『カソウスキの行方』/津村記久子 ○

不倫カップルのバカップル話のあおりを食らって、郊外倉庫に飛ばされてしまったイリエ。2つ年下の藤村と同い年の森川とイリエ、正社員はこの3人だけ。日々だらけていく自分にカツを入れようと~~好きになったということを仮定してみる。~~(本文より引用)、つまり「カソウスキ〔仮想好き〕」を始めることにする。
その『カソウスキの行方』は如何に・・・。

ところが…相手の森川は「悪い人じゃないけど、いかんせん興味が持てない」ようなヌボーッとした男。
…のはずだった。
なのに何故か、酢や手作り化粧水用の尿素を借りたり、一緒に藤村の家のクリスマスパーティーへ行ったり、パートさんと森川の仲を疑ってみたり、正月休み最終日に倉庫のテレビを一緒に見てたりするうちに、なんとなく・・・。
気になるけど、別に行動に移すわけではなく。淡々と流れて行く時間。ふと「自分にいいことがあると森川によくないことが。逆に自分に悪い事があったら森川にいいことが」ということ気づいたり、森川の別れた妻と面会したり。
そして、倉庫の閉鎖が決まり、本社に戻ったイリエ。藤村から森川が中国へ行ったことを聞く。森川にあてて「カソウスキをしていた」と告白するメールを送ると「すべて了承しました」なんて返事が。

「カソウスキ」。・・・心当たりがありまくりな私って、ヤバいですかね?!
・・・すみません、やってました。学生バイト時代や会社員時代・・・。私は「疑似恋愛」って呼んでました。恋愛つっても疑似だし、片思いなんですけどね~。(←って!!昔から妄想全開だったんかい、水無月・R・・・。)
いやさすがに、「疑似恋愛してました」なんて告白はしたことないですよ?(笑)。

淡々としたリアリティのある、女性の日常。なんだかうっすらとふわふわとした共感を覚える。読み心地がいい。津村記久子さんは初読みですが、芥川賞候補作なのだそうです。確かにこの微妙な感じを文章化し、しかも共感できるなんて言うのは、すごく執筆力が高いからだと思います。

他2編も、ちょっとだけ知っただけなのに、すごく好きになってしまった男の妻のブログを読んで嫉妬する女の子が、その男の友人の方を好きになっていくという話だったり、ハムラビ法典の法則でやり返してたはずの恋人と結婚する男(彼女には負け続け?)の話だったり、なんだかふわふわとした不思議な浮遊感が漂う物語。

こういう「日常のさりげない情景を描いたあっさり作品」は苦手だったはずなんだけど、この3篇はすごく面白かったです。ふわふわ~っと共感したり。
いい感じです。

(2008.07.10 読了)
カソウスキの行方
講談社
津村 記久子


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