『太陽の塔』/森見登美彦 ○

いや~~。濃ゆい・・・ですな。あの森見登美彦さんが、こんな濃ゆい「男汁」たっぷりなデビューを飾っていたとは…ビックリですわ~。

京都の大学生の話なのに、何故『太陽の塔』(大阪の万博公園に鎮座している「芸術は爆発だ!」なアレ)なのか、という疑問はさておいて、物語の始めの頃に
~~読了した暁には、必ずや体臭が人一倍濃くなっているはずである。読み終わった後で文句を言われても困る。私の経験から言えば、いったん濃くなった体臭は二度と元には戻らない。~~ (本文より引用)
なんて言う、警告が入っている・・・。思わず読むのやめようかと思いましたが、ここで負けたら「モリミーワールド」に負けたことになる!とヘンな意地を張って読み始めました。

で、私の体臭がどうなったかは追及しないでいただきたい。現実の体臭はともかく、読了後はどっぷりと妄想にまみれて、グダグダになっていたので、精神的な部分で、多分変化があったんじゃないかな~と・・・。「モリミーワールド」に果敢に挑んだよ、私。・・・勝てたかというと、絶対勝ててないけど(笑)。

元恋人に対してのストーカー行為?を「研究」と称する主人公の私。クリスマスイブに四条河原町で「ええじゃないか騒動」を巻き起こした友人・飾磨。女性に好意を寄せられたことが怖ろしくて、都落ちする髭もじゃ巨人・高藪。いつ何時でも深く落ち込み怨念をため込む男・井戸。主人公と同じ女性をストーカーする・遠藤。サークルの集金と称して主人公の周りを幽霊のようにうろつく後輩・湯島。邪眼で全てを切り裂くかのような・植村嬢。主人公の元恋人で、「太陽の塔」フェチな・水尾さん。
こんなとんでもない面子が物語を廻してるのである。勝てるわけがない。

冬の京都に荒れ狂う、妄想の数々。それが濃ゆいのなんのって・・・。妄想で世界が回っている。行きつけのケンタッキーのお姉さんの身の上を勝手に妄想し、しかも展開する。「男汁」あふるるサークルを作ろうとして牡蠣鍋に当たる。「映画の予感に浸る」ためだけに映画館に入ってもロビーにうずくまるだけだったり、ライバル?に「ゴキブリキューブ」を送ったり・・とにかく粘っこい。
いわゆる「モテない男大全」の様相を呈している。
なのに、嫌じゃない。面白いのだ。京大生がみんなこんなふうだとは思わないが、今までの京大生のイメージ(はんなりとインテリ←意味不明)をきっぱりと払拭。親しみが持てる。
みんな暗~く妄想を全開させ、自らの精神を追いこんじゃって、もう大変。でも私、それに巻き込まれることなく、微笑ましいなぁ~なんて思って読んでいました。

ところで、水尾さんの存在を全く想像できないという、そのスタイルが奇妙な違和感を産みますねぇ。いろんな人に恋されるが故に外見はかわいらしいのだろう。「私、部屋によけいなものが増えるのは嫌です」などというきっぱりとした発言もするらしい。太陽の塔に大いに惹かれ、フェチと言ってもいい域に達している。う~~む、全然捉え処がないぞ。どんな女性だったのだろう・・・。

あ~、男汁まみれなアタマ(!!)で書こうとすると、全然めっちゃくちゃですね。あ、違う?それはいつものこと・・・そうですごめんなさい。でもねでもね、やっぱり「男汁」の影響は受けてると思うのよ(笑)。森見さんの作風がこの系統オンリーなら、もう読めないかも・・・(-_-;)。幸いにして『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』のような、明るくぶっ飛んだ笑いのある作品があるので、大丈夫かな・・・。

あ、そうそう。一番最後に、
~~何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
そして、まあ、おそらく私も間違っている。~~ (本文より引用)
とありましたね。なんか、この物語を一言で言い表すと、こんな感じかも(笑)。

(2008.03.11 読了)

太陽の塔
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新潮文庫 著者:森見登美彦出版社:新潮社サイズ:文庫ページ数:237p発行年月:2006年06月この


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この記事へのコメント

香桑
2008年03月12日 01:18
水無月・Rさん、こんばんは。
もりみーとマキメは京大生のイメージ修正に一役二役買っていると思われます。
「モテない男大全」……まさに!!笑
私は植村嬢が気になって、気に入っています。
エビノート
2008年03月12日 21:51
おっしゃるとおり、京大生のイメージが随分変わっちゃいましたね~。近寄りがたい感じを抱かずに済みそう(笑)
男汁たっぷりな妄想、楽しすぎます
2008年03月12日 22:19
>香桑さん、ありがとうございます。
私も、「邪眼」の植村嬢が気になります。すっごく眼ヂカラのあるクールビューティーなのでは、などと勝手に妄想しております。
植村嬢が出てくる物語も読んでみたいですね~(^^)。

