『三番目の魔女』/レベッカ・ライザード ◎

さあ、この作品タイトル『三番目の魔女』を見て、「ああ、水無月・Rよ・・・」と思った人?
あなたも聴いてますね、WEBラジオ「関東図書基地 広報課」を!(笑)
―――すみません。とどのつまりは『図書館戦争』がらみです・・・。
ええ、WEBラジオで柴崎役の沢城みゆきさんが「今読んでるんだけど面白いのよ」とラジオで言った小説なんですよ。あはは。

・・・で、読んでみてどうよ。
ッて、面白かったですよ、すっごく。

作者のレベッカ・ライザードさんは、劇作家で、小説家で、高校教師、演出家という多才の女史です。今作が小説デビュー作だそうですが、なかなかに楽しめる小説ですよ。

シェイクスピアの『マクベス』と言えば、世界の名作ですが、その『マクベス』に出てくる三人の魔女の一人を主人公に、彼女の視点でマクベスの興亡を、またその周辺の物語を描いています。
翻訳の森祐希子さんが、シェイクスピア研究者だからでしょうか、非常にわかりやすい。
ぶっちゃけ告白すると、私は『マクベス』を読んだことがないです。もちろん劇も見たことがない。概要だけは何となくで知ってるかな~程度。
そんな私が、ちゃんと楽しめたんだから、「シェイクスピアの(かなり亜流ではあるけど)入門書」とも言えるんじゃないでしょうか。・・・岩波文庫(新書?)あたりの『マクベス』を読みたくなってきました・・・。
ってまたリストが長~くなちゃうじゃないか~!(笑)

マクベスを翻弄する、三人の魔女の予言。
本書では、実はその魔女たちは、予見の能力のある1人を除いて、魔力というか特殊な能力はない。
主人公で、マクベスに家族を殺され全てを奪われ、復讐を誓う少女・ギリー。ギリーを養育した、薬草の知識と予見能力のある老婆・ネトル。ギリーとネトルと暮らす、痴呆がかった老婆・マッド・ヘルガ。
ギリーの復讐への決意は固い。しかし、時にそれは揺らいでしまう。そこから自分を立てなおすが為に、強引に事を運ぼうと足掻く。その結果は、最終的にはギリーの意に添うものの、経過ではギリーから愛する者たちを奪ってゆく。
ギリーが頑なに復讐に固執すればするほど、失うものは多く、そうなればなるほど、彼女は意固地になる。
読んでいて痛いぐらいの、一途さに、気持ちも痛くなるし、物語の展開も気になってしまい、どんどん読み進めてしまった。

マクベスに与えられた、三人の魔女の予言。
「マクベスはコーダの領主になる」「マクベスは王になる」「バンクォーの子孫は王になる」
予言に惑わされ、王を殺し、バンクォーを殺すマクベス。
ギリーは後悔する。あんな予言をしなければ、人が殺されることはなかったのに。
またマクベスに与えられた、次なる予言。
「マクダフに気をつけろ」「女から生まれた男はマクベスを殺すことはできない」「バーナムの森が動かない限りマクベスは敗れない」
ギリーは後悔する。恐れさせようと使ってしまった言葉が、マクダフの家族を殺した。
私は女から生まれた男ではないから、マクベスを殺せる。私はまさにバーナムの森そのもの。
その解釈は間違っていたけれど、マクベスは斃された。
そして、新王の求婚・地方領主の養女への申し出・貴公子の学問への旅路の同行依頼を断り、家族のために新しい世界を作ろうとする。

ギリーがどういう出自の少女であるか、何故そこまでマクベスを恨むのか、マクベスとその奥方との関係、などは結構予測がついたのだけれど。マクベスのあらすじを(一応)知っているから、物語の進み方は分かっているのだけれど。それでも、目が離せない。
かの時代、女はどういう扱いをされていたのか。下働きの者たちの、日常。魔女と呼ばれる女たちの、本当の姿とは。
そしてもちろん、男装してマクベスの城に入り込むギリーの、復讐に邁進すればするほど追い詰められ、苦しくなってゆくその心情やいかに、というのもハラハラする。
そして、終章間際に、マクベス夫人と対峙し、「血の繋がりの混同と決別」を体験し。
ギリーは、迷い失敗しながら、それでも自分の未来を切り開いてゆく。
力強い物語だったと思う。

予言のうち、ギリーが語った言葉によってマクベスは狂乱し、ますますギリーが追い詰められてしまい、ネトルやマッド・ヘルガの言う通りなのだと、私まで後悔してしまう。けれど、「人を呪わば穴二つ」ではないが、そんな教訓を含みつつも、ギリーは苦難や後悔を乗り越えて(ごまかしたり逃げたりせずに)力強く成長してゆく。
その姿には、とても強い憧れを覚える。まっすぐな、強さ。
彼女が、未来どんな大人の女性になるのか、考えるだけでも、心躍る。

(2008.07.29 読了)
三番目の魔女
楽天ブックス
著者:レベッカ・ライザート/森祐希子出版社:ポプラ社サイズ:単行本ページ数:453p発行年月:200


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