも、イライラしない。むふふ、可愛いな~も~、頑張れよ~!ってな感じなんである。あまりに彼女が天然過ぎるからかね(笑)。

4章のどれも良かったな~。
夏の古本市「深海魚たち」の「李白さん主宰・火鍋対決」、すごく面白かった。いや、体験はしたくないけど・・・。あんなに頑張ったのに、「古本市の神様」の仕業で、勝利賞品を得ることができなくなっちゃった先輩のトホホっぷりが、素敵。あわててその本を探して走れば、1冊の本を彼女と同時につかむ、なんて青春ラブコメみたいなシチュエーションにはまり、(元々の計画通りなのに)恥ずかしさのあまり逃げ出しちゃったり。

秋の学園祭の話「ご都合主義者かく語りき」では、美貌の学園祭事務局長、韋駄天コタツにパンツ総番長、「象の尻」展示者、ゲリラ演劇の偏屈王とプリンセス・ダルマなど、いろんなキャラが入れ替わり立ち替わり、大学祭を盛り上げながら壮大な追いかけっこを繰り広げる。そこへ巨大な緋鯉のぬいぐるみを背負って闊歩する彼女、追いかける彼、が加わって、混乱の極み。彼女はいつの間にかプリンセス・ダルマ役を引き受け、それを追う彼も、最終幕では命を賭して?偏屈王役を勝ち取る。劇中とはいえ、抱き合う二人。だが、その後彼女とあっさりとした会話をするだけの先輩。・・・うう~ん!そのトホホっぷり、素敵すぎ!
それと、大学祭の途方もないパワーを思い起こして懐かしくなりましたね。私の母校は地味な大学でゲリラ演劇なんかなかったけど、それでも無駄にパワー全開させ、お祭り騒ぎに酔ったあの若き日のことを思い起こすと、・・・恥ずかしいですな(^^ゞ。

冬の風邪将軍退治「魔風邪恋風邪」では、風邪をひいてしまい、とうとう彼女を追いかけることができなくなってしまった先輩。その先輩の妄想大炸裂が、いじらしい。たまらん。万年床の中で脳内会議を開き、自分の内なるすべての意見を大演説で説き伏せ、「彼女へのお付き合いの申し込み」をし、現状を打開すると。ただし、風邪で寝込んでるこのザマじゃ手の打ちようはないのだけれど・・・。
そんなひたすらトホホな先輩にも、光明が見えてくるこの第4章。なんと、彼女も彼を意識し始めているのである。おめでとう!先輩!!
李白さんに取りついた風邪将軍が、すべての原因だと知らされた彼女は、果敢にも李白さんの電車を訪ね、「古本市の神様」である少年からもらった「潤肺露」と言う漢方薬を飲ませ、李白さんから風邪将軍を駆逐する。
李白さんの最後の咳で飛ばされた彼女と、妄想の中で空を漂っていたはずの先輩が出合う。やっと二人は、「デート」にこぎつける。「何を話そう。何を聞こう。」とわくわくしながら。

いや~、いいね、こういうふんわりした恋の話は!たまりません。天然だけど「おともだちパンチ」なる妙技を持ち、好奇心いっぱいに歩き回る黒髪の乙女。ひたすら、トホホ感たっぷりに、彼女を追い続ける先輩。
このまま、二人はずっと「奇遇(故意)な出会い」を繰り返すだけだったらどうしよう?!いや、こういうのはハッピーエンドで大団円が定石だから、大丈夫!とドギマギしながら、嬉し恥ずかしな気持ちで、一気に読み切っちゃいましたね~。
うん、これは「むふふ。」ですよ~。いや~、たまりませんね。

(2007.10.17 読了)
夜は短し歩けよ乙女
楽天ブックス
著者:森見登美彦出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:単行本ページ数:301p発行年月:20