>エビノートさん、ありがとうございます。
ここまでディープじゃなかったですが、確かに私の学生時代の男子というのは、濃ゆい存在でしたね。特に彼女ナシな古風系の男子たちは(笑)。
自我が肥大し、妄想炸裂、自己憐憫と法界悋気(←意味が分からずネットで調べました:自分と無関係の人を嫉むことをもう言うんですね~、知らなかったです)。男汁だな~濃ゆいな~(^_^;)。
2008年03月13日 09:50
こんにちは。
男汁まみれの妄想大炸裂な作品でしたね。・・・って、こう書くとなんかすごい作品のような気が^^;
うはうはと大笑いしながら読みました。水無月・Rさんと同じく、京大生のイメージがすっごく変わりました~(笑)
june
2008年03月13日 16:50
私もこの世界、大丈夫どころか、水無月・Rさんのように微笑ましいとすら思っちゃいました。なんだか彼らって乙女なんですもん。
暗い妄想がファンタジーになっていくところなんて、すごく好きです。
2008年03月13日 21:04
>すずなさん、ありがとうございます。
今まで私の「京大生」のイメージは辰巳拓郎(あれ?字がちがうかも。俳優です)・・・(笑)。
いや、もしかしたら辰巳さんも京大生時代は男汁まみれだったのかも?!(笑)。

>juneさん、ありがとうございます。
そうなんですよ!乙女なんですよね、このコたちは!うふふ。
深く深く穴を掘って自分をそこへ埋めちゃうかのような彼らの妄想・・・(笑)。たまりませんね(^^)。
2008年03月13日 21:42
この作品から森見ファンになったんですが、当初は今みたいにリリカル(?)な作品を書くようになられるとは思ってませんでした。この男汁全開で行くもんだとばかり。
でも重要なかったんでしょうねぇ……^^;
これはこれで割と好きな世界なので、今後もたまにでいいから書いてもらいたいです。ってそう思ってるのはわたしだけかしら。
2008年03月13日 22:01
まみみさん、ありがとうございます(^^)。
おお~!まみみさんは「男汁全開」OKなんですね!
私は・・・と苦手かも。精神的体臭が濃くなるのは、ちょっと(笑)。
でも、妄想炸裂は大好きです。(←水無月・Rが妄想大暴走系の人間なので(^_^;))
藍色
2008年03月15日 02:09
遅くなりました(汗)。
果敢に挑まれた成果、楽しく読ませていただきました。
先に「夜は短し~」を読まれてたので妄想系つながりでよかったのかもしれませんね。
私はこれが森見さんデビューで始めは目が点でしたが、慣れるといっぱい笑えました(汁量は聞かないで、笑)。

ごめんなさい。
トラックバックが反映されてませんでした。
お手数ですが、再トラックバックしてくださいますか?。
こちらからはお送りしておきますね。
2008年03月15日 22:52
藍色さん、ありがとうございます(^^)。
男汁まみれになりつつ、妄想を炸裂させ、男たちは夕暮れの世界を闊歩する。ちょっとだけ、哀愁が漂いますね(笑)。
TBうまくいきませんでしたか。すみません。たまにBIGLOBE(ウェブリブログ)はTBを外すんですよねぇ~。Livedoorのブログさんとか相性悪いですし・・・。もう一回、やってみますね。
雪芽
2008年03月16日 16:45
こんばんは、水無月・Rさん。
恐ろしく濃ゆ~いし、男汁たっぷりで最初は引くけど、そこにいじましさやかわいさを見つけてしまうと、なんかええじゃないかと肯定してしまうからコワイ(笑)
その点最近の作品は男汁激減で万人に受け入れ易くなってますね。破天荒な妄想は健在ですが。
2008年03月16日 22:03
雪芽さん、ありがとうございます。
まさに「ええじゃないか」ですね(笑)。
おもしろうて、やがて哀しき・・・妄想と現実の交錯する世界。
妄想大炸裂は、爽快ですよね。たとえ男汁にまみれてても(^_^;)。
一瞬ひいてしまい、ええ~?と思いつつも怒涛の勢いで読んでしまいました。
たかこ
2009年11月24日 11:13
水無月・Rさん こんにちは。
いやぁ、奇妙な感じでしたね。
男汁だし、妄想炸裂だし、基本的に間違ってるし…(^^ゞ
でも、私としては案外さらっと受け入れられました~(笑)
2009年11月24日 23:56
たかこさん、ありがとうございます(^^)。
そう、基本的に間違ってる・・・!
でもそれが、面白すぎるんですよね~♪
いじらしいというかなんというか・・・。
モリミーの描く腐れ大学生、万歳です!

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