『ミシン』/嶽本野ばら △

うう~む。水無月・R的に、はずれです・・・。嶽本野ばらさんの小説デビュー作だそうですが、妙に荒削りな感が否めません。
繊細で、現実感が薄くて、こだわりをもった現実との折り合いをうまくつけられない少年少女の物語で私を魅了する嶽本作品ですが、今回はちょっと・・・。

「世界の終わりという名の雑貨店」と表題作『ミシン』の2編からなるこの作品は、まだ嶽本野ばら的美意識が、確立していない感じがします。
少女好みの服のブランドの話が出てきて物語の重要なポイントになる点は、処女作から健在ですが。

現実とうまく折り合って行けず心の病に至ってしまった少女と、ライターであることを倦んで雑貨屋を営んでいた僕の逃避行とその後。逃避行が終わり、彼女の病院(心の病の)での逢瀬も断ち切られ。そして、僕は気付くのだ。自分が、臆病ものだったということに。雪が降る。この雪が降っていることを、逝ってしまった君に伝えたい・・・。(「世界の終わりという名の雑貨店」)

吉屋信子や中原淳一に魅了され、真の「乙女」であることを志した私が出会ったのは、パンクバンドのボーカリストである少女・ミシン(美心)。ミシンのバンドのギタリストが死に、その欠員募集に応募した私は、ギターも弾けないけれど、ミシンと同じファッションをしていることから、ミシンに選ばれる。ギタリストの追悼ライブの前日、ミシンは私に、「あなたなら私の気持ちを分かってくれる。明日のライブが終わったら私を殺して」と頼む。私は、喜んでそうすることを誓う。(「ミシン」)

嶽本さんで「ミシン」と来たら、縫物の機械のミシンを思い浮かべてしまいました。少女趣味なブランドの服に合わせて、手作りで「乙女」な小物を作ったりするような、そんなイメージで。そしたら全然違って、びっくり。しかも、最後に「殺して」と依頼するような、そんな物語とは・・・。

なんだか2篇とも、ファッションの部分が物語のキモなはずなんですが、妙に浮いている感じ。『下妻物語』とか『ハピネス』みたいな、ファッションが物語の重要な要素であり、登場する乙女(少年)たちの世の中に対しての武装である、という部分があまりうまく融和してないような・・・。

嶽本さんの描く、乙女な世界は結構好きなんですけどね~。ううむ。

(2008,03.30 読了)
ミシン
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著者:嶽本野ばら出版社:小学館サイズ:単行本ページ数:134p発行年月:2000年11月この著者の新


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