『蝶のゆくえ』/橋本治 △

うっわ~、すっごく、評価に悩む作品だな~。たぶん、よい作品だとは思うんですよね。ただ、普段深く思索することない水無月・Rには、荷が重かったって言うか・・・ああ、私ってダメダメ人間(-_-;)。
様々な世代と立場の女たちの、ままならぬ日常と思考が明確に文章化されて、物語が進んでいく。橋本治は《女》を解り過ぎている。怖いぞ、それって。

なんか、今回はあらすじを書く気分になれない。それぐらい、『蝶のゆくえ』はインパクト強かった。中でも一番最初の「ふらんだーすの犬」は、酷かった。でも、あの虐待をする母は、いそうな気がする。自分はあそこまで身勝手じゃないけれど、今のこの世の中、こんな思考の動きをする女はいそうだ。そんなことを描いてしまう、著者が、怖い。

他の5編も、怖ろしい。「ふらんだーすの犬」と違って、女たち自身が事件を起こすわけじゃないんだけど、どの女も思考が深く、しかも明確に自分を判断し、表現するのだ。世の女たちは、こんなに色々考えて、しかもそれを茫洋としてでなく、明文化して表現できるのだろうか。そして、橋本治はそれを解ってて、物語の女たちを追い詰めて思考させるのだろうか。だとしたら、私ホントにダメ人間だなぁ・・・。

ところで、「浅茅が宿」と言えば、『雨月物語』ですよ。妻宮木を置いて京へ行き、何年も戻らなかった勝四郎が家に戻ると、妻はまだ自分を待っていた。だが、翌朝目が覚めたのは朽ちかけた自宅。妻は数年前にこの世を去っていた。というストーリーなんですが(水無月・Rの学生時代の思い出の物語なので、つい熱く語ってしまう・・・)。こちらの「浅茅が宿」は、妻を置いて、夫が死んでしまうという、のっけから違う展開。しかも現代小説。夫は仕事ばかりで、家を顧みることがなかった。夫の定年後、夫にあまり期待しない妻になっていた。
・・・だが。妻は夫の記憶をたどるうちに、気がついてしまうのだ。
~~あのひとは、いい人だった――。だから、私は、待っていた。ずーっとあの人を、待っていた――~~ (本文より引用)
と。死してなお、家にとり憑き、夫の帰りを待つ、健気な妻、宮木が、そこにいた。原作(?)とは生死は反転したけれど、妻は、ずっと夫を待っていた。ただ、この物語では、一夜の邂逅も、得られなかった。簡単に哀れなり、と言ってはいけない、深い悲しみがそこに感じられた。

この『蝶のゆくえ』は、自分がダメ人間だと思い知らされ、もうちょっと思慮を深く持たねばと反省した作品、でありました(^_^;)。

(2007.11.28 読了)
蝶のゆくえ
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著者:橋本治出版社:集英社サイズ:単行本ページ数:251p発行年月:2004年11月この著者の新着メ


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