『東京少年』/長野まゆみ ○

あれ~?長野まゆみさんの作品なんだけどな~。なんだろう。どうしてか心ときめかない。いつもの、水無月・Rが大好きな「現実感が欠如した繊細な少年」が、出てこないからかな~。「少年」は出てきます、14歳の祝常緑(コトブキトキワ)。だけど、彼は普通の少年なのですよ。確かに植物への造詣が深いし、「幻の黒椿」を求めるという行動をとるという意味では、変わった少年なんだけど。なんか、あの綺羅々々しい折れそうな繊細さが、あまり感じられない・・・現実感がアリアリで。うう~~む。

回りくどいお話になりますが、以前に【"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!】のやぎっちょさんに、長野さんをおススメしたことがあるんですね。で、やぎっちょさんが初読みされたのが、この『東京少年』だったのですが、実は私、この作品未読でございました。・・・読破してない作家さんをおススメって、どうよ水無月・Rよ・・・(^_^;)。
やぎっちょさんの『東京少年』の記事はコチラ!

で、読みました。
あッりゃ~、ですわ、これは。とりあえず、水無月・Rの好みから外れてしまいました。今回はいわゆる少年愛(ボーイズラブ←小心者な水無月・Rはちょっと苦手)もあまり表面には出てこなかったんですが。何と言うか、妙に現実感があったのがちょっとダメでしたねぇ。

主人公・常緑(でも周りにはロクと呼ばれている)の父は、プラントハンター。植物学の研究者の助手として、世界を探索して歩いているので、祖父が死去した今、独身の叔父(本当は父の従弟)の部屋に同居している。ロクの母は、生後間もないロクを置いて出奔した。父と母が知り合った時、母が抱えていた「黒椿」は、一般に知られる「黒椿」ではなく、芯も花粉も黒い椿であった。母はその種の育成家の出身であったらしい。父から、その「黒蝶椿」の写真を受け取ったロクは、植物専門誌へその「黒蝶椿」について問い合わせの手紙を出す。
ロクが黒椿を求めるのは、母を追い求めるからなのか。「黒蝶椿」を追うほどに、自身の出生や父母の関係、そして母が自分の親権を主張していることなどが判って来る。だが、どの情報も曖昧で、しかも嘘か真実かわからない。
でも、子供である中学生のロクには、それを問い正してもきちんとした答えが返ってこないし、誰もがすべてを闇に隠そうとしているようで、解明できない。そんなもどかしさを抱えながら、東京タワーの見える下町で生活している。

読んでて思ったのが、中学生って無力だったな~という事だ。自分が中学生の時、確かに無力だったと。まあ平々凡々たる、フツーの家庭で育ち、そこそこの成績と友達関係があったという、ホント凡庸な中学生だったんですが。ロクみたいな複雑な家庭事情や出生とか、なかったんで無力さをここまで感じることはなかったでしょうけど。クールなロクでも、自分が無力と感じ、それにイラついている。この辺りの描き方は、さすが長野さんですね。少年の心理というのかな描写が、とても冴えています。

今回は、BLはあんまり表立って出て来てなかったですけど、仄めかしはあらゆる処に散りばめられてましたね。「父・朔朗=sakurao」と「連玄菊(むらじはるあき)(キク)」はオートバイ事故で葛藤のある関係になったけど、絶対お互いを想う気持ちがあったでしょ?と突っ込まずにはいられない関係だし、河惣フルーツの息子・光に対してロクは兄に対する懐き以上の感情を持ってそうだし、光と「連玄藤(むらじはるひさ)」は律しながらも惹かれあってるのが明らかだし・・・。この辺も、長野さんらしいよな~。あ、この程度なら水無月・R、全然OKですよ。最近少しは間口が広くなったです・・・ってまだまだですが(笑)。

母であった「tsunomegawa」=角女川(あだ名)のエキセントリックさが、鼻につきましたね。奔放すぎるというかなんというか。彼女を信用しなかった、ロクの父・サクラオも結構酷い人だと思いますけどね。最後にロクの叔父と留学してっちゃうって、どうなんでしょうか「tsunomegawa」さん・・・・。

しかし「男にだけは惚れるな」って、すごい忠告ですよね。見抜いてたのかな。その傾向を。ていうか、息子にもそう言ってあげれば?今更かもしれないけど・・・・。惚れるなと言われても、こればっかりはね~。相手を選んで好きになるなんて、出来ないでしょ、ね。

あ、最後になりましたが、「黒蝶椿」の謎は、案外・・・でしたね。まあ、そういうのもありかな・・・。植物や菌類には詳しくないし、茶事に至っては、全くの門外漢なんで。ただ、そういうものをやたらありがたがって秘密めかして「口伝のみで一子相伝」なんてしてるの、まどろっこしいな~と思ってしまう。希少性を高め、価値をつけるため、ってことなんでしょうけどね。「黒蝶椿」の謎は、ロクに受け継がれました。この後、ロクはどうするんだろう。

(2008.02.15 読了)
東京少年
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Metropolis Tokyo 著者:長野まゆみ出版社:毎日新聞社サイズ:単行本ページ数:140p


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この記事へのコメント

やぎっちょ
2008年02月18日 20:41
水無月・Rさんこんにちは。
つらつらと書く力が出ないのでご報告だけですみません。TOPにリンク貼りました。「あ行」が幸いして一番上です!!
よろしくお願いします~★
2008年02月18日 21:36
やぎっちょさん、ありがとうございます!
「あお~」ですから!ってそれを狙ったブログ名ではありませんが(笑)。
ではでは、こちらもリンクを…て、うまく貼れるかな?が、頑張ってみます(^_^;)。

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