『地下の国のアリス』/ルイス・キャロル(安井泉:訳・解説) ◎

『不思議の国のアリス』の原本とも言うべき、アリス=リデルに贈られた、ルイス・キャロル自らの手書き(もちろんイラストも)による、絵本。
それをファクシミリ(直筆コピー印刷)版として出版したものが『地下の国のアリス』
この物語が『不思議の国の~』として出版されるのはその後のことになります。
本書『地下の国のアリス』は、ルイス・キャロルのファクシミリ版の訳に、キャロルの書簡、訳者の解説、ファクシミリ版の紹介などが加えられています。

『不思議の国のアリス』、かなり昔に読んだので内容がうろ覚えで、『地下の国のアリス』との差異が分からないのですが、こちらはイラストがキャロルの手書き。なかなか味わいがありますね。
当時30歳の大学の先生であったキャロル(本名はドットソン)が、同僚のダックワースと共に、上司であるリデル教授の三姉妹(長女・ロリーナ・13歳、次女・アリス・10歳、三女・イーディス・8歳)をボート遊びに連れ出し、そのボートの上で語られたのが、この物語。

「黄金に光輝く素晴らしい天気の午後」、リデル三姉妹にせがまれて紡いだ、元気で、ナンセンスで、美しい物語。
物語の主人公・アリスは恐れることなく、不思議な世界の物事に手を出し、飲食し、そしてその不思議な生き物たちと会話し、言い争ったりする。おかげで大きくなったり小さくなったり、涙の海でおぼれそうになったり、追いかけまわされたり。
そして、目が覚める。姉の膝に頭を乗せて。姉に不思議な夢の話をして、アリスは退場する。
アリスが退場した後、姉はアリスの未来を幻視する。
素朴な人を愛する気持ちを持ち続け、子供たちに不思議な話を聞かせる、大人になったアリスの姿を。
その時アリスは、~~あの楽しかった夏の日を思い起こしながら。~~ (本文より引用)、何を感じるのだろうか・・・と。

『不思議の国~』にこのお姉さんの述懐があったかどうか、記憶にない。なかったような気がする。
けれど、このお姉さんのアリスへの想いが、描かれてることが、とてもいいと思うのだ。アリス=リデル個人に贈るクリスマスプレゼントに、このような1章を添えることのできる、キャロル。アリスに優しい眼差しを注ぎ、そしてその将来が美しく輝くものたらんと願う、愛おしむ気持ちが伝わってくる。

アリスの体験した、地下の国の出来事は、ナンセンス極まりない。何で大きくなったり小さくなったりするのか、トランプが歩き回ってるのか、動植物が喋り、自由に動き回り、意味深だったり無意味だったりする言葉をアリスに進呈するのはなぜか。答えはないし、夢の世界だから辻褄なんて全く関係がない。
それを、そのまま受け入れて、楽しんでしまいました。

(2008.07.21 読了)
地下の国のアリス
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著者:ルイス・キャロル/安井泉出版社:新書館サイズ:単行本ページ数:158p発行年月:2005年02


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―――ちなみに。
水無月・Rは、とあるパソコンゲームにハマっておりまして、そのゲームの元ネタがアリス。といっても、世界観は全く違う、新感覚?なストーリー展開なんですが(笑)。ついついゲームの登場人物を当てはめてしまったり、この状況は?!と喜んでしまったりと、邪道?な読み方をしておりました・・・・(^_^;)。
そのゲームでは、アリスとお姉さんに切ない事情があったので特に、最終章のお姉さんの述懐は読んでて嬉しかったというか、救われました。



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