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この記事へのコメント

エビノート
2007年10月17日 22:04
水無月・Rさんのレビューで読んだときの興奮を思い出しました~♪
ほんと、むふふ♪な物語ですよね~。
先輩も黒髪の乙女もとっても愛しくなっちゃいます。
表紙のイラストと内容もピッタリで、大好きな一冊です(^o^)/
june
2007年10月20日 20:23
私も水無月・Rさんのレビューを読んで、再び胸を熱くしてます。むふふ♪
私も表紙好きです。アンソロジーで読んだ時は、もう少し小汚い(失礼)先輩を想像してたんですが、この表紙のメガネ男子はいいですよね。黒髪の乙女もかわいらしいし。
外堀を埋め続けて終わるのか?妄想男の悲しい話なのか?と思いきや、赤面もののラブコメの定石もありで、まるでかわいらしい乙女のお話のようでした。
2007年10月20日 22:15
エビノートさん、ありがとうございます。
先輩のもどかしくトホホな追っかけ。一歩間違えば、ストーカーなのに、妙にほほえましい気持ちになってしまいますよね~。
もう、ホント、「むふふ。」なのでした。
2007年10月20日 22:18
Juneさん、ありがとうございます。
そう、最後の章まで「先輩は外堀だけ埋めてそれで終っちゃうの?」「黒髪乙女は天然のまま、先輩に気がつかないの?」ともう、大興奮。
まさにラブコメな第4章の終りあたり、もう身悶えしちゃいましたね(笑)。
2007年10月20日 22:26
こんばんは♪どうしてもすれ違う先輩が、何ともおかしく、いじらしい(笑)大学時代、こんなにパワフルではなかったけれど、あんなに役に立たないことに必死になれた時代もなかったですよね。懐かしくて、ちょっと胸キュンで。
次の作品が、楽しみです。
2007年10月20日 23:09
ERIさん、ありがとうございます。
とにかく歩き続ける黒髪乙女、とにかく追い続ける妄想大炸裂な先輩。もう、そのまだるっこさが、水無月・R的に「萌え~vv」だったわけです。
森見作品はこれが1冊目ですが、他の作品も、楽しみですね~。
雪芽
2007年10月21日 22:03
こんばんは~
またまた読んだ時の熱い想いが甦ってきました。むふふ♪ほんと面白かったですよね。
こんなのあり、いやいやこれでいいのだ、これを待ち望んでいたのだ、とこちらも妄想炸裂で読んでました。
>メガネ美男子ぶり(やや疲れ気味?)
この表紙の先輩は私的にもど真ん中ストレート。超好みのタイプでした。眼鏡男に弱いので(笑)
2007年10月21日 23:30
雪芽さん、こんばんは。
おお、雪芽さんもメガネ男子萌えですか?!
いや~ん、お仲間発見!嬉しいです~。
嬉し恥ずかし、むふふでドキドキ。こういう作品は、楽しくなっちゃいますね(^^)。
たかこ
2010年01月26日 19:49
水無月・Rさん こんばんは。
いまさらですが、やっと読みましたよ~。
モリミーのむふふにやられました!ものすごく楽しかったです。
もう、とほほ感も愛すべきだし、私も腐りそうです~(笑)
2010年01月26日 20:49
たかこさん、ありがとうございます(^^)。
楽しかったですよね~!
とにかく彼女を追っかけ続ける先輩の根性は、素晴らしい!
このまま?どうなっちゃうのよ!とツッコミを入れつつ、応援してました(笑)。
トホホは良いですよね~!(^^)!
りか
2012年07月02日 22:56
トラックバックの承認、ありがとうございますvvv
出来るようになったらやりたくて、いっぱいしちゃいました!(笑)
私の方は問題なく出来ているようですが、水無月・R さんにウチをして頂くときは相互にしないと難しいようですねー
(相互にはいつでもしますので仰ってくださいね)
うんうん♪"トホホ萌え" 分かりますよぉ~(笑)
一生懸命ガンバっているのに報われない、そんな先輩が愛しくなっちゃうのvvv
彼のシアワセを遠くから(見てるのが面白いから手を貸すことは無かろう!)(笑)祈りたくなります。
2012年07月03日 21:22
りかさん、ありがとうございます(^^)。
お言葉に甘えまして、相互TBお願いすると思います。よろしくお願いします~。
真剣なんだけど、なかなか報われないトホホって、愛おしいですよねぇ(笑)。見てて、大変和みます~うふふ♪

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